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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第三章 豊穣と銀月は輝く
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第三章ー⑳

ヘイムダル視点です。

いやぁ、難産でした。

放たれる銃弾を躱しながら、ヘイムダルは思考をはしらせる。

(何故、こいつは理性を失っていない?本来なら、この前の『依頼』の奴みたいに正気を失うはずだ・・・)

(契約者にしてもそうだ・・・ここまで、理性を保っていると不気味に見えてくるな・・・)


「戦いに集中していないな・・・」

チャキッ

ヘイムダルの顔の前に、悪魔の持つ拳銃が現れ銃弾が放たれる。


「まずっ!!」

ギリギリ躱しながら、反撃に剣を横薙ぎに振るう。

しかし、躱され右足の蹴りを放ってくる。

それをよけて、一度距離をとる。


「まさか、拳銃を使いながらの接近戦とは・・・ 『黄昏』よりは楽ではあるが、銃弾が必殺級ではさすがに・・・」

そう、あの拳銃に装填されている弾は全てあの悪魔が作り出した毒の弾丸。神であろうと、何発も受ければ死に至る。

それに加えて、いまだに魔使者は配下の悪魔を喚び出し続けている。

「長期戦は確実にこちらが不利・・か。仕方ない使うか・・・」

そう言うと、ヘイムダルは盾を消し、剣を持つ手とは逆の手を天にかざし詠唱を唱え始めた。

「万物を切り裂く光 今こそ我が手に宿りて 剣と化せ!!『金鋭裂剣ヘイムダル・グローリア』!!」

ヘイムダルの手に、金色の光が集まり剣の形を創り出す。

これが、ヘイムダル最強の権能『金鋭裂剣』

自らの神力を使い光を生み出し、もう一振りの剣とするヘイムダル自身を象徴する権能だ。


ヘイムダルが光を集めていることに気付いた悪魔は追撃しようと、駆けだしたが時はすでに遅しだ。

「遅かったか・・・」


「ああ、俺が一度距離をとった時点で追撃してこなかったてめぇは唯一の勝ち筋を逃したんだよ」

ヘイムダルは、ニヤリと笑いながら自身の勝ちを悪魔に告げる。


「ふん・・・ その光の剣を持って二刀流になったからなんだというのだ?それに、我が軍勢はいまだに健在・・ 数で勝るこちらが有利だ。なのに「勝ち筋を逃した」だと?むしろ貴様が倒れる時間が伸びただけじゃないのか?」

そう言って、両手の拳銃を構え、駆けだす。


「だったら試してみるか?」

ヘイムダルは右手の剣と左手の『金鋭裂剣』を構え、駆けだす。


「はあああああ!!!!」

「おぉぉぉらぁぁぁ!!」

悪魔の拳銃とヘイムダルの剣がぶつかり合った。


♢♢♢♢♢

剣戟と銃声が、再び鳴り響く。

「オラオラオラァ!!どうしたぁ!?弾が届いてねぇぞぉ!?」

ヘイムダルが左手の『金鋭裂剣』で切り裂きながら、右手の剣で斬りかかる。


「毒の弾丸を切り裂いているのに、瘴気が発生しない!?まさか、その剣か!?」

自らの毒の瘴気がヘイムダルに通用していないことに驚愕しているのか、動揺が動きに表れる。


「言う訳ねぇだろ!!動揺が、動きに表れてるぜぇ!?」

その隙をついて、ヘイムダルが双剣で悪魔の左腕を切り裂く。


「ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!!!!!」

悪魔が左腕を押さえながら、その場にうずくまる。

「貴様ぁぁぁぁ!!よくも、俺の腕をぉぉぉぉぉ!!許さん!!許さんぞぉぉぉ!!」

今までの、落ち着いた様子は何だったのか。急に理性を失ったような声を上げる。


「やっぱり、こうなったか・・・ 暴走するのは、何かがトリガーになっているのか?」

急に悪魔が暴走したため、ヘイムダルは訝しむ。

(痛みによる暴走なのか・・・ それとも時間経過によるものなのか・・・ とりあえず倒さないとな)


「今ここに集え!!我が配下たちよ!!奴を!!我が腕を切り裂いた愚か者を瘴気に沈ませ、滅ぼせ!!」

魔使者が喚び出していた悪魔たちが一斉にヘイムダルに襲い掛かる。


「今更こんな奴らをけしかけても、勝てる訳ねぇだろ!!」

双剣を振るうと、光が煌めき襲ってきた悪魔を全て消滅させる。

それを見ても喚び出された悪魔たちは、感情がないのか恐れずヘイムダルに向かっていく。

「ちっ、キリがねぇ!!しかも、これに生じて逃げやがったな・・・」

逃げたことに気付きながらも、悪魔を切り裂き消滅させていく。


「はぁ・・はぁ・・あの金ぴか野郎が・・・だがここまで逃げ切れば・・・」

悪魔は、ビルの中に潜むように逃げ込んでいた。

「無事か?」

魔使者も合流している。

「もう狙撃はできないぞ・・・」

「わかっている。ならば、もう逃げるしか・・・」

逃げるための計画を話していると・・・


「逃がす訳ねぇだろ?」


「いつの間に!?」

「なぜ、ここがわかった!?」

ヘイムダルが悪魔と魔使者のいるビルの窓に佇んでいた。


「何度も言うが、敵に教えると思うか?」

「それじゃあお前らは、ここ捕まるんだよ!!」

そう言って、ヘイムダルが両手の剣を構えて駆けだす。


「まだだ!!まだ終わるわけには行かない!!」

「せっかくクラスアップしたんだ!!この力で、俺はぁぁぁ!!」

悪魔は左手の拳銃を乱射し、魔使者は悪魔を喚び出しながら逃げ出そうとする。


「逃さねぇ!!神双裂光(ルクスリア・クロス) 一の型!!『閃剣斬破・裂鋭(グローリア・レクス)』!!」

双剣が煌めき幾重もの閃光が放たれ、召喚された悪魔、放たれた弾丸を切り裂き、悪魔、魔使者をも切り裂いた。


「「ぐわあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」」

二人は、吹き飛ばされビルの壁にたたきつけられる。

そのまま、二人は一言も発さず倒れ込み、意識を失う。


「手間ぁかけさせがって・・・ しかし、暴走というには魔使者があまりにも理性的だったな・・・」

(何か裏があるとみて、間違いないな。それに、あの悪魔も最初の方は理性的だった・・・ この『依頼』を終えたら、報告だな・・・)

そんなことを考えながら、インカムに手を添える。

「こちら、ヘイムダル。対象を無力化した。オペレーター、捕鎖官の手配を」


【こちらオペレーター、捕鎖官は既に手配済みです。すでにそちらに向かっています。ヘイムダル様はそちらで待機を】


「了解だ。それと、他の状況はどうなっている?」


【現在無力化しているのは『知啓』ペアのところと貴方方のペアです。依然として『月穣』は戦闘中です。】


「援軍は?」


【必要ないとのことです】


「了解だ。ヘイムダル現在地で待機、捕鎖官たちが到着次第、対象を引き渡す」

そう言って、通信を切り一息つく。

(さてさて、ここから何かが動き出すのかねぇ・・・)

どうも作者です。

ヘイムダルの権能『金鋭裂剣』発動です!!

能力は、なんとなくわかったんじゃないでしょうか?

ぶっちゃけ、物凄くシンプルな能力です。まぁ、でも言うじゃないですか「シンプルイズベスト」って・・ つまりそういうことです。


次回からは、『月穣』―翠波視点になります。今回の『執行者』としての戦いも大詰め!!

これが終わり次第、蓮の古具などについての設定集を出すつもりです。

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