表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/45

9

結論から言えば、失敗した。


ソフトを入れたままヘッドギアで大阪を調べたので王城が大阪城になった。

監視塔が一つ通天閣にもなった。

露店通りが粉もん屋の通りになった。

この人工知能腐ってない!? 大丈夫?! 反映の仕方がおかしくない!!?

そして一番欲しかったビリケンはいないんですけども! 通天閣の中にも安置されていませんでしたけれども!!


まあでもやっちまったもんはしょうがない。

世界観が昨日とは違う様相でも住人たちは全く気にしていないようなので、私も気にしないことにした。

所詮ここはイマジナリー大阪、本物とは違う。

なおクラフトはできませんでした。


ということで、前向きに捉えることにして。

ついに学園に来たので、ここからが本番である。


入学より二週間。まず現状の攻略者たちの状況であるが、これは既に調査済みだ。

王子。無能俺様野郎は婚約者の公爵令嬢と少しばかりギスギスしている。

眼鏡男子。王子のしりぬぐいのために東奔西走しており、婚約者である伯爵令嬢とはやや冷えた関係。

やんちゃ坊主。三回目の死因であるショルダータックル野郎はリリアナと関係を深めている。

チャラ男。本命の義姉とは姉弟以上になれず女遊び中。


「それで、どうなさいますかお嬢様」


前より血色がよくなり、体つきも肌艶も姿勢も良くなったトトルが尋ねてくる。

見た目に気を遣い始めたからかたまにイケメンに見えるのがなんだか悔しい。


「私ね、悪役令嬢なのよ」


「と、おっしゃいますと?」


「人の恋路を邪魔して馬に蹴られる役目なんだよね。ということで、俺様野郎を締め上げに行くぞい!」


役目はそれとして、俺様野郎は許さないから。

キャラとして設定されているだけだとしても存在を許さないから。


「お嬢様は王子がお嫌いですか?」


「身分は関係ないね、あいつの性根が嫌いなんだ」


「左様でございますか」


何がおかしいのかくすくす笑うトトル。

よくぞここまで主人を止めない執事に育ったものだ。

忠臣なのか、佞臣なのか。


じろっと睨み上げたら、にっこりと微笑まれる。


「給金が支払い続けられる限り、私は雇用主の味方ですから」


「そうだったね」


そういえば守銭奴だった。

業務内容に忠言を申し上げるという項目を追加すれば順守する奴である。

小言が増えて嫌になって外したんだった。


「それで、御父上からの要望はどうされるのです」


「いや、それは結局のところ……」


母親の代わりになるものを欲している、そういう事だ。

リリアナが似ていたのかはわからない。

だが、普通に考えて成人前の娘を我欲で手に入れようとするなど、実の父でも許し難い。


「彼女が応答しなければ済むことだ。父を監視し、どこかへ誘拐の手配をしそうであれば拘束して」


あの男の一番厄介なところは、信頼値が高いところにある。

そうじゃなきゃ伯爵って身分で財務を取り仕切る立場になるか?


悪役令嬢キャラの黒幕は父親。

これはネタバレブログにも書いてあった。

今はただ大阪ラバーズなだけだけど、彼が行動に出る前に決着をつけなければならないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ