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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第五章 暗き闇が蠢き 天空は狂う
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第五章ー⑩

「こちら『黄昏』とヘイムダル、アルテミス組配置に着きました。これより、対象を探索並びに予測ポイントの観察を始めます。『世界を見張る者』起動!!」

蓮とヘイムダル、アルテミスが全てのポイントを見渡せる位置についた。

蓮の左目にヘイムダルと同じ黄金のモノクルが現れ、一つずつ蓮が予測ポイントを観察を始める。

「アルテミスさん、護衛任せたよ」

「お任せください、蓮さん。翠波様、通信はこのままオープンにしておきますか?」

【そうだね、このままオープンで。敵の情報が少なく、正体がわからないからね】

翠波に通信を繋げておくかをアルテミスが確認し、了承がとれたためそのまま通信を繋げておく。

「さてさて、敵の正体が分かればいいんだけどね・・・」

蓮はぼやきながら、フレイヤの向かった地点の観察を始めた。


♢♢♢♢♢

蓮たちが、配置につき観察を始めたころフレイヤは戦闘前にもかかわらずワルキューレたちをヌルからドライまで喚び出してから指定されたポイントに向かって疾走していた。

「ここまで近づいても、対象の気配がしないっていうのは不気味ね・・・」

(でも、どこからかわからないけど誰かに見られている感じはする・・・ ヘイムダルの権能なら私に見られていることを悟らせない、けれどこれはわざと・・?)


「ヌル、探索魔法お願い!!探索範囲はこのポイント!!アインスからドライまでは戦闘準備!!最悪仕掛けてくるわよ!!」

フレイヤがワルキューレたちに指示を出すと、ヌルが探索魔法でこの範囲全てをスキャンする。

アインスからドライの三人は、その手に自分たちの得物をすでに持っている。

スキャンが終わり、結果をヌルが報告してくる。

「この範囲に人がいない・・・?」

(ならこの見られている感じは何・・・?視線は感じるのに人がいない・・・ まさか!?)

フレイヤがその答えにたどり着いた瞬間、ワルキューレ・ツヴァイが発砲した。


「どうしたの、ツヴァイ!?」

フレイヤがその方向に視線を向けると、そこには大量の魔獣が出現していた。

(いつの間に・・・ しかもヌルの探索魔法をかいくぐって、囲まれるなんて・・・)

(けれど魔獣が出現したということは、このポイントに何かがある!!)

「フレイヤから全執行者へ!!何らかの力によって、出現した魔獣が襲撃、応戦するわ。戦闘が終わるまで通信は切るわね」

一方的に通信し、一方的に通信を切る。

(これで、こちらの状況は全員に伝わったわね。それじゃあ・・・)

「始めるわよ、ワルキューレたち!!眼前の敵を殲滅なさい!!」

フレイヤが命令を下すと同時に、ワルキューレたちが魔獣へ向けてそれぞれの武器を構え、駆けだした。


ワルキューレ・ツヴァイが双銃で魔獣を撃ち抜くのを合図に戦闘が始まる。

ワルキューレ・ドライが、ツヴァイの銃声と同時に駆けだし、一気に魔獣の群れへと突っ込んでいく。

ザシャアアアア・・・・

ドライの振るったダブルセイバーによって、魔獣たちが切り裂かれていく。それでも魔獣は襲い掛かってくる。

魔獣たちは仲間たちを殺されたことに、怒りを覚えたのかさらに襲い掛かってくる。

ドライは魔獣に囲まれたが、それを意に介せず、戦闘続ける。


一方で、ツヴァイは手に持つ双銃を銃身の長いものではなく、拳銃に形状変化させ向かってくる魔獣たちを撃ち抜きながら、自ら魔獣の群れへと突っ込んでいく。

ガアアアアアアッ!!!!

咆哮をあげながら、ツヴァイへ魔獣が突っ込んでくる。

ドゴォッ!!!

それをひらりと躱し、魔獣の脳天へかかと落としをくらわせ、そこに銃弾を撃ち込む。

さらに魔獣が襲ってくるが、先ほど殺した魔獣の死体を踏み台にして、空中へと躍り出て上から弾丸を雨のように降らせる。

しかし、いつの間にいた鳥型の魔獣が、空中で身動きの取れないツヴァイにくちばしを使って串刺しにしようと攻撃を仕掛けてくる。

それを確認したツヴァイは、身動きが取れないにもかかわらず、舞うように躱し弾丸を撃ち込み、そのまま地面に着地し、再び地上の魔獣たちの殲滅へと向かう。


(ツヴァイとドライの方は、安定して数を減らしている。とは言っても、まだまだ数は多いのよね・・・ ワルキューレたちを増やした方がいいのかしら・・?)

「それに、この魔獣どもの出どころがわからない以上殲滅し続けるしかないのよね・・・」

魔獣がフレイヤに攻撃を仕掛けるが、そばにいるアインスの盾によって防がれ、叩き潰される。

「ヌル、出どころの探索と同時に、依頼対象がこの近くにいるかどうかの探索、やれるわね?」

フレイヤの要求にヌルが答えるように、杖をかざし探索魔法をもう一度発動させる。

(他の地点は、どうなっているのかしらね・・・)

目の前に迫る魔獣が、アインスによって叩き潰されるのをその目に映しながら、他の地点について考えていた。


♢♢♢♢♢

まだメティスがフレイヤからの通信を受け取る前・・・

「なんじゃ、この感じ・・・ 人っ子一人の気配も感じんぞ・・・」

(じゃが、視線は感じる・・・ ヘイムダルとも違う視線、それに敵意は感じるがその出どころがわからぬ・・・)

メティスもまたフレイヤと同じような現象に陥っていた。

そこに・・・

【フレイヤから全執行者へ!!何らかの力によって、出現した魔獣が襲撃、応戦するわ。戦闘が終わるまで通信は切るわね】

と通信が入ってきて、メティスは気づく。

(もしや、この敵意は・・・)

そう考えた瞬間、メティスの背後に殺気を感じる。

瞬間、手に槍を構え背後に振るうと、受け止められる。

背後に目を向けると、全身真っ黒で刀を持った人型が一人そこに立っていた。


「おぬし、何者じゃ」

メティスの問いかけに応えず、一度距離をとり刀を構える。

「問答無用ということかの・・・ 来るがいい!!」

メティスが槍を再び構えると同時に、人型が突っ込んできた。

はいどうも作者です。

今回はフレイヤの戦闘と、メティスの戦闘の始まりです。

フレイヤとワルキューレたちの敵は魔獣の群れ、メティスの敵は真っ黒い人型のナニカです。

これでもまだ、本命の対象ではないので・・・

いわゆる前哨戦です。

それに、翠波と黎芭の方が依頼対象に近づきます。

次話もフレイヤとメティスの戦闘回です。お楽しみに!!

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