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公式のチャレンジボードでクリアタイムが更新されていた。

バッドエンドの最速時間が五分二十五秒。十分以上の短縮となる。

たぶん、私だ。あんな終わり方だったが、RTA記録としては大幅更新には違いない。

関連掲示板が少しざわついていた。

これで私も一番である。あまり嬉しくないことだけが残念だ。





次のキャラは、茶髪に紫目にした。姉弟でお揃いの色合いだ。

今は通学中なのか、チャラチャラした弟と家所有の馬車で相席している。

というか、姉弟で攻略ってどういうことだ? 義理ってこと? 色合わせちゃったよ。


「それにしても、義姉さんが俺と登校したいって、珍しいこともあ──義姉さん?」


「一度でいいから馬車を操ってみたくって!」


ゲームでもなきゃこんな機会ねぇからよー!

カジュアルゲームで乗馬もしたことあるけど、ヘッドギアじゃあ臨場感がどうもね。

その点、馬車を操るのは座ってできることだから、視点だけそれっぽく動いてくれれば楽しめると思う!


思いっきり勢いよく出入り口の扉を開ける。


「ちょ、まだ動いて」


「のわぁぁぁ!?」


外に出ようと飛び出したら、そのままスッ転んだ。

別に痛くはない。

ただ問題は……。


「ヒヒィーーン!!?」


「ぎゃあぁぁぁあ!!」


「いやぁぁーー!!」


「きゃああぁぁぁ!」


「オワタ……」


私は折り悪く対面の馬車に轢かれた。


ガショっと音がして、視界が暗転する。


《ゲームオーバー。バッドエンド:身勝手な行動の代償》


キャラメイク画面に戻る。

速攻でヘッドギアを外して友人に連絡した。


「死んだ!」


『え、どういうこと どのシナリオも死人は出ないはずなんだけど』


「轢死した!」


『え、どういうこと コンサルがうまいことシナリオ修正するはずなんだけど』


「もしかしてハズレAI? え、そんなことある?!」


『こっちが聞きたい。コンサルは調教可能だから、場数を踏んだら救済のないシナリオが発生する可能性もあるだろうけど』


いや通算二回目だよ。

既に調教済みじゃないかよ。

新品買ったぞ。中古でも新古品でもなかったはずよ。


「調教済みコンサルの可能性がある?」


『性格を見抜かれたんじゃない?』


「はっ、なるほど」


せっかちで面倒くさがりな私の性格を見抜いて、さっさと話を終わらせたのか!

めっちゃ有能じゃん!


「最近の技術はすごいね!」


『納得したならいいけど じゃあ私は引き続き飛行船作成を頑張るわ!』


あのスチームパンクぽいのお前かよ。





公式チャレンジボードでクリアタイムが更新されていた。

バッドエンド最速二十一秒。これ以上の速さは出ないものと思われる。

というか、他の人の記録も普通に十分切りが増えまくっていた。


「よくやるなぁ。まあでも、私は次こそハッピーエンド目指すけど」


ここまでで、かなり自由に動けることはわかった。

乙女ゲームとして楽しめるかはわからないが、頑張ればハッピーなエンドにはたどり着けるはず。


ゲームを起動すれば、ポーンと音がして注意書きのポップアップが表示された。


《悪質なバッドエンドを繰り返す行為はおやめください。該当のユーザーは一時アカウントを停止いたします》


「あー、RTA行為が過熱しすぎたかー」


オンラインで繋がっているため、サーバー負荷でも増えたのだろう。

一時的な措置としてアカウント停止に踏み切るのはわかる。

まあ、私は関係ないけど。


「って、あれ?」


キャラ画面に移行しない!?

え、アカウント停止措置?

ちょ、まって、私のバッドエンドは悪質じゃないぞ!


ヘッドギアを外して友人に連絡した。

すぐに答えは来なかった。そういえば飛行船作ってるんだっけ。

次は私もクラフトしよう。半べそかきながら、攻略サイトを巡って作戦を練る。

次は、攻略対象の心象がフラットな平民だ。一番自由に動けるって話だし、次こそハッピーになりたい私にうってつけのシナリオになるだろう。


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