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24 類は友を

 グリフォンがネームドと知り、ロイたちは装備が完成するとすぐに対グリフォン用の素材を入手するべく職人街を旅立った。


 ネームドと言ってもグリフォンはグリフォンなので、基本的な対策は変わらない。そこにちょっとプラスアルファをすればいいだけだ。

 モンスター学者(オーウェン)がいるので対策は万全に出来るはずだ。あとは時間が許す限りの対策をやっていくだけでいい。


「と、口だけなら簡単ですぞ。しかし、いざ実践では難しいというもの」

「うん、それは分かる。思った通りにはならないもんね」


 オーウェンからグリフォンの話を聞いていたルーグは、その話に頷いてわずかに寂しそうな顔をした。まだ完全には吹っ切れてはないらしい。


「そうですな。拙者も才能がないゆえ逃げ帰るしかできず、日々歯がゆい思いをしておりますぞ」


 このモンスター学者は全くと言っていいほど戦いの才がない。だと言うのに護衛もつけずフィールドワークメインで活動していて、毎回生きて帰ってくるだけでも奇跡いっていいほどだ。

 危険な目に会うわりには懲りずにまた外に出る。そのために鍛冶師に調査に合わせた防具を容易してもらっているわけなのだが、命知らずもいいとこである。


「ほれ、出来たぞ」

「ありがとうございますぞ。これで安全に向かえるというものですな」


 オーウェンの言葉に鍛冶師はさぞ天狗になるかと思えば、鍛冶師は調子に乗るわけでもなくオーウェンの額をつついて真面目な顔して返す。


「過信すんなっつーの。毎回言うが無敵なんて存在しねぇんだかんな。万能すらあるか危ういってんだ」

「心得ておりますぞ」

「ならいいけどな」


 溜まった仕事は全て片付けたと鍛冶師は木箱の上に寝転がった。ここ最近は珍しく仕事が多かったので余計に疲れたのだろう。装備の新調や手入れだといつもより多忙を極めた。

 こんなに忙しくなったのはたぶん初めてだ。


「お疲れ様。なにか飲む?」

「おーそうだな。ほうじ茶の気分だな、まだ残ってはず」

「淹れてくるね」


 労いも兼ねて鍛冶師の要望を聞いたルーグは、お茶を淹れるために奥の部屋に向かう。

 鍛冶師のリクエストはルーグやオーウェンにはあまり馴染みはないのだが鍛冶師は疲れた時に好んで選ぶ。簡単には手に入らないのでなかなか飲めないのも理由ではあるけど。


「そーいや、この前ギルのやつが来た」

「ギル殿が?久しく会っておりませんな、元気にしておりましたかな」

「相も変わらずキザったらしい」

「それでこそギル殿というもの」


 知り合いというよりか友人といった方が近い関係の彼らはたったそれだけの会話でも相手が元気でいると分かる。

 鍛冶師の反応も、それ対するギルベルトの返しも見てないくても想像出来てしまう。


「お前はよく平気だよな」

「癖のある人にお会いする機会も多いゆえ慣れているのですな。冒険者にしろ、貴族の方にしろ」


 モンスター学者であるオーウェンは立場上色んな人と会う機会が多く、そのためか少々変わった人と出会っても引くこともなく普通に接している。

 ついでに言えば、オーウェンは立場が上にいる人ほど変人奇人も多いと言っている。強いモンスターを討伐した冒険者や辺境伯など、割合そういう人ばかりなどど笑っている。


「わからなくはない。つか、類は友を呼ぶのが合ってんじゃねーのか」

「そのような言葉が。それは一考の余地がありますな」


 オーウェンは自分も変人だと言われてるのに気がついているのかいないのか分からないが朗らかに笑っている。まぁオーウェンのような人間がモンスター学者としてやっていること自体酔狂なわけで否定もできない。


「おまたせ」

「お、サンキュー」


 ルーグが運んできたトレーから自分のカップだけひょいと取った鍛冶師はオーウェンの対面、ルーグの隣に腰掛けると机上に置かれていた菓子を摘んだ。


「あ、そうだ。ロイ(あの)剣ってオパールドラゴンと嘶き熊が入ってる?似てる感じがしたんだけど」


 オーウェンにもお茶を配ったルーグは思い出したと、この前見つけたロイの剣の素材を鍛冶師に聞いてみる。

 暇なときに鍛冶師の素材置き場とにらめっこしながら探しているものの、まだ全問正解は出来ていないが少しずつ使われている素材は分かってきている。


「正解!自分で手に入れたと仮定すりゃ、ロイ(あいつ)のじーさんは手練だったのかもな。ま、気が合っただけかもしれんが」

「どちらにせよ、すごいというのは変わりませんぞ」


 鍛冶師に言わせると宝石の名を冠したドラゴンは倒すのではなく打ち解けるものらしい。

 ドラゴン自体非常に強いこともあるのだが他のモンスターと違い意思疎通が図れることや、ドラゴンは自分の巣に落ちたウロコなどをそのまま放置していることが多いようで好きなだけ合法的に持ち帰れるという。


 かといって、大量に持ち帰るにはドラゴンの素材はどれも大きいのでそれで財産を作るのは難しい。そもそも、宝石の名を持つドラゴンにはなかなか出会えるわけじゃない。


「じゃあ、ロイはオパールドラゴン探さなきゃいけないってこと?」

「そーなるな」


 気がついた事実をルーグが口に出せば、鍛冶師はそうだと頷いた。まるでなんてことないとでも言うように。

オパールドラゴン


その名の通りオパールのような輝きを放つウロコを持つドラゴン。


ドラゴンとモンスターは全く違う生き物だが世間的には同じように扱われている。おそらく、ドラゴンもモンスターもどちらも脅威のため同一に見られているからだと思われる。

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