表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厄喰  作者: 怒愛たくあん
2/6

2話~獣と拳~ 前編

2話です。


作品の最後に用語解説や、もし来ていたら質問などの解答をしていく予定です。(作品のネタバレをしない範囲でではありますが)


作者自身もノリと勢いで書いてるところがあるので矛盾が発生してないかビクビクしながら書いています。


影響を受け、成長の糧にするというのは人という獣だけの専売特許ではない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




突然だが皆さんは趣味をお持ちだろうか?


スポーツ?読書?カフェ巡り?


人それぞれだとは思うがきっと素敵な趣味を皆さんそれぞれお持ちに違いないと思う。

かくいう俺もネットサーフィンという趣味を持っている。


ネットサーフィンはいい。何がいいって移動時間の片手間にできることである。


最近、ネットサーフィンをしていると学校のマラソン大会が廃止という記事を目にした。

俺は学校に行っていない。これは不登校だとか仕事が忙しいからというわけではなく(仕事が忙しいのは合っているが)我が一族、芦屋家では学校などで培われる知識は家で教わるので、ある程度叩き込まれたらすぐ魑魅魍魎蔓延る現場に投入されていくスタイルなのである。


なので学校に行ったことがないのだが、その記事の下には、

〈体力作りが目的で、なぜマラソン大会である必要があるのか?〉

〈こんなことをしていてもどうせ将来はお酒とタバコで体力が落ちている。〉

など怨嗟に満ち溢れたコメントが鎮座していた。


確かにここでやるマラソン大会が絶対に将来役に立つとは言えないものであるのだが、

学校や幼少期に身につけたものというのは意外な場面で役に立つ時があるものである。

体力などは正にその代表格であると俺は実感できる。


なぜこんな話をしてるかって?


それはね、



「ヒュッ…!ヒュッ…!ンヒィー!食べられるぅぅぅ!!!助けてぇ!!!辻村さぁぁぁぁん!!!!!」

「うおおおお!?!?!?!?!?」


【【【【【バウガゥ!!!ガァウ!!!】】】】】



峠の車道を大量の犬の死骸に追い回されてる俺と『小鉢 彩音』は、ランニングを趣味にしておけばよかったと、現在進行形で後悔してるからだ。





年が明け、新年の雰囲気がまだ少し残るこの頃。

俺は祓い人連合の香川支部に来ていた。なんでも、とある峠道で『獣憑き』が発生したらしい。


獣憑きというのは動物の魂が人や物、動物にとり憑く現象及び、異形魔のことだ。

獣憑きはランク的には下級に属する異形魔だ。理由としては普段から何メートルもある異形魔や変な能力を使ってくる異形魔と比べると所詮は獣。祓い人達にとっては歯牙にもかけない存在である。

だが今回の獣憑きは何点か不可解な点があった。


まず1つ目、強さ。

調査に向かった2名の白紙祓い人の連絡が途絶えたのである。もちろん連絡を怠っていた可能性もあるにはあるのだが、生きるか死ぬかを毎秒強いられるような職業の人間が自身の命綱にもなりえる定時連絡を怠るとは思えない。

恐らく、2人は殺害されている。

2つ目に数。

連絡が途絶えた2名の後に調査に向かった赤紙祓い人からの偵察により、その数が報告された。その数およそ800。尋常ではない。式神により描かれたその絵には道路を埋め尽くす獣憑きが描かれていた。

そして3つ目に時期である。

獣憑きはだいたい8月頃に発生する。

稀に冬などの時期に発生する個体もいるがこれ程まで大規模なものは今までに無かった。明らかに異常事態。


以上の点から香川支部の赤紙祓い人3名、そしてたまたま近くで別件の任務を終えた後の俺が合流した訳である。


「お忙しい中、調査にご協力してくださりありがとうございます。祓い人連合香川支部第1班班長『白山 春樹』です。階級は赤紙です。以後お見知り置きを。」

「あ、ご丁寧にどうもありがとうございます。芦屋晴道です。階級は紫紙。どうぞよろしく。」


目上の人に対する言葉だとか所作というのは苦手だ。どうにもたどたどしくなってしまう。階級的には俺より上の祓い人はいないのだが、それはそれ。目上の人には敬意を払わなければ。

そんなぎこちない挨拶をした後、2人の祓い人に向き直る。


「どうも!祓い人連合香川支部第2班所属『小鉢 彩音』です!階級は赤紙です!そしてこちらが我らが班長の!!!」

「…祓い人連合香川支部第2班班長『辻村 透』…階級赤紙。」

「あ!すみません芦屋さん!この人ちょーっとシャイなんですよ!ぶっきらぼうですけど良い人なんで嫌いにならないであげてくださ…あいたっ!?」

「すみませんはおれのセリフだよまったく…すみません芦屋さん。こんなやつらですが、頼りにはなりますのでどうかよろしくお願いします。」

「えぇ…はい…分かりました。」


うーん、パッと見老刑事とその相棒の悪態クール男、そして新入りの元気いっぱい女の子って感じだ。

新たなドラマかなにかが始まりそう。


「ではさっそく現地に向かいましょうか。車で峠の入口まで行ったあと、徒歩で異形魔が出現した峠道に向かう手筈ですがよろしいですかな?」

「わかりました。それで問題ありません。」

「うっはぁ~!紫紙の祓い人とお仕事なんて!!!感激ですね辻村さん!私今日ワクワクして眠れませんでしたよ!」

「…」


この辻村って人すごい睨んでくる。こわっ。小鉢さんが明るい分引き立つな…


「あぁ気を悪くしないでください。辻村はあんなやつですが根はいいやつですし、心に熱いもんをもっております。」

「えっ!?いや別に気を悪くしてなんか…ははっ…」


不意打ちで心を読まれたようだった。苦笑いをしながら車に乗り込む。

異常発生した獣憑き。果たしてどんな異形魔が待ち構えていることやら。

車は走り出す。

窓から映る景色は積もる雪によって真っ白なキャンパスのようだと。

俺はそんな下らないことを考えていた。





1月9日火曜日 10:00

香川県にて異常発生した獣憑きの調査、解決に紫紙祓い人『芦屋晴道』及び香川支部の赤紙祓い人3名が香川支部より出発。


1月9日火曜日 17:00

調査に向かった4名の定時連絡が突如として途切れる。


1月9日火曜日 22:45

紫紙祓い人『芦屋晴道』より連絡が入り、事件が解決した報告を受ける。


1月10日水曜日 7:00

現地の再調査、事後処理を開始。


1月10日水曜日10:00

紫紙祓い人『芦屋晴道』の報告通り、



赤紙祓い人2名の遺体を発見した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・『芦屋晴道』→趣味はネットサーフィン。常に仕事をして日本を行ったり来たりするので空き時間や移動時間で楽しめるネットサーフィンが趣味。最近は映画やドラマにもハマってる。

・『獣憑き』→動物の魂が人や物、動物などにとり憑く現象及び異形魔。8月頃に発生しやすいが中身が動物なのでそれ程脅威ではなく、とり憑いた対象にある程度のダメージを与えると動物の魂が出ていくので人知れず祓い人でもない一般人に祓われることもある。

・『白山 春樹』→香川支部の赤紙祓い人。年齢55歳。ストレスで老けてる。趣味はクロスワード。

香川支部の1番偉い祓い人。温厚で優しく、朝は横断歩道で子供たちを見守るボランティアをしている。

・『小鉢 彩音』→香川支部の赤紙祓い人。年齢24歳。胸はそんなに。茶髪の外ハネショートカット。趣味は辻村透の観察日記をつけること。

香川支部の問題児。よくも悪くもフランクすぎる。子供や地域住民からの評判はいいがお偉いさんからは不評。

本人は気にしてない。

・『辻村 透』→香川支部の赤紙祓い人。年齢26歳。目つきの悪い黒髪。趣味はトレーニング。

大阪支部から異動してきた人。大阪でお偉いさんの命令無視を繰り返して左遷された。地域住民からは怖がられてはいるが顔が良いため奥様方からは人気。

・『連絡が途絶えた祓い人』→香川支部の白紙祓い人。どちらも年齢22歳。順調に階級を上げていっており、この獣憑きを解決したら昇格試験だったが、帰らぬ人となった。それぞれ第1、第2班所属。(香川支部は2班しかない。)

このお話は前編中編後編の3作にする予定ですが作者の力量不足により4作になるかもしれません。


見切り発車な今作なので誤字脱字があるかもしれません。見つけた際はご指摘いただけますと幸いです。

評価、感想、アドバイスなど募集してます。どしどしやっちゃってください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ