表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/45

35

御使い騒動で騒がしいレイオラルは放っておいて、私はその向こうにある内陸国の一つ、ユスパまで来ていた。

他の面々は既に帰路についている。国としての仕事は数日だけでスムーズに終わったからね。

こっちは商団関連の出張だ。


交易用に道幅が取られているとはいえ、荷馬車がすれ違えるぎりぎりくらいだ。でこぼこしているし馬車では逆に危ないとのことで馬上の人である。

乗馬はできる。ぽちぽちっとなー。


なお、仕事自体は顔を出してお茶飲んであとよろしくっていうだけで終わる。

商団の偉い人が顔を出したって事実が必要なだけなんだわ。貫禄ないけど頑張るよ。


ユスパは茶葉が美味しい国だ。

後は綺麗なルビーとサファイアが産出されるからか国全体が富んでいて全体的に自由でおおらか。

スカーレットルートで国外逃亡先として選出されている場所でもある。

内陸で岩塩も塩湖もないから、塩を持っていけば喜ばれる。もちろん、レイオラルが全体の八割近くを供給しているのでシェアを割いてもらうのはだいぶ難しいけども。


ユスパの交易街にきたら、あれよあれよと商団連中に誘導されて宿の一室に連れ込まれた。

スイートルームのようである。一応は貴族だしその扱いで良いんだけども……なんだろうこの、気付いたら担ぎ上げられていた感。


「それで、どんな状況?」


書斎と同じセットがつくられていたので、机に向かってトトルに問いかける。

すると、まっていましたと言わんばかりに一枚の紙が提出された。


「レイオラルからアニア・デメトル宛に面会を求める書状が届いております」


全部で百六通。その内容の内訳があるが、面会を求めるものと美辞麗句を並べたものとご機嫌伺いとがほとんどらしい。

たまに招待状が混じっているみたいだけど、もう国外にいるしどうしようもないね。


「何をしたらこんなことになるんですか」


「美しいって罪ってやつ?」


「レイオラルはそんなに美人が少ないんですか……?」


ひでぇ言い草だ。

お前の主人も美人だろうが。


「それより、スカーレット様の方はどうなったの」


「デリトスが無事に契約をまとめていましたよ。ラストア教を国にもっていく代わりにレイオラルの持つ販路を共有し、かつ関税を撤廃。食料と塩もこちらの言い値で買い上げるそうです」


「どういう風の吹きまわし……」


「御使いが現れましたからね。かの方の機嫌を損ねるわけにはいかないと思ったんじゃないですか?」


都合のいいように物事が回ったと思ったけどそんなことになってただなんて。

これで内陸側への売買ルートができたのだから、成果としては十二分にある。とんとん拍子で怖いくらいだ。どこかに落とし穴がありそうで怖い。


「しかし関税撤廃って、思い切りが良すぎるんじゃないかな」


「儲けよりも地上にあまねく女神の教えを広めることこそが肝要である、という事らしいです」


わかんないけど。

まあ、物事が簡単になるなら別にいっか。難しいとわかんなくなるからありがたい。


「ってことは、とにかくスカーレット派が優勢になったとみても良いんだね?」


「今回の手柄で中立派から傾く家もあるでしょうが、どちらも難しい課題をこなしまた」


なんだよねー。

新しい雇用を生み出した王子も、新規交易ルートを開拓したスカーレット様も、どちらも国の発展に寄与しているから、何とも言えない結果になった。

より優れているという見え方ができないんだな。


もとよりスカーレット様は傍系で女性というハンデを背負っている。

それを覆すには、直系とその臣下が無能で国を任せたらえらいことになると認識させる必要がある。

お飾りの王にしておけばいいという意見すらも出ないくらい徹底的にだ。

だが、そうできないくらいにはアストアールは優秀だ。

くっそうあれでも攻略対象なんだよアイツ。

正攻法では崩せない。


であれば、搦め手だ。

能力値が同じだったら、どちらを選ぶ?

より自分のテンションを上げてくれる方でしょうが。心に響くものがない相手を担ぎ上げても疲弊するだけだ。


「トトル、無能俺様野郎の醜聞をかき集めてある事ない事ぶちまけるようにして」


「新聞社に売るんですか」


「あと本人にも、二番手以降の方が能力を発揮できると催眠でもかけて」


「催眠は無理ですが、そうですね。多少の思考誘導ならしておきましょうか」


できるのかよ。


「なんだね、私もう必要ないんじゃ」


「最初からそうですが……?」


なんでそんな不思議そうな顔しているんだお前は。

確かに私が居なければ、波風が立つこともなく順調に王位継承されていただろうけども。


そうだね、今回の騒動は私のわがままで引き起っていたね。

よくよく考えれば恐ろしい話だよな。伯爵令嬢一人でここまでの事を引き起こしたんだぜ。

もっと綿密に計画を練れる人だったら簡単に国家転覆できていたってことじゃん。

え、本当に? この国大丈夫? いや、ゲームだから単純な作りになってるんだな、うん。

細かいことは気にしないことにしよう。


「で、ガーベラ商団の方は順調?」


「はい。各地で商団主との会談を求める声がある以外は順調です」


全世界行脚しなきゃいけないのそれ。

なんにしても卒業パーティまであとわずか。

それまでにできるだけあがくしかあるまい。

方向性は見失って久しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ