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4 救出準備

 アサヒに頼まれたものを作りながら空いた時間はレオン救出準備の時間にあてる。


 ほとんどのものは店の中というかナナシのマジックバックの中に入っているので、それさえ持っていれば割と大丈夫なのだが、足りないものもあったりする。


 なので街の中心部まで来たのはいいのだが……。


「ナナシさん!あれはなんでありますか?」

「騒ぐな、目立つなって言ったよな」

「いいじゃないの。お上りさんだと思われてるみたいだし」


 ついでだからと領主の家まで行ってリジーに顔を見せに向かったのが悪かった。


 レオン救出の準備なら自分も一緒にと泣きつかれ、アサヒの後押しもあってナナシが折れる形でリジーも買い物に連れて行くことになった。

 ナナシとしては余計な騒ぎになると面倒なので領主宅にいて欲しいのだが。


 そんなわけでフード付きの外套をリジーに被せて街に来たのだが、リジー(一文無し)はどうするつもりなのだろうか。


 完全に世間知らずのお上りさんだと思われているリジーはクスクスと街を歩く人たちに笑われていて目立つことこの上ない。

 しかし、貴族と冒険者でごった返すこの街じゃ特別珍しいといったふうではないので優しい笑みを向けられるだけで気にされるわけでもないが。


「まずは回復薬(ポーション)かな?レオン君がどういった状況かも分からないし、種類揃えた方が良さそうだ」

「そういうもんか」

「業者によって扱いってけっこう違うからね」


 その辺りはお前に任せるとナナシはアサヒの意見を参考にすることにする。

 おそらくこういったことはナナシよりアサヒの方が詳しいはずだ。裏表関係なく護衛依頼ばかりを引き受けてるから。


「質の悪いところだとクスリ漬けもザラだし、おじさんたち回復魔法なんてまともに扱えないでしょ」

「あーじゃあ、全種買っとくか。あって困るもんじゃねぇかんな」


 回復薬の店に着くとナナシは上級回復薬を全種数本ずつを上客のように買い込んだ。ついでに滅多に出回らない超上級回復薬もあったので買っておく。


「なんだ、お仲間引き連れて冒険者にでも転職するつもりかよ」

「ならねぇよ。ま、出かけはすっけど」

「そうか。お前がお得意様になりゃ儲かると思ったんだがな」


 ナナシが代金を払うために金額を尋ねると、店主は値引きするから素材を取ってきて欲しいと言った。


 職人街じゃよくある話なので驚くこともない。

 同業者や職人同士だと伝えるのに苦労しないのと、欲しいものぴったりのものを的確に持ってきてくれるのでそういったメリットもあったりする。


「時間かかってもいいってんなら」

「いつでもいいぞ。魔法の秘薬(エリクサー)に挑戦してみようと思ってるだけだからな」

「作れるでありますかっ!?」


 リジーが興味津々と発言をして、ナナシはやってみるってだけだと言ってこれ以上ここにいては面倒だとリジーの背中を押してさっさと店を出る。


 魔法の秘薬は最古の龍(エルダードラゴン)と同じくあるとされているがないと言われるものだ。


 製法が失われてからは存在するか怪しいものとなってしまっているが、実在するのは確かなのである。まぁ、作り方が残っていたとしても作れるのはほんのひと握りだろう。


「さすが職人街だね。向上心が高い」

「半分娯楽って気もするけどな」


 そんなものがあるのなら作ってみたいという好奇心が1番の理由だと推測するナナシからすれば職人たちの娯楽なのだ。言い換えるのであればロマンと言う言葉が適切だろう。


 次に向かったのは服屋だ。

 主にリジーのためである。常に外套でいるとは言ってもサイズが合っていないのでよくない。獣人だと知られて騒ぎになるのは出来るだけ避けたい。


 ナナシは店主に事情を伝え、服屋の店主1人に対応してもらえるようにするとリジーは即座に店の奥の部屋にすごい勢いで引っ張り込まれた。


 獣人の服を作れるなんてとテンションが上がりきっている店主による暴走だ。好奇心が勝るらしい。


 言っておくとナナシは店の奥にはついて行かなかった。

 相手がレオンならそうしたかもしれないがリジーは女の子なので配慮したわけだ。リジーは店主のテンションに怯えて助けを求める目をしていたが危険はないので見送った。


 店員たちは店主の暴走具合に何があったのかとナナシに詰め寄る。度々暴走することはあったはあそこまではナナシの持っていた服の加工の時以来だ。


「あのお客さんは?」

「事情があって姿を晒せないって客」

「そうですか」


 ナナシの回答で店員はすぐに引き下がった。

 冒険者や貴族が多いこの街じゃ、様々な事情を持つ者も少なくないので余計な詮索は基本しないのだ。


 その代わりと言ってはなんだが、職人街は人を見抜く力がけっこう高いの人が多く出入りしているので詮索しなくても警戒はされる。

 職人に貴族、冒険者、商人と一流の人間は職業以外でも見抜く力は一流らしい。


 待っている暇だと店内を見て回っていたアサヒは、ナナシにこの店の服が自分に似合うかと問いかけ冷たく返され、専門家に聞くと店員に尋ねていた。

 結局、着慣れたものが1番とオーダーメイドでワフクを頼んでいた。


 あとは細々したものを買い込んで店に戻り、アサヒの武器やリジー用の装備などの準備をやっていく。

 一応、簡易版のレオンの装備も作っておく。静かに救出できるのでベストなのだが、上手くいかなかった場合は暴れることもあるだろうから。

職人街の職人たち


一芸に秀でた、極めようとする人たちである。


特に職人街ではそのレベルの高さもあって古い文献に乗っているものなど再現しようと試みる職人たちも多い。


新しいものを作る気概も持っているが、大災前の技術は憧れるものらしい。

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