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幻想の地

作者: ダルル258

「ガチャガチャ。」

古びた赤い観覧車はおよそ、人が聞いたら恐怖を感じるであろう音を出しながら、回っている。


「、、、?」

ここは、どこだ?


私はそんな古びた遊園地にて、目を覚ました。

観覧車は楽しい音楽を奏でながら、ただひたすらに回っている。


「さっきまで、、バスに乗ってたはずなのに。。。」


これは、夢?

   それとも、現実?


その遊園地に人は一人もいない。

風船が飛んでいたり、壊れかけのぬいぐるみがあったりする。そんな愉快な遊び場。

        それでもここは、私にとって、とっっても安心出来る場所だ。


「スっー」

少女は大きく空気を吸った。

「ハッー」

少女は気持ちよさそうに空気を吐いた。


『少女は一人、安堵した。』


その少女は黒い服を着た、足から髪まで全身が白い、白き少女。

黒い服は他の色をかき消してしまう程に黒く。

      白い肌は人として、存在していいのか分からぬ程に白い。


「とりあえず、遊園地を探索していきますか。」

私はグッと、準備体操のような動きをしながら、遊園地内を探索し始めた。


ーーメリーゴーランドーー


まず最初に少女が行った場所は赤い観覧車のすぐ近くに存在するメリーゴーランド。

そのメリーゴーランドには豪華な着装をした白馬がたくさんいた。


キッキッと音を発しながら、メリーゴーランドは回り続ける。


「、、、ふふ。」

子供が遊ぶ景色を思い浮かべて、少し、笑ってしまった。


「あー、、、!、なんだか、乗りたくなってきた!」

私は動き続ける白馬のタイミングを見、気をつけながら乗った。

「ん。」

その白馬は硬かった。

毛並みのような肌触りを期待した私はなんなんだろ?


白い髪は風によって靡く。


「お、意外と速いな。」


私は回り続けて目が回って、降りれなくなりそうだったので、降りるタイミングを見定めながら降りた。


私はここでひとつ、ある事に気づく。


あれ、、、、私、この遊園地に来たことが、、ある?


当然、覚えていることは何もない。それでも、なんだか懐かしい気持ちになる。


これを私は遊園地に来たことがあったからではないか、と考えた。

               『故に、私はこの遊園地に来たことがある。』


ーーー


気づくと遊園地は夜になっていた。

観覧車とメリーゴーランド、それに街灯がピカピカと光り始めた。

しかし、空には月も星もなく、暗い世界が続いていた。


街灯は黒い。その街灯の中で火が燃え盛っている。


いや、これは火にみせた電気だな。


しかし、その街灯を見ていると、本物の火のようも見えてきた。



ん〜、、、え、これどっち?




ーーーカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチーーー


私は街灯の光の中に飲み込まれた。





そこは映画館。先程まで私がいた遊園地がスクリーンに映っている。

映画館では私、一人だけ。


「ここはどこ?!」


私はかなり戸惑った。

がそれよりも、ここの居心地が悪いことに気になった。


「どっか、、、行きたい。」

私はフラフラとスクリーン258番から逃げ出した。



ーー映画館・管理室ーー


私は走った。(コケた。)


だから、映画館がとてつもなく広いことはすぐに分かった。

少し、疲れて歩いていると、ひとつのドアに出会った。

私はそのドアの中に入って、『やっと安堵した。』


その部屋は管理室。よく分からない機械のようなものが沢山置かれてある。

私はその見ても分からない機械を「ほえ〜」とみながら、進んで行った。


その部屋の奥で、

   『私は鍵をみつけた。』


その鍵は世界の鍵。

世界から移動するために必要な鍵。


私はこの世界に安堵した。


私は最初いた、スクリーンがあるところに歩いていった。


ースクリーン番号258の間ー


258番に入ると、そこには1人の男性がいた。


男性はコチラに気づき、少女に視線を向けた。


「ーーっ!」私は声を詰まらせた。

彼は消えた。


私は彼に乗り遅れたのだ。


胸が痛い。痛いんだ。

「痛くて痛くて、たまらない」


私はその最中、花を想像した。

その花は優しい花。誰もを等しく穏やかにする、綺麗な赤色の花。


「、、、行こう。」

私は鍵を使った。


ーー堕ちる世界ーー


堕ちる。体が大の字になりながら、ただ堕ちる。

服が風によって上に靡く。

白く、不思議な世界。触れれないけど、大きな時計とか、鉄筋、机が見え、今までと比べて非常に不思議な世界だ。


世界が歪み始めた。


「馬鹿みたい。」

目から涙が零れ、涙が上に上がっていく。


救われない、これはなんのため?、、ねぇ?

頭が回る。いや、廻らない。


これは全て私だけのため?


堕ちる。


苦しい。私はあなたの事をずっと考えてる❗️

それなのに、君は何を、見ているの?


「映画館で君が見ていたもの、それはスクリーン?それとも。。」


ーーー


幕は下がり、すぐに上がる。


ーーー


「はぁ、、、はぁ、、、」

私は気が付くと遊園地で目が覚めた。

しかし、そこは白黒の色の無い世界。

赤かった観覧車は黒く、色が無くなっている。


でも、どうしてだろう。私、この世界がすごく居心地がいい。

今まで来た世界の中で断然、この世界が居心地がいい。


それは私が色が無い存在だからってこと?「そんなこと、ない、か。」


夜だ。闇だ。


静寂が始まった。


先程まで、楽しい音楽でいっぱいだった遊園地は音が無くなって、暗い雰囲気を漂わせている。


やっぱり、ここは居心地がいい。一生ここにいたいと思う。

けど.............この世界はどうしようもなく、惨めな世界だ。


彼は映画館で、私を見てる....はずなんだ。。。彼に私の惨めな姿は見せられない。


彼....彼のために!行かなければ。


私は走り出す。カラスは飛び出した。しかし、すぐに体勢を崩して落ちてしまった。

やはり、ここはダメだ。


鍵、鍵を探さないと!


鍵は世界で最も大切な場所にある。なら、、なら、、私はどこが1番気に入る?

そうして、私は観覧車に戻った。


そして、観覧車に乗る。


私は遊園地全体を見た。

森で覆われており、観覧車、メリーゴーランド、街灯以外にも沢山のアトラクションがある。それでも、私はそれらのアトラクションに魅力を感じない。


観覧車、メリーゴーランド、街灯これらが大切なの?


私はここで何があったの?

頭がぐちゃぐちゃだ。



私は観覧車、メリーゴーランド、街灯の中で、鍵を探し、歩き回った。それでも鍵は見つからない。


街灯を見る。


「ーーっ。」私は何を言えばいい?

君に何を言えばいい?


なぜ、言わなくちゃいけないの?



言う必要があるということは、

  「私にはまだ、愛があるということですか?」


置いてかれる感覚、嘘をつかれる感覚、それらは全然辛くなんてない。

というか、騙されることが心地いい。

彼は非常に愛おしい!


この感覚は何⁉️最っ高じゃん❗️


少女は一人、白黒の世界で狂い出す。


気が狂いそう❗️たーのしい!


彼に裏切られる❗️悲しい、だから、楽しい❗️


なんで?!この私が❓どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして。ねぇ、どうして❓


私は涙を少し落とす。



悲しいと楽しいは、なるほど、紙一重なのだな。


あ〜、気狂いが収まってきた。。。


こんな状態では、、、君が言うのも当然。か、



私はそれでも歩く、彼に失望されないために。

「街灯越しにこの様子を映画館で観てくれているはずの、彼に、『私』を、、あなたにとって良い『私』を見せるために、この良くない白黒の世界から抜け出さないと行けない。」


街灯は何も反応しない。


私は世界から見捨てられたのか?

    私はあなたにもう、見捨てられたのか?

         いや、元々、見捨てるつもりだったのかもしれない。



ーー白黒の世界ーー


世界は朽ちることなく、あり続ける。


乾いた空気を纏った風は私の灰色の髪を通り抜ける。


私は諦めない。それでも、今は、動かない。

  回り続けていた観覧車とメリーゴーランドはいつの間にか、動くのを辞めてしまった。



私は諦めない。


・・・少女は諦めている。それだと困るんだよ、、、だから、自分はここにやってきた。


「こんにちは〜」

「・・・・あなたは?」

「私は私。」

「え?」

「まぁまぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか。私は君と話したいから、わざわざここまでやってきたのだから。」

「私と?」

「そう、貴方と。」

「そうですか。」

「はは、、では、なにか話そうでは無いか。まずは、君の今知っている、自分の過去について、教えてくれ。」

「は、、はぁ、私はある男と交際していました。でも、ある日その男は私を振った。そして、私はバスに乗っていたら、こんな場所に。」

「そうだね、、君の知る情報自体はこれぐらい。しかし、君の無意識下の情報が1番大切。君には数多の謎が存在する。それを見付け出さなければ、この世界は抜け出せない。諦めることは結構だが、それだと、物語に終止符は打たれないのだ。」

「どういうこと?」

「私はあなたに物語を終わらせて欲しい。」

「?」

「過去と未来に縋ることはもう辞めるんだ。」

「・・・」

「どうか、私の言ったことを忘れないでおくれ。」


彼女は消えた。霧の中に消えた。

   彼女は色があった。。。どうしてか、私は彼女になりたいと願った。


そうだよ、過去と未来に縋ることはもうやめだ。

             こんな時こそ、今を信じようではないか。

        

       私は立ち止めた足をまた、動かし始めた。



ーー映画館ーー


歩いていると、ある建物があった。それは彼がいた映画館。

世界が移動した?、、いや、白黒の世界だし、そもそも、瞬間移動をしていない。

   『この世界、、つまりは映画館と遊園地は同じ世界なの?』


、、、私は彼に綺麗な遊園地と私を見せるために、彼をこの映画館に招待した。

   なぜ、私の夢世界にこの映画館が存在する?


夢ならば、なぜ、夢の存在では無い彼が夢の映画館に存在する?なぜ、あの女は現れた?


前回、映画館において、鍵があった場所、つまりは映画館の管理室。

さっきそこを確認したが、そこに世界の鍵はなかった。


私は前に「鍵は世界で最も大切な場所にあるはず。」と思っている。それならば、映画館の管理室にないのはおかしいのではないか?

遊園地と映画館が同じ世界ならば、鍵の位置が変化するのはおかしな話だ。


『世界で最も大切な場所が変化した?』


では、なぜ過去、管理室が世界で最も大切な場所だったんだ?、、、いや、それは今確認できることでは無い。

それよりも、私はなぜ、この管理室に入ることが出来たんだ?


当然、ここは私の夢の世界なのだから、私に関連したものが夢に出てくる。そして、この世界は私の世界だから、世界で最も大切な場所は私の関連した場所となる。それならば、私が鍵を持っていることの方が自然じゃないか?


じゃあ、なぜ、私は今、鍵を持っていないの?


遊園地の観覧車、メリーゴーランド、街灯。

映画館のスクリーン258番、管理室。


これらには『必ず』鍵はなかった。

しかし、私はこれら以外の場所には『行かない』または覚えていなかった。


、、、これら以外の場所には『行かない』んだよなぁ。


この世界において、最も大切な場所に行けない理由。

     『それ即ち、私が、私でそこに行くことを拒否していること。』


「つまりは、私が彼に殺された場所。。。。。。。。。。。。。。」

              

               

・・・・・・・・・・・『幻想の地』・・・・・・・・・・・

       


世界は堕ち始めた。


しかし、私は堕ちない。


カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ




ーー幻想の地ーー


世界が白い中、華やかな花で包まれる。

          その花の色はピンク色。

             花びらは舞、私に纏う。


私は幻想の地でひとつの花を見つけた。その花は赤い花。

その赤色は一瞬綺麗な赤に見えた。

しかし、その赤はとてもとても汚い、黒く歪んだ赤だった。


『そう、まさに私の腹部に刺さった。私を痛め付ける花にそっくりだ。』


この花は私なのだ。


現実で生きた私。

   彼に殺された私。  


そう思った瞬間、全ての花は赤く、黒く染まった。



こんな物語、、、こんな彼をいじめるためだけに作られた物語は終わりにしよう。


あの女はあなたの今の彼女だから、彼を解放して欲しくて、解放するために、私にこの物語を終わらせて欲しかったんでしょ?


「いいよ。終わらせる。」


「やっぱり、私は性分として、誰かを痛め付ける行為は出来ないのだ。」


裏切られても、殴られても、殺されても。


この物語に終止符を打って、彼が彼女を殺そうと、私はそれでいいと思っている。


私は殺されても尚、おまえを1番に考えてしまうほど、私はお人好しなのだ。


私はいつの間にか手に持っていた鍵を遊園地の観覧車の1つの部屋、番号名、258の部屋の開かずのドアの鍵穴に鍵を挿した。


「カチャ。」


ドアは開き、世界は彼とあの女を解放した。


今頃、彼は病棟にて、目を覚めるだろう。


・・・私はこの世界から抜け出せない。


世界は結局、白黒。


静寂は広がる。廻らない観覧車とメリーゴーランドの上には丸い月がある。

私は月を見た。

その月は世界で唯一黄色。しかし、私はその月に絶対、触れることの出来ない。

そんな、遠き遠き存在。


月は回る。回り続ける。


私を置いて。


もう、私は廻らない。


『世界は私を置いて行った。』



私は観覧車の一室にて、1人、静かに座る。


私の頭は下を向く。


暗い。黒い。終わりたい、でも、終われない。



「、、、、ううっ、、く、、うっ。」



少女は黒い、静寂の世界で永遠に泣き続ける。



ーーあの女視点ーー(補足)



少女に救いはない。今後、少女が幸せになることは無い。


私もこれ以降、あの少女は見ていない。

見てられなくなったから。


でも、今でも、あの子はあのくらい場所で、泣いてるかも。


私はそんなことを今更、後悔しながら、思い出していた。

私は今、病棟にいます。




その少女もまた、病棟の静寂の中で泣いていた。



『『助けて』』


ー終わりー


お読み頂き、ありがとうございました‼️‼️‼️‼️‼️‼️

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