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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第十一章 風は涼み 天は広がる
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第十一章ー⑦

ワルキューレ・ツヴァイ「私の見分け方って、結構武器に依存しているんですね」

ぶっちゃけるとその辺でしか見分け方がありません。フレイヤの権能で喚び出されるあなたたちは武器と髪型さえ変えなければ容姿に変化はありませんよ。

ワルキューレ・ツヴァイ「だから武器と髪型なんですね?」

ええ、そうですよ。というか本当にそれでしか見分けられません。

明け方、翠波たちは『機関』の捕鎖官に今回の「暴走」契約者を任せて『HEAVEN』に戻ってきて黎芭に報告をしていた。

「結局今回の「暴走」契約者騒ぎは単独だったんだ?」

「はい。まぁ契約悪魔と共に行っていましたから、単独ではないですが・・・・」

「まぁそれは置いといて、それよりも気になることをその契約者は言っていたんだよね?」

「はい。こちらで言う「暴走」をその契約者は「天恵」と言っていました。ただほとんど「暴走」と同じ症状でした。ただまだ「暴走」よりは正気を保ってはいましたが・・・」

「う~ん、その違いは何なんだろうね?メティス、何か分かる?」

黎芭は後ろでのんびり紅茶を飲んでるメティスに質問する。


紅茶のカップを机に置いて、メティスは黎芭の質問に答える。

「ふむ。恐らく「深度」ではなかろうか?」

「「深度?」」

メティスから今まで聞いたことの無いような単語が出てきた。

「妾も詳しくは観ておらぬし、その辺は蓮からの報告待ちなどになるのじゃが・・・・ 翠波よ、今回の『依頼』の「暴走」契約者は今までより正気を保っていたのじゃろう?」

メティスから話を振られた翠波は答える。

「ええ、今までのが正気度20%とするなら、今回のは40%と考えていいでしょう」

「ああ、そう言うこと・・・・ 正気を保てていればいるほど「暴走」の「深度」が低く、逆に正気を保てていなければ「暴走」の「深度」は深いと考えていいわけでしょ?メティス」

翠波の答えに納得した黎芭はすぐにわかったのか、自分の考えをメティスに話す。

「その通りじゃ、ゆえに正気度がどれくらいなのかは実際相対するか蓮に観てもらうまでは分からぬ。故に蓮からの報告待ちになるな」

メティスは二人の答えに納得し、しゃべり疲れたのか再び紅茶に口をつける。


♢♢♢♢♢

「それにしてもまさか隣町から『依頼』が来るなんてねぇ~ 最近になって『執行者』の事が少し広まってきたって感じ?」

『依頼』の報告が終わり、体が凝っていたのか黎芭さんが体を伸ばす。その時結構凄い音がなっていたことには聞かなかったことにしよう・・・・

「それで翠波君、少しこれからの話だけどいいかな?」

「いいですけど・・・・ 普通に隣町からの『依頼」を受けるかどうかの話じゃないんですか?」

「いや~ そう思ったんだけどさ?私たち協力者は生徒会の面々やアリスちゃんで何とか人数いるけどさ、実質的な『執行者』って私含めて三人じゃん?だからどうしよっかな~って」

ああ、そう言うことか。協力者はいるけれど彼らは『執行者』ではない。『執行者』は僕ら三人。ただ黎芭さんは基本的にバックアップにまわるので実際は二人で動いていることになる。

隣町のさらわれた人々を救出するときに岡林先輩に一時的に『執行者』になってもらったが、あれはあくまで一時的だ。

だからこそ、隣町まで活動範囲を広げるとこれからの活動に支障が出かねないと黎芭さんは考えているみたいだ。


「それに隣町にも『機関』はあるけど、こっちほど私たちと連携というかほとんどないんだよね。だから正直あんまり隣町からの『依頼』を受けたくないってのが私の本音。まぁ、その辺は蓮ちゃんや翠波君との相談だけどね」

少しため息交じりに自分の意見というか、本音を話す。

確かに黎芭さんの言ってることは分かる。今の人数では隣町の『依頼』を受けることは出来ない。

「僕もそれに関しては賛成かと・・・ 正直この人数で隣町の『依頼』は受けることは出来ませんし、それに『機関』は隣町に支部を置いていますが、僕たちの事をあまり知らなそうでしたから・・・・」

昨日の『依頼』で「暴走」契約者を引き渡した時、捕鎖官たちは僕たちの事をあまり良い目では見ていなかった。

こちらの『機関』本部から連絡は言っているだろうが、懐疑的に受け取っているみたいだ。

「だよねぇ~ というかおそらくだけど自分たちじゃ「暴走」している契約者たちに勝てないってわかっていないんじゃない?」

確かにそうなのかも・・・・ 実際に(なんでこんな奴らが・・・・)って感じの表情で話されたからなぁ・・・


「あ、そうなんだ。じゃあ受けなくてもいいかなぁ・・・・ とは言っても流石に正式な『依頼』が来たら受けるようにしよっかぁ・・・・ 」

黎芭さんが(とりあえず『依頼』が来たらいっか・・・)みたいな感じになって、パソコンのある机に向かう。

「とりあえず蓮にこれからの方針に関してはまた話しておきますね」

「オッケー それじゃあまたね~ 蓮ちゃんによろしく~ というか今気づいたんだけど、フレイヤさんとアルテミスさんは?」

今までフレイヤとアルテミスの声が聞こえなかったので、疑問に思ったのか聞いてくる。

「あの二人ならもう帰っていますよ。特にフレイヤは「これ以上の徹夜はお肌の天敵!!」なんて言って速攻で帰りましたよ」

「相変わらずフレイヤさんはその辺に関しては妥協しないよねぇ~ まぁその分ワルキューレさんたちを置いて行ってくれるからありがたいよねぇ~」

そんなことを話しているが、黎芭さんの目線はパソコンの画面から離れることはなく指は忙しくキーボードを叩いている。

「それじゃあ帰りますね。お疲れ様です」

「うん、おつかれ~」


『HEAVEN』から出ると、すでに太陽は空に昇っている。

(今日は学園を公休にしてもらっているし、流石に眠いし帰ったら寝るか)

「これで少しは「暴走」が落ち着く、もしくは他の『機関』にもある程度広まっているとありがたいようなありがたくないような・・・・ まぁその辺は蓮の解析待ちだね・・・・」

そう呟き、眠気眼をこすりながら家に帰る。

ワルキューレ・ツヴァイ「ちなみにフレイヤ様はアルテミス様の眷属に乗って速攻で帰りました」

そんなに速攻で?

ワルキューレ・ツヴァイ「はい、というか暴走契約者との戦闘後すぐに帰宅準備に入っていましたよ」

ええ・・・・ 

ワルキューレ・ツヴァイ「まぁ私たちはフレイヤ様の指示なくても個々人の判断で動けますので、フレイヤ様がその場にいなくても戦闘が可能です」

実際戦闘能力は上位悪魔、天使に匹敵していますからねぇ・・・・(ただし神には確実に勝てないものとする)

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