表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/146

18 鍛冶師流素材集め

 飛行モンスターに慣れるための討伐に向かったロイたちは翌日には戻って来た。


 ゴブリンの時ほどボロボロにはなっていないが魔法を使いすぎたためかロイは疲労の色が濃い。


 剣が届かないのなら魔法で、しかし、飛行しているモンスターというのは大抵すばしっこいので初めのうちは魔法を1発当てるだけでも苦労する。

 落ち着いてやればそこまで難しいものでもないのだが、相手が大人しくしていてくれるわけでもないからどうしても狙いが定まらない。


「その辺はパーティーの強みだな。しっかし、魔法がノーコンとは」

「えぇっと、向いてないってことでいいのかな」


 鍛冶師の言葉の意味は正確に分からないが、ロイたちの話も話からもルーグは推測してそう導き出した。

 それに頷いた鍛冶師はやっとのことで探し出した飛び道具の箱を引きずって運んでくる。


「昨日見つけたから置いとくぞ」

「うん。ありがとう」

「試してみなくては分かりませんからね。やってみましょうか」


 ひとまず鍛冶師の用意した武器の量が多いので候補をいくらか挙げて実践をしてみることに決まった。ロイの焦る気持ちもあるので近場で少しだけやることになった。


 金銭面についてはアルゼルが上手いことやるだろう。資金稼ぎに冒険者なんてやってるがあいつの本職は商人なのだ。だからお金については口うるさい。


 ロイたちが飛行モンスター退治に再び向かうと弾や矢の在庫を調べるとかったるそうに息を吐いた。

 どうやらほとんど在庫は残ってなかったらしい。


「すごい特殊なのしか頼まれないからね」

「しゃーねぇな。ちょっくら行ってくっか」


 鍛冶師は弾や矢の補充、ついでに他の素材の在庫確保のために素材を手に取ると何故か店の裏に回った。ルーグは特に何かを言うわけでも鍛冶師を見送るとすぐに戻ってくるだろうしお茶でも用意しておくかと席を立った。


 鍛冶師が向かったのは店の裏にある一見すると何もない小さな洞窟で、しかしちょっとした秘密がある。


 洞窟に素材を投げ入れると、洞窟の中にその素材のモンスターが現れるのだ。なので素材ひとつ調達出来れば珍しいモンスターの素材でも増やそうと思えば増やせてしまう。


 しかし洞窟のルールがあるのでそう上手い話ではないのだ。

 中に入れるのは2人までで、外に出るには出したモンスターを倒すか、中に入った人間が気絶もしくは死亡するかのどれかしかない。その上、戦う場所が狭く遮蔽物もなく動きが制限される。

 そのためあまり使い道のない洞窟ではあるのだが、時にこうして鍛冶師は必要になった素材を集めるために利用する。現地に行くのが面倒だとか言って。


「今回は何持ってたんだろ」


 茶筒の置かれた棚に行く前に、素材置き場に向かったルーグは鍛冶師の対戦相手がわかるかもと素材の在庫をざっと確認する。

 ここも割とルーグが掃除しているので素材の増減はある程度分かるのだ。


「うーんとないのは……」


 鍛冶師が最近使っていた(自慢された)素材を思い出しながらルーグは何がなくなっているのかを判断して呆れる。ドラゴンほどはいかないがなくなっているのはどれも高ランクに位置するモンスターの素材だ。


 さすがに1度に全てと戦う訳ではないのは分かっているが、よくもまぁそんなことをするものだと思う。鍛冶師は格上ばかりに囲まれて生きてきたのでその方がむしろやりやすいと言うが。


「あれ、これって剣の素材?」


 ルーグはロイの持ってきた剣を見て確かめる。素材の特徴と似ているところがあるのでおそらくそうなのだろう。


 それは鍛冶師が戻ってきてから正解かどうか確かめるとして、なくなっている素材も分かったのでルーグは今日のお茶について考える。温かいのもいいが濃いめに淹れ氷を入れて冷たくしようと決めて準備に取りかかる。飲み物を冷やすくらいの氷なら作れる。


 いつもより多めに茶葉をポットに入れるとカップの用意だけしていつでもすぐに淹れられるようにしておき、あとの余った時間はモンスターや素材についての勉強に当てる。鍛冶師が昔自分用にモンスターについてまとめたノートだ。


 その先に目指すものがある訳でもないのだが、なんとなく鍛冶師に教わってばかりも悔しい。どうしてだかそういう気持ちにさせられる。


 鍛冶屋がオレンジ色に染まり始めた頃、鍛冶師は裏の洞窟から戻ってきた。素材は手で持ちきれないと台車に乗せて。


「ただいま〜っと。いやー、いい汗かいたぜ」

「おかえり。誰も来なかったよ、いつも通り」

「なはは、閑古鳥が鳴くってな」


 ルーグの言葉に鍛冶師は笑い、ルーグは鍛冶師が帰ってきたのでお茶を淹れに行く。準備だけはしてあるのですぐに出せる。


「お、サンキュ。冷えてんのが憎いね、サイコー」

「それくらいしか出来ないし」

「才能だと思うけどなぁ」

「どこが?」


 鍛冶師の言葉にルーグは否定的に返し、鍛冶師はそれ以上何も言わなかった。

 ルーグが父親に鍛冶の才能がないと言われて以来、才能という言葉を好きじゃないのを知っているからだ。しかし、きめ細かなサポートとしてはルーグの才能と鍛冶師は思っている。本人が気づくまではあまり言うつもりもないが。否定されるし。


 鍛冶師がお茶を飲み終えるとルーグはそれらを片付けると空になったお弁当箱を持って家に帰る。

 ルーグを見送った鍛冶師は気持ちを切り替えるように大きく深呼吸すると弾や矢を作り始めた。

店の裏の洞窟(幻夢の洞窟)


鍛冶師が言うには古代文明の名残だそうだ。


こういった場所は世界各地にあるのだが使い方が分からずただの空洞として放置されていることが多い。

なので倉庫として活用されていたりするとか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ