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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第十一章 風は涼み 天は広がる
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第十一章ー➄

いや~ 最近ようやく暦にあった気温になった気がします。

ワルキューレ・ツヴァイ「そうですね~ 作品内の季節は秋ですが・・・」

まぁ、夏休みが終わった後ですからね。

ワルキューレ・ツヴァイ「それはそうと、翠波様の『トリシューラ・ニルヴァーナ』の『解放モドキ』強すぎません?」

まだ上がありますけどね・・・・

翠波は『機関』に連絡した後、今しがた捕えた暴走契約者が再び暴れないようにフレイヤたちと合流をするために、その場を駆けだす。

そのすぐ直後にフレイヤたちの姿を確認する。

「お疲れ様、『月穣』君。それが今回の『依頼』のターゲット?」

(「それ」って・・・・ まぁいいけど)

「うん、今回のターゲットなんだけど妙なんだよね」

「妙とは・・・?」

アルテミスが翠波の言葉を、眉をひそめながら聞き返す。

「うん。この男が契約者なのには間違いないんだけど、契約している者が姿を現さないんだ。今こうしている時にも・・・・」

本来契約者と契約天使、悪魔や神は自身の契約者いなくなると二日もたたずこの世界から姿を消す。だからこそ自身の契約者を必ず守るという意思があるのだが・・・・


「ということは、暴走しているのは契約者のみで契約している者は「暴走」していないということかしら?」

「そうだと思いたいんだけどなぁ・・・」

(『トリシューラ・ニルヴァーナ』の『解放モドキ』を使用して、全身が焼けるように熱く痛いせいで正直戦いたくないし・・・・)

そんなことを翠波が考えていると、今まで静かにしていたアルテミスの眷属の狼が遠吠えをあげる。

「この遠吠えを鳴いたということは・・・・」

「ええ、どうやらこの契約者の相方が取り返しに来たようですね。フレイヤ」

「わかっているわよ。そ~れっと」

アルテミスがフレイヤに指示を出すと同時に、フレイヤの能力で男の体にツタが二重に巻かれる。

「アインはこの場で『月穣』君の護衛、どうやら彼あんまり体を動かせなさそうだから」

フレイヤがワルキューレ・アインに翠波の護衛を言い渡して、その場から離れる。

「フレイヤ前衛は任せましたよ」

アルテミスもフレイヤが離れたと同時に、こことは違うビルの屋上に向かってその場を駆けだした。

「あとは二人に任せようか・・・・」

取り残された翠波は、自身の護衛であるワルキューレ・アインと気絶している襲撃者の男と共に冷たいくも涼しい夜風に体をゆだねた。


♢♢♢♢♢

眷属の案内に従いながら、フレイヤとワルキューレ・ヌル、ワルキューレ・ドライは深夜の町を駆ける。

「さっき見えた蒼い炎は確実に『トリシューラ・ニルヴァーナ』の『解放モドキ』・・・・ 翠波君使ったんだ・・・・」

【そうみたいですね、よく見れば少し冷や汗をかいていましたし所々体をかばっていましたし・・・・】

ワルキューレ・ヌルがフレイヤと話し出す。

「よく見ているわね・・・・」

《フレイヤ、雑談をしている場合ではありませんよ。そろそろポイントに到着しますよ。先行して私の眷属が威力偵察していますので・・・・》

《了解よ、援護よろしく!!!》


フレイヤが現地に着くと同時に、アルテミスの眷属たちはいっせいにその場から離れるような動きをする。

完全に離れたのを確認したフレイヤがワルキューレ・ヌルに指示を出す。

「放ちなさい!!ヌル!!」

その言葉通りにワルキューレ・ヌルはいつの間にか左手に持っていた長銃のような杖から雷の魔弾を連続で敵に向けて放つ。

眷属たちがその場を離れたのを不審に思った敵は足を止めており、ヌルの放った魔弾に気付くのが遅れ全て直撃する。

その場に煙が上がり、姿を覆い隠す。


「やったと思うかしら?」

【それはないかと・・・・ 「暴走」していると考えると耐久力も上がっていますからこの程度の魔弾では・・・】

煙がはれると同時に黒い炎弾が複数放たれる。それらを全て躱しながらフレイヤはワルキューレ・ヌルとドライに指示を出す。

「ドライあなたが前衛で動きなさい!!ヌルあなたは魔弾での援護を中心に!!」

その指示を聞いたドライは翼を広げ、両手に双剣を展開。高速で炎弾が来た方向に向かう。

ヌルは援護するために翼を広げて、空中へと躍り出る。その目にはすでにモノクル型のスコープが顕れている。


【さっさと片づけます!!!】

ワルキューレ・ドライが双剣を振り降ろそうとするが、目の前に黒い炎弾が迫ってきた。

それを躱して、地面に降り立つ。

「俺の契約者を・・・・ どこへやったああああ!!!!!」

頭にねじれた角を生やした悪魔が両手に黒い炎を纏わせながら、その場で吼える。

目はどこか正気を失っており、男から感じる雰囲気もまともではなく確実に「暴走」していることがわかる。

【貴様の契約者はすでにこちらで捕えています。さっさと降参すれば悪いようにはしません】

「貴様らが捕えただと・・・?ふざけているのかああああ!!!」

怒りの表情をして、両手の黒い炎をさらに燃え上がらせてワルキューレ・ドライに向かって突撃する・

【やっぱり「暴走」ですね・・・・ ヌル姉さま援護をお願いします!!!】

ワルキューレ・ドライがヌルに援護を頼むと同時に、飛び出し町中で黒い炎と双剣が激突し、炎が舞い上がった。


「ぐあああああああ!!!」

【ッ!!!】

黒い炎を纏った右の拳が双剣とぶつかる。

力では完全にワルキューレ・ドライが負けており、少し押されて後退する。

(力では確実にこっちが負けている。ならば・・・)

【速度で押す!!!】

翼を広げて、低空飛行で高速で近づいて左手の双剣を横薙ぎに振るう。

それを右手で受け止めるが、勢いがついているので悪魔が少し後退する。

【そのまま押し切る!!】

さらに速度にものを言わせて、縦横無尽に動きながら双刃剣を振るい続ける。

「なめるなぁああああ!!!」

【何ッ!?】

ワルキューレ・ドライの攻撃をうっとおしく感じた悪魔は全身から黒い炎を噴き出し、ワルキューレ・ドライを吹き飛ばす。

「ふしゅうううう・・・・」

【本当に力任せですね・・・・】

(さてどうしたものか・・・・)

この戦いは力と速さの戦いになることを感じながら、ワルキューレ・ドライは双剣を構えなおした。

ワルキューレ・ツヴァイ「というわけで絶賛ヌル姉さまとドライは戦闘中です」

ええ、久々のワルキューレたちの戦闘です。

ワルキューレ・ツヴァイ「相手はなんかめんどそうな悪魔ですね」

ぶっちゃけ力VS速度です。

ワルキューレ・ツヴァイ「ドライは私たちワルキューレの中でも速度は上から数えて速い方ですから何とかなるでしょう」

ワルキューレの中にもそういうのあるんですね

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