第三章ー⑱
『黄昏』ー蓮視点二話目です。
そこそこ、相手が強いです。
再び、ナイフと右手のティルフィング・クーゲルの刀身がぶつかり合う。
(敵の契天者には、さっきの銃撃で右肩にダメージを与えた。一気に攻める!!)
徐々に、ナイフが押される。右肩の傷が痛むのか、力が入っていない証拠だ。
「ここで、仕留める!!」
あたしは、左手のティルフィング・クーゲルを契天者に向けて振るう。
すると
ギュオン!!
「ここでっ!?」
空間が歪み、契天者の姿が目の前から消えていた。
「無事か!?主殿」
「ああ、無事だ。しかし右肩をやられた・・・」
目の前にいたはずの契天者はいつの間にか、女天使のそばにいる。
女天使は自らの契天者を介抱している。
「発動の予兆なし、予備動作も感じられなかった・・・ ほんとにめんどい権能・・・」
女天使の方を睨みながら、思考をはしらせる。
(予兆もなく、予備動作もいらないなら直観頼りで行った方がいいのかな・・?いやでも、それだと逆に・・)
対策を考えていると・・・
「動きを止めている暇が、あるのかぁ!?」
女天使の権能を使って、あたしの背後の空間から現れナイフを振るってきた。
「あっぶないなぁ、もう!!」
ナイフを躱しながら弾丸を放つ。
しかし、またもや女天使の権能によって消される。
(ここに来て、連携してきた・・・!?)
「動きが鈍いんじゃないかぁ!?」
ナイフで、連撃を仕掛けてくる。
傷を負っている右肩側ではなく、左で振るってくる。
(ナイフが二本じゃないのが、救いかな・・・)
「んなわけないじゃん!!」
(対策を考える暇がない・・・ めんどくさいなぁ・・!!)
連撃を全て躱しながら、こっちからも右手から弾丸を放ち、左手のティルフィング・クーゲルを振るう。
「そんな弾当たらねぇよ!!」
弾丸は効かないと言わんばかりに、突っ込んでくる。
(近づいてきてくれるなら、好都合!!至近距離で弾丸を叩きこむ!!)
ガキィン!!
左手のティルフィング・クーゲルでナイフをあえて受け止め、右手のティルフィング・クーゲルを契天者の足に銃口を向ける。
「これで、終わり!!」
ダァン!!
弾丸を放った。
♢♢♢♢♢
けれど、契天者の足は傷ひとつついていなかった。
「これも無理なの!?」
至近距離で放ったにもかかわらず、弾丸を消された。
「甘いんだよ!!」
あたしが呆けているところに、契天者の蹴りを横腹にくらう。
「がはっ!!」
あたしは、蹴り飛ばされる。
ドォン!! ガラガラ・・・
「いったたた・・・ 連携されると、さすがにきっついなぁ・・・」
横腹を抑えながら、立ち上がる。
「先に狙うなら、天使の方だったかぁ・・・ でも、見てる感じあの権能は持続性はあまりないのか・・」
「現に、空間の歪みは彼らが現れた瞬間には歪みが消えていた・・・ それに連続性もない・・・」
「だったら、そこが狙い目だね・・・」
「やつはどこに行った?主殿、存在を感じるか・・?」
「いや、感じない。死んではいないだろうが・・・ 今のうちに逃げるぞ」
対象は、あたしの存在を感知できないのか、もういないものと考えているみたいだ。
(それは、好都合かな・・・ 不意打ちはあんまり好きじゃないけど、四の五の言ってられないね・・)
そう言って、あたしは最高速で一気に接近する。
狙いは女天使の方だ。
「なにっ!?」
「狙いは、私か!!」
あたしの気配に感づいたのか、契天者が女天使を守るように、前に出てくる。
(まぁ、そう来るよね)
(けど、ここからだ!!)
最初に、右のティルフィング・クーゲルから弾丸を5発放つ。
「そんな弾丸を食らうわけがないだろう!!」
契天者の前に空間の歪みが発生する。
「それを待っていた!!」
「なにっ!?」
「真の力を示せ!!天元を撃ち抜き 敵を穿て!!『ティルフィング・クーゲル!!』」
『古具解放』古具本来の力を介抱するもので、それぞれ詠唱がある。
詠唱は、その古具の所有者となったときに頭の中に思い浮かぶ。
詠唱を唱えた瞬間、放たれた弾丸が輝く。
「そんな馬鹿な!?何故、私の『歪空転置』破られる!?」
自分の権能が破られると思っていなかったのか、うろたえている。
弾丸が、歪みを貫き天使の翼、両肩を撃ち抜く。
「あああああああああああああ!!!!!」
女天使は、叫び声をあげて倒れ込む。
「貴様ぁぁぁぁ!!」
自分の契約天使が倒されて、激昂したのかナイフを両手に持ってこちらに突っ込んでくる。
「やっぱり、ナイフ二本目あるよね・・ そっちがお望みならこっちもやってあげるよ!!」
あたしも、ティルフィング・クーゲルを構えなおして駆けだす。
幾度もナイフとティルフィング・クーゲルの刀身がぶつかる。
女天使の権能がないのか、先ほどまでの不意打ちはなく正面切っての接近戦を仕掛けてくる。
「なかなかやるねぇ・・けど、これでほんとに終わり!!」
契天者のナイフを二本ともはじき、腹に蹴りを放つ。
「ぐはぁ!! だがまだ、まだ負けていない!!」
蹴りを耐えたのか、まだ戦う気満々だ。
「いいや、終わりだよ!!」
あたしは両手のティルフィング・クーゲルを構えて技の体勢に入り、契天者に向けて駆けだす。
契天者に近づいた瞬間、あたしに拳を振るおうとするが、躱して技を放つ。
「天元銃剣術 一の型!! 『バニシング・インセンディオ』!!」
放った瞬間、空間に幾重もの剣閃がはしり契天者を切り裂く。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」ドサッ
契天者が倒れ込む。
「な、なぜ権能が破られた・・・?」
「それがあたしの愛銃剣『ティルフィング・クーゲル』の能力だからとしか言えないね」
敵にそれ以上答える義理はない。
「ふっ・・・ そう簡単に教えて・・・くれないか・・・」がくっ
契天者は気絶した。
「ふぃ~ 疲れたぁ~」
中々、手ごわい相手だった。久々この子も使えたし・・・
「こちら、『黄昏』オペレーター聞こえますか?」
あたしは状況を知るために、通信をつなぐ。
【こちら、オペレーター聞こえてますよ。おつかれさまです。対象の沈黙を確認しました、そちらに捕鎖官たちを送るよう手配しましたので到着までお待ちください】
「わかりました、他の場所はどうなってますか?」
【『知啓』側は既に沈黙を確認、捕鎖官たちを手配しています。『月穣』はまだ終わっていないようです。そちらのヘイムダル様も同じくらいに対象が沈黙しました】
「『黄昏』了解。現在位置で、待機します」
そう言って、通信を切り捕鎖官たちの到着を待つことにした。
どうも作者です。
ティルフィング・クーゲルどうでしたでしょうか?
能力はまだしっかりと明かしていませんが、なんとなく予想はできるんじゃないでしょうか?
まぁ、蓮の身体能力やセンスがあってこその戦い方なので、翠波が真似しようとすると確実に負けます。
しかもティルフィング・クーゲル撃つとき、反動はないのであそこまで動けるんですよー
次回はヘイムダル視点です。
今更ですが、時系列的に戦闘の始まりはほとんど同じです。
決着の時間が違うだけです。




