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リリアナちゃんは寮住まいだ。

ロートリシュのように王都に屋敷があったり、私のようにタウンハウスを賃貸していたり、王都に住んでいれば通いで学園に行くことができるけれど、彼女の場合は隣町出身である。

宿屋をとったり家を借りるより安上がりだし、治安面でも安心なので寮住まいをする地方貴族もいる。

専属の使用人もいるそうで、場合によっては実家よりも良い暮らしができることもあるとか。なお、横柄な態度をとったり学則に反すると即座に退寮となるので、寮生はかなり大人しい生徒が多い。


ということで、門限の時間いっぱいまで彼女を外に連れ出すことにした。

寮生が戻らなかった場合、その原因にまで波及し、たとえ王族でも罪に問われるというのだからさすがの対応である。

彼女を返せなかったら莫大な寄付金を募る必要が出てくるため、時間厳守で頑張ります。

行き先はちょっと遠いので、馬車を使っての散策だ。


「リリアナさん、城下街まで出たことはあるかしら」


「いえ、学園内で色々と揃いますし……」


学校に併設して商店もあるからね。

遊ぶにしても学ぶにしても必要な買い物は学園の敷地内で完了する。


「そうなの。確かに学園の支店で全て完結するものね」


そして貴族狙いで学園専用品が多い。

学生限定豪華十段パフェとか、グループでの注文を狙ってるんだろうけど、食べたいのにボッチの私では手が出ない一品もある。少しだけ摘まんで残すことが前提の可能性もあるが。


「じゃあ、あのようなお店は初めて?」


学園内にも店舗はあるし、生活する上では全く不便がない。

だがもちろん、必要のないものは存在しない。


「おもちゃ……ですか?」


「正確にはお人形専門店かしら」


「随分と本格的ですね……」


「趣味の店だもの。人形に関する事であれば、何でも揃うわ」


移動しつつなので直ぐにそのお店は見えなくなってしまったけれど、外への興味を引くのは十分だったようだ。

対面する私の事を気にしていたリリアナちゃんが、今は無邪気に景色を見てはしゃいでいる。

外の景色が貴族街から商店街、中街、職人の街と移り変わるにつれて、落ち着いてきたのか、彼女はこちらに視線をくれた。


「なにかしら」


「どこに向かっているのですか?」


「靴屋」


端的に答えるとビックリされる。

貴族用の靴はもちろんこんなところにはない。

革靴やブーツ、作業用の靴などの武骨なものしか存在しない場所だ。

だからここに来た。


「よく足を踏まれていたでしょう? そういうときのために、鉄板を仕込むのよ」


「そうなんですか?」


「私も、昔は父と練習をしたのだけど、よく足を踏んでしまってね。いつの間にか鉄板を仕込んでらしたわ」


「あんなにお上手なのに、そういう時期もあったのですね」


「ふふ。だからあなたも同じようにすると良いわ。私は踏んだ方だけど、効果的みたいだったから」


嘘である。

だが、こちらが微笑めばリリアナちゃんも笑い返してくれた。

うーん、さすが主人公を張れるキャラ、可愛い。





友人からラインが届いていた。


『至尊雄胸』


新たな境地に到達しているらしい。


「なにかあったの?」


『リドケイン様が攻略対象になりました』


即答あったけど敬語……?


「どういうこと」


『元々テルジオ様目当てだったのは知ってるよね?』


「うん。ビジュアルと声目当てだったよね」


『それよりもクラフトが楽しくなっちゃったのね』


「うん。掲示板に自作都市のスクリーンショット上げてたね」


『フリーシナリオだからできるわけじゃん?』


「つまり攻略対象もフリー化?」


『そう! そう! そういうこと! メイン四人を攻略しないとノマエンのはずがルート様ハピエン報告が入ってね!!』


ルート……誰だ?

わからないけど、メインとして紹介されている四人以外である事だけはわかる。


『次いでスカーレットエンドも報告されたわけだよキミィ!!』


「なにいィ!!?!?」


『ってことはリドケイン様エンドもあるってコトじゃん?!』


「あの人、既婚者じゃないっけ」


『なんとかする』


「不倫と暗殺と陰謀はやめとけよ」


『なにもできないじゃん』


する気だったのか。


しかし、もう一段階自由度が上がるとは思わなかった。

そもそも、攻略サイトは基本情報くらいしか使い道がない。

シナリオ自体は基礎部分があるものの、プレイヤーの言動一つによって千差万別にわかれていくからだ。これがこのゲームの一番の特徴、AIコンサルが紡ぐフリーシナリオシステムである。

友人曰く、王子も育てかた一つで傲慢俺様系から気弱僕ちゃん系に豹変するというし。


「つまり、好きなキャラ同士をくっつけることも可能なのでは?」


『試している報告あるよ』


「やっぱ同じこと思いつく奴いるよな。成果のほどは?」


『疑似BLをエンジョイしてる 悲鳴聞く?』


「なんで悲鳴だよ、話の進め方教えてよ」


『まだ悲鳴しか報告ないから無理』


「そこから察したのか共感力の権化め」


『続報出たら教えたげる 私もやるし』


とりあえずは今のストーリーを進めるけど、次にやる時はそっちかな。

予想以上に長くなってて自分が困惑しています。

そろそろ巻きでいきます。

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