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夏の休みが終わればすぐに秋がやってきて、やれ芸術だ武術大会だと忙しい。

鑑賞会とか課外授業とかも今の時期だね。オペラ鑑賞は冬場にあるらしいけども。

ということで、音楽祭と詩作発表会が控えている。

楽器はミニゲームでポチポチッとなーができるのだが、詩作は完全に自主制作。出来栄えをAIに判定されて成績がつくらしい。盛り込むと良い点数がもらえるワードは攻略サイトに記載があるので引用するとして。

学園行事は抑えたので、次だ。


私は今、二の丸の一室で取り調べを受けている。

警察というか諜報機関なんだろうけれど、王族に不敬を働く人物に対する事情聴取という名の威圧を行う部隊だね、そいつらに拘束されたわけだ。

表だって行動をしていたので目をつけられていたらしい。

先にお父様へ聴取が行われたらしいけれど、扇動は私が自主的に行っている事なのでそこから証拠があがるわけもなく。


刑事ドラマの取調室みたいなところで、黒髪ポニテ眼鏡の美人さんに机ドンされた。

片手は机、片手は腰、覗き込むような形で睨まれて、新しい扉が開きそうになる。

やばい美人さんに責められるのイイ。そっちの性癖はないはずなのに心がざわざわする。


「正直に答えてください。誰の差し金ですか」


「差し金?」


「貴女に、殿下を貶めるように指示した人です。このままでは、貴女を主犯として拘束せざるを得なくなります」


うーん。

でも結局、私から聞き出したとして、こちらの監視の目が緩むわけでもないよね?

証言が本当であるか調べなきゃいけないわけだし。

ポニテ美人さんの態度を鼻で笑う。

さすがにイラッとしたようだ。眉間に皺を寄せて、せっかくのおかおが台無しだぞぅ!


「レニー、下がれ。お前じゃ駄目だ」


「おいっ、彼女は私が取り調べを」


「お前なぁ、どうしたって女子供に甘ぇだろうが。そんなだからナメられんだよ」


そう言いながら出てきたのは、いかにも軍人って感じのぎっちぎちに凝縮された筋肉が目に眩しいワイルドな男だった。タンクトップ似合いそう。

これは……ポニテ美人に詰め寄られて赤面していたら私が嬉しいやつですね。


「嬢ちゃんよ、どこの令嬢かは知らねぇが」


ガン、とポニテ美人さんの比じゃないレベルの轟音をさせて机をぶったたくワイルドメン。

それでも壊れない机……強い……!

脅したいようなので、ことさら怯えた風を装う。

震える私を見て、ワイルド受けがにやりと笑った。


「よお、俺だって乱暴な真似はしたくねぇんだよ。さっさと吐いた方が身のためだぜ?」


「うっ……で、すが……」


「なんだよ、金でも貰ったか? それとも相手に惚れてんのか? お前みたいな小娘、切り捨てられるだけだぞ」


「………」


「言っちまえよ。そしたら、多少は見逃してやるぞ」


「……ル」


「なんだ?」


「ヒューレル様……です……」


俯き、小さな声で告げる。

頭上から、ハッと息を飲む声が聞こえた。


「まさか、宰相様が?」


「んなわけねぇだろ、適当なことを言うな!」


机を蹴ってくるワイルドメン。

それでもゆるぎない机……強い……!


「ぅ……」


怖がるふり。

それでも話さない私に、尋問官は舌打ちをした。


「おいお前、嘘だったらこうだからな!」


言うなり、抜剣して机を真っ二つにするタンクトップワイルド。

うわぁぁーー! 机ええぇぇえええーーーー!!


崩れ落ちた机に縋りつくようにへたり込めば、目の前の男は満足したように笑った。


「分かったな」


罪のない机になんてことを!

二度と動くことのないその姿に涙が溢れてくる。この哀悼を受け取ってくれ。

ポニテ美人さんとワイルドメンが部屋から去っていく。

美人さんの方は後味悪そうな感じ。

君も……机に並々ならぬ感情を抱いていたんだね……。


とまあ、茶番はさておきだ。

しばらくは動けないけど、仕込みは終わっているし、あとは実行すれば良いだけになっている。

そうやってわちゃわちゃなんやかやしているうちに有耶無耶になって釈放されるでしょ。

窓の方に向かって手を上げる。こずえの向こう側がちかりと光った。

後は仕上げを御覧じろ、だね。

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