第五章ー①
契約戦書が終了した二週間後、翠波は一人「HEAVEN」でバイトしていた。
「黎芭さん、この前の契約戦書三連勝したんですけど・・・」
この前の契約戦書の結果を伝える。
「おお~お疲れ~ どうだった?学園での戦いは?」
お客さんが全然来ず暇なのか、話のネタになる戦闘の内容について聞いてくる。
「なんというか・・ 神約者が戦闘経験が少ないと、いくら契約神が戦神・武神とは言え結構戦えるもんですね。それに、こちらは『あの古具』を使いましたからね。さすがに勝たないと・・・」
「ああ、『あの古具』使ったんだ・・ 相手が神様だったから仕方ないよねぇ。てことは、学園ではその古具をがっつり使用していくんだ?」
「そう・・・ですね。『執行者』の時に使用している古具は学園で使用はできないので・・・それに、学園で使用してしまうと最悪正体がばれてしまう可能性もあるので、学園では今回使用した古具以外は使用するつもりはないですね」
(実際会長から、翠波と蓮は「本気を出すな」と口酸っぱく言われているため使う機会はほとんどないのだが・・・)
「それで?どこまで閲覧できるの?」
黎芭さんが聞いてくる。
「・・・何がです?」
「何がって・・・わかってるでしょ?『無限の蔵書』へのアクセス権だよ。どこまでもらえたの?」
ああ、そのことか・・・
「実はですね・・・ まだ決まっていないんですよ」
アクセス権について答える。
「えっ!?まだ決まっていないの!?なんで!?」
黎芭さんが驚いて、聞いてくる。
「僕と蓮のペア、それにもう一組が無傷の三連勝ですべて終えてしまったから、担当の先生方が困っているらしいんですよ・・・」
実際会長が生徒会の案件で愚痴っていた。その時の会長は不機嫌だったのを覚えている。
「あっちゃーそうだったんだ。うん?待って、今もう一組って言わなかった?」
その理由を聞いて、「仕方ないかぁ」みたいな顔をしておでこに手を添える。
しかし、すぐ後に思い出したかのように顔をこちらに向けてくる。
「ええ、言いましたよ」
「誰!?どの神と契約しているの!?」
僕の答えに興奮しているのか、凄い勢いで立ったかと思うと、すぐさま僕の方に来て肩をゆすってくる。
「や、やめてください・・・ さすがにここまでされると・・・」
(や、やばい。普通に吐きそう・・・ というかこんなに黎芭さんってこんなに力つよかったっけ・・)
流石にまずいと思った黎芭さんが、僕の肩から手を離してくれる。
「ご、ごめんね。つい興奮してしまって・・・」
「大丈夫ですけど・・次やったらメティスさんにまだご飯食べていないこと言いつけますからね」
「ううう・・・はい」
ショボンと肩を落として、頭を垂れる。
「それでもう一組のペアについてでしたね」
それ聞いた、黎芭さんが顔をあげて(早く早く)とせがんでいる目をこちらに向けてくる。
「流石に神約者の本名を言うのはまずいと思うので・・・性別だけ。どちらも女の子です。それに片方はハーフです」
「へ~ハーフか~てことは、もしかしたら契約魂結構多いかもね」
「そうなんですか?」
「うん、まぁデータ上ね。ある研究者によるとハーフの契約者の方が少しばかり平均が普通の契約者よりも高いらしいんだ。ってそんなことはいいから、契約神は?」
いや、今更っととんでもないこと言ってましたけど?
まぁ、本人が気にしてないし彼女たちの契約神について説明する。
「ハーフの神約者の契約神は天空神ユピテール、もう一人の神約者の契約神は光の神バルドルです。戦闘を見た感じでしたが、蓮が「特にユピテールの方は結構本気で戦闘仕掛けにいかないと、こっちに勝ち目はない」みたいなことを言っていましたね」
それを聞くと、黎芭さんが今まで見たこともないような表情を見せた。
「天空神と契約している神約者がいる、しかも蓮ちゃんがそこまで評価しているか・・・ 翠波君は蓮ちゃんと同じ評価?」
真剣な表情でこちらに聞いてくる。
「僕もほとんど同意見ですね。しいて言うならフレイヤとアルテミスの二人がかりなら何とか守りを崩せますって感じですね。正直戦いたくはないです」
そう、本当に戦いたくない。攻防一体の結界型の権能を複数持つユピテールに、自らの意思ひとつで光を操るバルドル。守りに特化させた戦い方をすれば僕らでも突破するのは困難だが、味方になればこれほど頼もしい二人はいないと考える。
「二人がそこまで言うの・・・まぁ、敵ではないんでしょ?」
「敵ではないですね、むしろ日常生活は仲良くしていますし。それにこの二人は自分の契約神を悪事に使うような人間ではないですよ」
「そっか・・ならいいんだ。この情報メティスに共有するけどいいかな?」
メティスさんに共有することで、万が一の時を考えているのだろう。
「別に構いませんよ。一応蓮からも評価は聞いておいた方がいいかもしれませんよ」
「えっ何で?」
黎芭さんが首をかしげて聞いてくる。ほとんど相手の観察をするのは僕かヘイムダルさんの役割だから、蓮から聞くことはないと思っているのだろう。
それに蓮ほとんど感覚で物を話すから、黎芭さんには伝わりにくいのだ。
「実は最近ヘイムダルさんのあの権能を使用し始めたんですよ。なので、今までよりはわかりやすいかと・・・」
「うっそっ!!?あの蓮ちゃんが!?あの脳筋の蓮ちゃんが!?」
黎芭さんがここ一番で驚いた顔をして、驚愕の叫び声をあげる。
というか、何気にひどいこと言ってませんか?黎芭さん。
はいどうも作者です。
第五章突入しました。最初は黎芭さんと翠波の会話パートからのスタートです。
黎芭さんからも脳筋と思われている蓮wwwww
実際脳筋よりの思考ですし・・・
実はあんまり「HEAVEN」は繁盛していない時の方が多いのです。ですが、一回の『依頼』がそこそこお高い金額なので、バイト代がしっかり出せている感じです。
まぁ、命がけみたいなものですし・・・




