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30 サプライズということで

「あー、身体中がいてぇ」


 首をコキコキと鳴らしながら鍛冶師は鍛治スペースの近くに作られた休憩スペースのソファに倒れ込んだ。


「ずっと働き詰めだからね、珍しく」

「こんな働いたのは初めてっつーか、珍しいとか言うんじゃねぇよ」


 鍛冶師のツッコミはいつものキレがなく、鍛冶師がかなり疲れていることがよく分かる。

 いくら簡略化された設計だと言っても手を抜いて作れば動作不良を起こし使えない魔道具になってしまうので手は抜けない。


 というか動作不良だけで済めばいい方で、下手すると爆発したりと危険物になってしまいかねないので確実に作ることは大切だ。

 鍛冶師は何度か爆破させたこともあるのでどれほど危険かは分かっているし、それでモンスターを倒すなんてこともやったことがあるらしい。


 ルーグは疲れ切っている鍛冶師に冷やした水を用意し、鍛冶師が作った完成した魔道具を箱に詰めておく。

 毎日夕方に誰かしらが取りに来るので運びやすくしておくためだ。その時に追加の材料が持ち込まれる。


「これでよしっと」

「ありがとな、ルーグ。にしても随分と大規模になっちまったな」

「ごめん。まさか父さんたちがあんな――いたっ」


 申し訳なさそうな顔をするルーグのデコに鍛冶師はチョップをいれる。


「責めるために言ったんじゃねぇよ。むしろ助かったってもんだ。ま、ここまで協力的なのは予想外だったけどな」

「うん、そうだよね。街を上げてなんてさ」

「思うところがあんだろうな」


 ――ブー。


 微かにブザーの音が聞こえてくる。

 炉の近くにいるとどうにも聞こえにくいが、間違いなくブザーがなった。


「誰だろ?」


 荷物を取りに来るにはまだ早い。

 ルーグは客人の相手をするために店側に向かった。疲れ切っている鍛冶師は復活するのにまだ少し時間が必要そうだ。


「あ、フィリーさんたちか。おかえりなさい」

「うん、ただいま」


 ルーグはお茶を淹れてくるとすぐに奥に引っ込んだ。ついでに鍛冶師に客人がフィリーたちだったと伝える必要もある。

 フィリーたちならルーグがあれこれ言う必要もないのでそれで問題ない。


「フィリーさんたち帰ってきた来たよ」

「まじか。ったく、忙しいのは重なるもんだな」


 立ち上がって大きく伸びをした鍛冶師は店に向かう。


「今回も無事帰ってきて何よりだな」

「大事な戦いを前に死ぬわけには行かないからね」

「ま、そりゃそうだ。ロイのは完全特化にすっけど、お前らどうすんだ?」


 時間もないのですぐに鍛冶師は装備についての話を始める。

 今回の強化はおそらく1から作るよりも時間がかかる。それだけ組み込むものも多いのだ。


「私はいつもので行く」

「僕は魔剣の調整をお願い出来れば」

「消費魔力減少!耳は要らないわよ」

「ロッドの耐久性を上げていただければと」


 それぞれ要望を言う。

 相性が悪いわけではなければ使い慣れた装備の方がいいのでフィリーたちのは強化ではなく調整になった。


「へいへい。……8日くらいはかかるか」

「わかった」

「わかりました」


 今回の戦利品は事前にアルゼルが鍛冶師に必要になりそうな素材を聞いていたため、すでに分けられていて鍛冶師はすぐに作業にはいり、入れ替わるようにルーグがお茶を持ってやってくる。


「そういえば街全体が忙しそうでしたがルーグさんは何か聞いてますか」

「え、あーうん。なんか国家プロジェクトとかって……」


 周りの大人たちに口止めされているだけにルーグの真実を言うことが出来ないため、事前に用意していた嘘をつく。


 これは一応ネームドの存在をなるべく伏せておくためでもあり、ロイが必要以上に力まないようにするためでもある。


「へぇ、そんなことが」

「うん。だから父さんも帰ってくるのが遅いんだ。楽しそうにしてるけど」


 自分たちの知識を総動員して作り上げた(設計した)ものだけあって、どこまで通用するかなど楽しみでしょうがないらしい。

 まるで新しいおもちゃを見つけた子供だ。


「あ、でもお店はどこもいつも通り開いてるから。心配しないで」

「そうなんだ」


 魔道具は見習いでもギリ作れるような作りのため、通常の仕事をしながらでも大丈夫なようで通常通りとのことだ。


「こんちは〜、今日の分受け取りに来ました〜」

「すぐに持ってきます。それと、お客さんが来たからしばらくお休みで」

「だったらちょうど良かった。もうちょいで作り終わるんで」


 完成した魔道具の回収の人がやってきた。今日は鍛冶師の見習いだった。魔道具師の人たちと違って息を切らしていない。


 ルーグは工房に行って鍛冶師が作った魔道具を運んでくるが、ルーグには重すぎたのかふらついて転んでしまう。


 散らばってしまった魔道具はロイたちも手伝い、箱に入れ直し回収されて行った。


「ここでもやってたのね」

「比較的ヒマだし才能はあるから」

「つまり人材の有効活用ですか」


 大規模になってしまったが、一応鍛冶師が請け負った仕事なわけでやらない訳にもいかないのが実際だ。まぁ、他のところの話だったとしてもやったはずだが。普段適当な感じだが無駄な犠牲が出るのは好まないから、あの鍛冶師は。


 魔道具も回収されルーグもそろそろ家に帰る時間になったため今日はお開きとなった。

魔道具


魔剣と違い魔力を込めることで発動する。

明かりや冷蔵庫など日常生活に役立つものもあれば、トラップなど魔法を発動させる魔道具もある。

ちなみにマジックバックも魔道具。


最近は風がなくても進む船が開発され話題になっている。



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