第三章ー⑮
黎芭さんの視点その二です。
ガキィン ガキィン ゴオオ!!
槍と剣が打ち合い、風が巻き起こる音が夜の街に響く。
「ちっ、攻撃が当たらねえ!!」
片方が風を巻き起こして、攻撃を当てようとするが、私は躱して双剣を持つもう片方へ攻撃を仕掛ける。
ガキィン!!
槍を受け止められる。暴走しているからなのか力比べは向こうの方が上、さすがに打ち合いになるとこっちが不利だね・・・
「打ち合いではこちらが勝っていますが、素早さはあなたが上・・・ ですが、こちらは二人、あなたは一人。ならばやることは一つでしょう」
どうやら、相手は暴走していながらも冷静みたいだ。
さらに、周りも見えている。
敵がもう片方の契約者に目を向ける。
私の『執行者』としての経験が警鐘を鳴らす。
「まさか!?」
「力を貸しなさい、風の悪魔の魔使者!!」
風操っていた男に、指示を出す。
その瞬間、双剣を持つ契天者が風を纏う。
次の瞬間
「しまっ・・・!!」
目の前から、その男の姿はなく・・・
ドゴォォォン!!
私は、吹き飛ばされた。
「これは、さすがに予想外かな・・・」
まさか、コンビネーションを組んでくるなんて・・・
しかも、あそこまで身体能力が向上しているなんてね・・・
「まあ、でもある程度の情報は手に入ったかな。それに、そろそろ攻勢にはいろうか・・・」
メティスと念話をつなげる。
〔メティス、そろそろ私は攻勢に入るけど・・・ そっちはいけそう?〕
〔よいが・・・ 情報は手に入ったのか?〕
〔まぁまぁかな・・・ 物凄い権能がわかりやすかったし・・・〕
〔ふむ、ならキャビアートを使うがこっちに合流できるかのぉ?〕
〔オッケー〕
念話を終えると、私はすぐさま駆けだした。
「野郎、逃げやがった!!追うぞ!!」
「ええ、完膚なきまでに叩きますよ!!」
敵の契約者も私を追ってきた。
まぁ、追ってくるよね。目撃者は逃がさないって感じビンビンするもん。
「『知啓』!!無事か!?」
メティスが合流してきた。攻撃を受け流したり、防いだりしているのか、傷は一つもついていない。
バシュン!!
目を向けると、メティスが盾をかざして私の前にいた。
「こっちは大きいの一発くらっただけ。戦闘に支障はないよ」
「おぬし、少しなまったんじゃないか?」
「仕方ないじゃん。『黄昏』『月穣』が加わったから、多少は・・・ね?」
「だけど、もう大丈夫。勘は戻ったよ、だから攻勢にまわるよ」
「じゃな。そろそろ妾も防戦一方は嫌じゃしの、それにキャビアートを使うぞ」
「お願い」
そう言うと、メティスが私の頭に手を置き、私が手に入れた情報を手に入れて、戦略を組み立てていく。
「何を呆けてやがる!!やっちまいなぁ!!」
「哀れな敵に、断罪を!!」
敵の契約者が、攻撃を仕掛けてくる。
それに従うように、契約悪魔と契約天使が同じように攻撃を仕掛けてくる。
バシュゥゥゥ・・・
メティスの盾がすべての攻撃を防ぎ、消していく。
「よし、勝ち筋は創り出せたぞ!! いけるな、『知啓』!!」
「ええ、いけるよメティス!!」
私の頭にはメティスが創り出した、戦略がある。
この戦略に負けはない!!
私は立ち上がり再び彼らに、駆けだす。しかし攻撃する対象は、契約者二人ではなく契天者と契約天使だ。
それに驚いたのか、一瞬動きが遅くなっている。
「なに!?」
「なめられたものですね!!」
天使が双剣を振るって、私に攻撃を仕掛けてくる。
「もう、見えているよ!!」
振るってきた双剣を、躱し右手で槍を振るう。
「せぇぇぇらぁぁぁぁ!!!!」
双剣で、槍を受け止められるも、私は右手の槍を手放し回し蹴りを放つ。
それを予期できていなかったのか、防ぐことが出来ず体制を崩す。
「いま!!」
体制が崩れたところに、左手に持っている槍で天使を吹き飛ばす。
ドゴォォォ!!
天使は、近くの壁にぶつかり、うなだれる。どうやら意識を失ったようだ。
「貴様ァ!!よくも、我が天使をォ!!」
契天者が自身の契約天使を吹き飛ばされて、怒ったのか先ほどよりも速いスピードで私に向かってくる。
その手には、先ほどと同じ双剣を持っている。しかし、刀身に込められた天光がさっきまでと違う。
どうやら、本気で私を消すみたいだ。
(だからと言って、負けるはずがないけれど!!)
「そんなに怒るなら、こんなバカなことしなければよかったのよ・・・」
小さくつぶやく。
そんなこと敵には聞こえていない。
だからこそ、情けをかけず倒すのみ!!
刀身から光があふれ、こちらに斬撃として放ってくる。
(さすがに驚いたけど、ただそれだけ!! すでにメティスから教えられている)
メティスの権能のひとつ『戦智忠言』は敵の情報を知れば知るほど、対策を、戦略を創り出す権能。それゆえに相手が見せていない権能は『予想』として、情報を知ることが出来る。
ただしあくまで『予想』なので、もし違う権能だった場合すぐさま修正される有利を創り出す権能。
ゆえに・・・
「その程度の攻撃なら!!」
私は、躱しながら前に進み、契天者に迫る。
「バ、バカな!?なぜ、私の攻撃が当たらない!? こんなのあり得ない、あり得ない!!天使よ、我が天使よ。私に力をぉぉぉぉ!!!」
当たらないことに、現実を認めたくないのか、狂い始めた。
光の斬撃は、さらに数を増やして私に放つが全て、躱し槍を振るい撃ち落とす。
「終わりよ・・・」
契天者に二槍を振るい、吹き飛ばす。
偶然にも、倒れていた天使のすぐそばに吹き飛んだ。
契天者は気絶しており、もう逃げることはできないだろう。
「ふぅ~ やっぱりたまには現場でないとだめだねぇ・・・」
チュドーン!!
「どうやらメティスの方も終わったようだね」
「こちら、『知啓』繰り返すこちら『知啓』オペレーター、私たちの敵ペアの無力化に成功。今すぐ捕鎖官たちに連絡を」
【こちらオペレーター、了解しました。今すぐ捕鎖官たちに通信をつなぎ位置情報を送ります】
「ありがとうね」
そう言って通信を切る。
夜の風が心地いい
(さてさて、他のみんなはどうなっているのかな・・)
どうも作者です。
黎芭さん実は物凄く動けるんですよー びっくりしたでしょう?
まぁ、翠波君たちが『執行者』になるまで思いっきり前線に出てましたから、当然と言えば当然なんですけどね・・・
次回は、黎芭さんと分かれて戦闘していたメティス視点になります。
とは言っても権能発動後からのメティス視点なので・・・




