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婚約破棄騒動があって、エスペリオス公爵家が王家を見限った。

王家というか王子だね。簡易とはいえ誓約書に署名をしたことが決定打になったらしい。やっててよかった。

最終的に公爵家を担ぎ上げる予定だったけど、タイミングとしては悪くない。王子側に瑕疵があると誰しもが認める状況じゃないと単なる反逆者として処罰されて終わっちゃうからね。それこそスカーレット様の後ろ盾となるのに瑕があってはいけないのだよ。

だから回りくどく、コークサスとデリトスに対立構造をとらせていたわけだ。メインで動かすのを学生にしたのも、若者たちの戯言として大人たちの足を鈍らせるため。王家と公爵家は依然としてアストアールを擁立しているのだから、スカーレット様が台頭するはずがない、と。


油断させて首を狩るのは戦術の常套手段、上が無能だと苦労するよねー! ハァーッハッハッハ!

思った以上にうまくいって内心でめちゃくちゃ安堵しているのは秘密である。


そして私は今、レイオラルとの国境付近の町まで来ている。

ここら辺の人達は隣国の影響を受けて女神を信仰することもあるらしい。教会も、二つの宗教のそれぞれの家が設立されているようだ。人々は好きな方に足を運んでいる。それでいいのか。いいんだろうな。

今回の旅路のお供は、クロード君、マッシブ嬢、テルジオ君。

次の国王の近くに侍るだろう顔ぶれだね。特にクロード君なんかは王子の腹心だった。


「さて、明日はレイオラルに到着する予定だけど、心の準備はよろしい?」


集合した宿屋の一室にて、最終確認よろしく声を掛ける。

本当はこんなこともいらないくらい、全員が心を固めていると思うけど。


「もちろんです」


「何があってもお守りします」


「交渉事はお任せください」


頼もしいセリフに頷く。

クロード君は再三の忠告に耳を貸さなかった王子に愛想が尽きたようで、王子派から中立、少しスカーレット様寄りに心変わり。

マッシブ嬢は中立だったけど、婚約破棄されたスカーレット様に同情してこちら側に。過去のあれこれを思い出して、元から嫌いだった無能俺様野郎の事がもっと嫌になったらしい。

テルジオ君はエスペリオス公爵がスカーレット派の筆頭になったことで仕事量が激減、外部交渉に足を運べるくらいの自由時間を確保した。


もちろん、彼ら以外にも随行者として文官や外交官、その護衛や使用人が大勢控えている。

だがあくまでメインとなるのは私達だ。これは課題で、王位を継ぐに相応しい才覚があるかを試す場であるから。現在の臣下を御せる力量はもとより、次世代のリーダーを率いる指導力も試される。

いや普通に外国との交渉に子供を向かわせるなとは思うけど。

王子側がやりこなしちゃったから、大人だけ出陣させるわけにはいかなくなったっていうね。

まあ、私の場合はガーベラ商団を動かす意味で来たけども。


「じゃ、明日に備えてそれぞれ体を休めておいて。自由行動だけど、くれぐれもトラブルだけは起こさないように」


「ロートリシュ令嬢こそお気を付けください」


「私は部屋に籠ってるから」


まだ昼を少し過ぎた程度なので、時間的には目的地まで行ける。

ただ、先方との約束もあるからいけないだけで。

本当はもう数日の猶予があるはずだったんだけど、騒動の影響で少しばかり移動が遅くなったんだよねぇ。


三人と別れ、一人宿の机に向かう。

さて、現状を整理しよう。


王子派とスカーレット派の派閥争いは王家と公爵家を巻き込むところまで発展した。

こうなると最終的にとりなす人がいないので、負けた方はそのままお家断絶となるだろう。相手陣営に組した貴族も政治的な要職にはつけなくなる。

最近はずっと平和だったこともあって、貴族といえど権力争いには慣れていない。中立や日和見が多いのはそのためだろう。本当、足掛かりになってくれたコークサスとデリトスには頭が上がらないわ。


そんな中で宰相から課題が出されている。

一つは塩のさらなる確保。これは王子側が良い成績を修めている。

なお、トトルの工作は失敗した。交易ルートはいまだ健在で、塩の輸入は滞りなく進んでいる。

なので、彼は次に大量の買い付けを行った。自国で消費する以外の分を全て買い取ったのである。

それをガーベラ商団経由で、北や西に輸出しているようだ。ただ、そちらの方にも海があるので販売量がたかが知れている。

そう、本当の目的は、内陸方面にあるレイオラルである。

ただこっち、かの国自体が塩を輸入して利益度外視で内陸国に流しているので介入が難しい。宗教と結び付けての販売だからね。どうにもこうにも。

まあ、その輸入経路の一つとしてねじ込むってことだけど。足元を見られることがわかっているので、こちらも採算度外視だ。


そして交易品。

そんなもの一つしかない。つまり食料である。

農業国だからね。それしかないよね。

で、都合のいいことにレイオラルの向こう側、内陸では麦の育ちが悪いらしく、食料は喉から手が出るほど欲しい一品となっている。

都合が良いよね。私もそう思う。個人的なステータスが反映するわけじゃないし。

なおゲーム的な要素としてステータス割り振りができるようになっている。ボーナスポイントを全てLUCに振ってしまうのは私の悪い癖。


さておき、これらの物をまとめ上げなければならない。

事前にお互いの要望についてはやり取りをしているので、あとは顔を付き合わての最終調整だけだ。

妥協の姿勢を見せつつ欲しいものは絶対に譲らない。上手くやれればいいけども、さて、どうなる事やら。

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