プロローグ
僕―天華翠波は夜の東京の街で、『依頼』をこなしていた。
今は、捕縛対象の男を追っている最中だ。
「はあ、はあ…、くそ‼何でこんなことに…俺はただ…」
男は、何かに狙われているように逃げていた。
そして、ビルの陰に隠れた。
「よし、ここなら確実に見つからない・・・ あいつがこっちを見失うまでここにいれば・・・」
そう安心していたのもつかの間、どこかで銃声が鳴り響き、それが聞こえた瞬間には男の足を銃弾が貫通していた。
「がぁ・・・!! くそっ!? いったいどこから・・・」
そこに僕が近づく。
「もうあんたは終わりだよ。殺しはしないけれどこれ以上抵抗するなら、それ相応の傷を負ってもらうよ。」
「て、てめぇは…神約者 そうか、ここまでか・・・」
男はそう言って、両手を上げ降参の意を示した。
「フゥ~ 今日の仕事は終了。二柱とも撤収するよ。おつかれさま。」
僕は通信機を使用して、撤収の合図を出しながら、帰宅する準備と気絶した男の身柄を確保していた。
そこに、「翠波君~‼」自身の名前を叫びながら抱き着こうとしてくる金髪の女性が突っ込んできた。
「はぁぁ~ またか…」ため息を漏らしながら、スッと体を横に動かす。
「もう~ なんでよけるのよ~?せっかく無事に仕事が終わったからハグしてあげようと思ったのに~」
「それは今じゃなくていいから、フレイヤ周りに他の反応は…?」
「ぶぅ~、仕方ないわね。さっきこの近くの植物たちの声を聴いたけれどこの男の仲間もいないし、彼女以外の反応もなし。これで一件落着ね」金髪の女性―フレイヤは笑顔で伝えた。
僕たちが話し合っているところに、遠くから近づいてくる足音が聞こえる。
フレイヤの言っている「彼女」なことは明白だ。
「おつかれさまです。翠波様」
美しい銀髪の女性がこちらに来ていた。
「うんお疲れ様。最後の援護射撃助かったよ、さすがだね、アルテミス。」
「いえ、あれぐらいはたやすいことです。それよりも・・・」
そう言って銀髪の女性―アルテミスはフレイヤの方を睨んだ。
「ヒッ・・・」急にフレイヤが僕の後ろに隠れた。
「また、あなた一般人を魅了したでしょ!!しかも、今回の男を追っている最中に!!確かにあなたにはそういう側面があることは知っているけれど、少しは自重しなさい!!わかったわね!!」
アルテミスの説教がフレイヤに飛ぶ。
「はい・・・気を付けるわよ、アルテミス」
まぁ、大体こういうときはアルテミスが勝つのでこちらからは何も口出しをしない。
というか口げんかに発展しても、大体アルテミスが勝つ。
「もう帰るよ、真夜中だし。それに明日朝早いから・・・」
そう言って二柱に呼びかける。
「わかったよ、翠波君」「わかりました、翠波様」
そう言って美しい満月に照らされながら、僕たち三人は歩いていく。
「ところで翠波様、あの捕縛対象の男は放っておいていいのですか?」
「そうだよねぇ、彼らに頼むのもアレだし・・・アルテミスお願いできる?」
「わかりました。私の眷属を喚んで、いつもの場所に運んでおきますね」
「うん お願いね」
「それじゃあ、帰りましょ!!」




