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呼び出したステータス画面を眺めていたら十分経っていた。

最長接続記録である。


さて、ここからすることは決まっている。

まずは味方を作ること。古今東西、敵ばかりで生き延びられた奴は……天下とったのかな。なんにせよ、何をするにも人手はあったほうが良いので、とにかく洗脳もとい忠誠心の高い仲間が欲しい。


「というか、こっちから動かないと何もイベントが起こらないとかそういう……」


呟いた時だった。

キイィと微かに軋むような音がして、カーテンがふわりと揺れる。

そちらに目をやれば、黒装束の細身の男が窓枠を乗り越えようとしている所だった。


「三倍の値段で雇う!」


「おっけー!」


いかれてやがるぜ!

指をさしながら宣言したら即座に承諾されたよ、なんてこった。


「で、暗殺者? 誘拐犯?」


「刺客だね。お前さんの母親が亡くなったから、その混乱に乗じて始末して来いってさ」


「誰が?」


「心当たりくらいあるだろ?」


ああ、攻略サイトで家系図くらいは把握している。

伯父とか伯母がいるんだったか。

病弱の母ではこれ以上の子供を作れないと知って、自分たちの子供を後継者として養子に入れようとしていたはず。そこで発覚した妊娠。

静観していたけど、どうやら男児が生まれそうだと知って行動を起こした。みたいなことがネタバレブログに書いてあった。


こいつが来ることももちろん知っていた。

こう言おうと思っていたことを突き付けたわけだ。

暗殺者だったら、死んでもやり直せばいいし。

誘拐犯の場合はすぐに救出されるから問題ない。


「うん、そっか、お母様は亡くなってしまったのか……」


「うーん? 冷静だねぇ」


「まあねぇ……」


実のところ、目覚めてすぐに母のいる部屋に向かえば死に目にあえる。

その時の母親の姿が美麗すぎるとか、父親の嘆きと絶望が地獄の様相とか、ちょっと見てみたいなってレベルで絶賛されていたけれども。

普通に考えて幼児にはショックすぎるだろ。幻想でもそんな場面には遭遇したくない。


「ところで、雇用費用はいくら? 」


「一千クラ」


「一日で?」


「十日で」


日給一万円じゃん。

暗殺者を生業にしているには安いところをみるに、素人だなコイツ。


「じゃあ、十日で三千クラね。ついでだから私専属の執事にならない?」


「ん~、まあ、昼間の仕事も探してたし良いよ」


軽いノリで決まった。


こうして、我が家からは優しさと温もり、笑顔が消えた。

仕事に逃げた父が金を稼いできてくれて、私の予算も増えたため、新しい専属執事のトトルくんを雇えた上に自由時間まで増えたのは良かったけど。


「ってことで、じいや。お母様がしていた事業を教えて頂戴」


子供の授業や手習いも母がしていたため、勉強の機会も失った。

とはいえ、文字は自動翻訳だし、趣味や手習いはミニゲームでちょいちょいすれば何とかなる。

どうにもならないのはステータス向上以外のストーリー部分で、ここを自分の感覚で進めて行かないと、あっという間に学園入学に至ってしまう。

だから家令として働く彼に、母の代わりに家の事をすっぞ宣言をしたら、微妙な顔で微笑まれた。


「お嬢様、奥様がなされていたことは、お嬢様には難しい事と存じます」


「じゃあ、孤児院への慰問だけで良い」


福祉貢献は貴族女性のたしなみである。

母親は領内の孤児院へとよく足を延ばしていたはずだ。

そして、私は知っている。

ここを訪うことで、友達がたくさんできるのだ。


「……かしこまりました。手配いたしましょう」


「うん、トトルと一緒に準備をよろしく」


ついでだから新人を鍛えてもらおう。


今日はここまでかな。

今後のとことについては、攻略情報と照らし合わせながら進めていくことにしよう。


刺客の報酬は一般的に成功報酬です。

十日以内に目的達成でいくら。基本給無し雑費持ち出しインセいくらです。

口止め込み前金が報酬の半値。

なので目標なし三倍雇用は不可思議過ぎて興味を引きました。

を、作中に入れろって話です。

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