第五章ー⑭
フレイヤがワルキューレたちと魔獣の群れの大本を破壊し終えた同時刻・・・
「うっとおしい!!」
メティスは迫ってくる刀身を躱し、影に向かって突きを放つ。
しかし、影はそれを躱して距離をとる。
(なんじゃ、この攻めっ気のない攻撃は・・・ まるで足止めに力を割いているような・・・)
メティスが影の動きを怪訝に思いながら、注視していると・・・
【メティスさん、聞こえますか? こちら『黄昏』】
通信機から蓮の声が聞こえてきた。
「どうした!?今は忙しいのじゃ、通信ならまた後で・・・」
【あなたが今戦闘している影についてのお話です。反応はいりませんから、聞くだけ聞いてください!! これから、少しの間その影の正体についてこちらで暴きます。なので、それまでは耐えてください!!正体がわかり次第、殲滅してください!!】
そう言って、通信が途切れる。
「確かにヘイムダルの権能の方が、今の状況を覆すには最適じゃ・・・ ならば、『戦女神』の母と呼ばれた妾じゃ!!その吉報を待つとしようか!!」
再び、迫ってくる影の攻撃に両手に持つ槍で受け止め、夜の街に火花が散った。
♢♢♢♢♢
メティスとの通信を切ったあと、蓮はメティスと相対する影の正体を『世界を見張る者』で探っていた。
「うわぁ・・・ なにこれ・・・」
ボソッと漏らした声にヘイムダルが反応する。
「どうした?」
「どうもこうも、この影の情報というか・・ 今彼女のいるポイントを観てみたんだけど、ここ数日前からあの影が居たみたいなんだよね」
「なんだと・・?」
蓮の観た結果を知り、ヘイムダルは驚愕の表情へと変わる。
「何のために?一体誰が?」
声を荒げ、蓮に問い詰める。
「う~ん・・ それは分からない。けれど一つだけわかっているのは、今の影を破壊すれば確実に術者に少しばかりのフィードバックが行くってこと。あれは術者と少しつながっているから」
「ということは・・・」
「そう、あの影を破壊すれば、この事件の裏側に少し近づくってこと」
そう言い切ると、蓮は再びメティスに通信を繋ぐ。
「メティスさん、その影の正体がわかりました。それはどこかの術者が数日前に創り出した『ナニカ』の影です。破壊すれば、術者にダメージのフィードバックが行きますので、思いっきり破壊してください!!」
そう言って通信を切る。
「さて、『知啓』と『月穣』の方を観るとしますか・・」
ヘイムダルが観ている片方を自分に回してくれるように、指示を出し観察を始めた。
♢♢♢♢♢
メティスは影と打ち合いながら、蓮からの通信を待っていた。
(まだか、蓮!!この影攻めっ気はないが、一撃一撃は重いんじゃぞ・・)
ドゴォンン!!
メティスが躱し、いた場所は威力の高さで轟音が地面が陥没する。
「刀で出してよい威力ではないじゃろ!!」
振り下ろした隙をついて、右手の槍で突きを放つ。
横に躱されるが、それを見こしていたのか左手の槍を薙ぎ払い、影のみぞおちにクリーンヒットする。
影は吹き飛ばされ、路地裏の突き当りにぶつかる。
メティスがひと段落していると、蓮からの通信が入ってくる。
【メティスさん、その影の正体がわかりました。それはどこかの術者が数日前に創り出した『ナニカ』の影です。破壊すれば、術者にダメージのフィードバックが行きますので、思いっきり破壊してください!!】
通信は一方的に切れると同時に、影は起き上がりメティスに向かってくる。
「ほう、ようやく正体がわかったか・・・ それに破壊すればダメージのフィードバックが入るとな?ならば、思いっきり破壊するかの!!」
そう言って、メティスから白い魔力の奔流が溢れ出す。
「ゆくぞ、『智神閃槍陣』!! ここからは、妾の独壇場じゃ!!」
背後に槍を無数に生み出し、両手に持つ槍は魔力を纏い、白く光り輝く。
メティスが全力を出したことを感じ取ったのか、影は刀身に氷を纏わせる。
「ほう、その程度で対抗しようというのか・・・ 面白い!!ならば、対抗して見せよ!!」
ドドドドドドドドドッ!!!
メティスが槍の穂先を影に向けると同時に、背後の無数の槍が勢いよく放たれる。
それらすべてを叩き落そうとするが、全てを叩き落すことが出来ず放たれた槍のひとつが左足の太ももに突き刺さり、影をその場に縫い付ける。
「馬鹿じゃのう・・・ 躱そうとしなかった時点でおぬしの負けは決まっておったのじゃ・・」
動けない影を破壊しようとするが、影が自らの左足を斬り脱出する。
影はそのまま地面から少しだけ浮遊し、刀を構える。
「なんじゃと!?」
左足を斬りおとし、脱出してすぐにメティスの首を狙って、斬りかかってくる。
それを躱しながら、背後の槍を放ち反撃する。
(まさかフィードバックがあるから自らを傷つけないと考えておったが・・・)
「普通に斬り落として脱出してくるとはのう・・・ ならば、跡形もなく破壊するのみ!!」
そう言うと、再び槍を放つ。それと同時にメティスが駆けだす。
放たれる槍の対処に手いっぱいの影はそれに気づかない。
「フッ!!」
影の懐に入り込み、左手の槍を振るい、上空に打ち上げる。
「!?!?」
ここで初めて、影が感情をあらわにする。
「ようやく感情を見せたの!!」
メティスの声が聞こえ、影が視線を送ると地上のメティスが右手から槍を消し、手のひらを影に向けていた。
「おぬしが何者かはわからぬし、何の目的でここにいたのかもわからぬ。じゃが、実際に被害者もおるのでな・・・ もう被害を出さぬためにも、ここで消え失せろ!!」
無数の槍が影の逃げ場をなくすように出現する。
「無に帰すがよい!!『刺し貫け戦女神の槍 仇名す者に光り輝く制裁を!! 智神閃槍陣 三の陣 天宙無尽・白槍雨』!!」
そう言うと右手を握りしめる。それと同時に周囲の槍全てが影の全身へと突き刺さる。
「!!!!!!」
叫び声のようなものをあげると同時に、影は跡形もなく姿を消した。
「まったく、手古摺らせおって・・・ 『黄昏』聞こえるかの?こちらの戦闘は終了した、この後はどうする?妾はこの場で待機かの?」
メティスは一息ついて、蓮へと通信を送る。
【フレイヤさんの方も戦闘を終え、フレイヤさんはその場で待機。ワルキューレたちがそれぞれの援護へ向かっているようです】
「ならば・・ 妾の援護はいらぬようじゃの。妾は援護に向かわぬ、何かあるかもしれぬからこのポイントで待機をしておく。何か状況に変化があれば、通信を頼むぞ」
【わかりました!!】
そう言って、蓮が通信を切る。
「今回の依頼が、何かに繋がるのは確実じゃ・・・ それが吉と出るか凶と出るかは別として・・な」
そう呟きながら、メティスはその場に座り込み、休憩を始めた。
はいどうも作者です。
ようやく次話から、残りの二人の視点に移れます!!
長かった・・・ ほんと長かった・・・
メティスの新たな技は本来タイマンで使う技じゃないんですよ・・・ 一人に使うと明らかオーバーキルなので・・・
今回は仕方ないよねってことですが、メティス自身この技をめったに使いませんので・・・
ぶっちゃけ『一の陣』と『二の陣』で大体倒せますので・・・




