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デリトスに話をつけた。
まあ、やってくれたのはテルジオ君だけど。
次期当主として、義姉を嫁にするってんで、他家とのつながりが薄くなるわけで。
そこにスカーレット様の事をねじ込む余地があったみたいだね。
二の丸に足を運んでは、うっすらと王子に対する不信感を各所に植え付けた甲斐があったわ。
それに、貴族のみならず王都民にも噂を流しておいた。
使用人から商人から庶民から、いろんなルートで王子をこき下ろした。
まあ、王族に対する不信感を根底に叩き込んだ感じだね。
ということで、見事に王子派とスカーレット派が生まれました! パチパチ!
主要キャラ的には、クロード君がやや王子寄りってところ以外は中立もしくはスカーレット派。
学内でのほうが色々とやらかしているからね、仕方ないね。
「ってことで、デリトスへの活動資金の援助をメインにしつつ、いろいろと問題行動を起こしていこうか!」
「それ、笑顔で言う事じゃないと思います」
執務室で堂々宣言したらトトルに呆れられた。
休暇も補講も終わったんだ。ストレス発散をしたっていいじゃないか。
「それで、どうするんですか」
「デリトスには他の貴族の懐柔を依頼しているよ。元から仲の良いところを引き込んでもらう感じ」
これに関しては、私の伝手も使う。
ロートリシュ卿として各家マダムと仲良くなったからね。こういうところで使わないと。
「それに合わせて、他国との貿易を二人に主導してもらう」
これは単純に、実力を他人に示すためだ。
そのためには王家を説得するところから始めないといけないけれど、そこはあれ、クロード君とミッドラン夫人がいるから、そこから話を持っていけ……ると良いなと思っている。
ま、ダメならスカーレット様に主導してもらって金を稼いでもらえばいいし。
比較対象がいないだけで、功績には変わりない。
もちろんこれは相手方の協力も必要になるわけだけど……。
それについてはガーベラ商団の腕の見せ所だ。
つーか、どうせ魔物のせいで細々した交易しかできないんだから、相手を怒らせたって問題ない。
やりたい放題じゃんっていうね。
「それで、どこを相手にするのですか」
「一つはここ」
この国、ウメダシュウヘンは農業を中心に発展した国だ。
完全に名前すら浸食されてしまった。王族のファミリーネームなんだぜコレ。
そして、私が示したのはワカヤマ。名前の通り、南側にある国である。
交易街道の名前がキンテツとナンカイなのどうにかしてよ。社名使ったら訴えられて負けるぞ。
ともかく、こちらは果樹栽培が盛んである事と、海があるので塩が取れる。
交易品はもっぱらそれで、生活必需消耗品なので公共事業でもある。
このルートを太くする、というのが一つ目の課題。
そして、もう一つ。私は指を北東に向けた。
京都でも滋賀でも奈良でもない。こっちにあるのはレイオラルという名前の小さな公国で、主要産業は宗教。違った、織物。意味深な模様がエキゾチックな逸品である。
ここと手を組むのがもう一つの課題。
小さい国だしあまり誰も気にしていないけれど、宗教というのはバカにならないバックを持っているもので、なまじっか聖地扱いされているからそれだけでも関連商品がめっちゃ売れる。
他の国でも国教になっていたりするから、その国相手に優位性のある商売ができる。
味方にできたら心強い事この上ないのだ。
まあ、取り込まれなかったらね。
「名前が……やっとデフォルトネームが出てきた……」
周辺国が一部和名になっててややこしいんだよ。
琵琶湖とか王都の北西方面にあるしよ。
「現在の対立構造を深刻化させて、次期国王として手腕を発揮するという理由で、この二つをねじ込みたい。んだけどね」
「うーん……鶴の一声が怖いですね」
お互いを争わせることも、解決策として課題を出すのも、まあできなくはないんだけど、一番の障害は国王だ。
彼ないしは彼の代行者が、次の王様はコイツ! ってあの無能を指定してしまえばどうしようもなくなる。
「すこし眠っていてもらいたいねー」
「さすがに本殿は警備が厳重ですよ。寝室前の控えの間にも親衛隊が詰めていましたし、窓もハメゴロシで開閉不可です。おそらく魔道具も使われているかと」
なんでそれを知っているのかって話だよね。
いい笑顔で両手を差し出してくる。
その手に焼鳥屋のクーポンを置いた。
「なんでしょう」
「美味しいよトリキ」
笑顔のまま無言で突き返された。
和洋折衷の世界観! です!




