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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第十一章 風は涼み 天は広がる
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第十一章ー③

ワルキューレ・ドライ「案外隣町って遠いんですね」

何でそんなことを思ったんですか?

ワルキューレ・ドライ「アルテミス様の眷属で約30分で到着していますから・・・・」

それは単に眷属の足が速いから、約30分で到着するんですよ。

本来は電車で二時間くらいですよ、乗り換え含めて

ワルキューレ・ドライ「そんな遠かったんですか!?」

町中を疾走しながら、爆炎を躱す。

(爆炎を尽きることなく放ってくる・・・・ それにタイムロスもない、一体どこからそれだけの数が?)

「どうしたどうした!?その程度なのか、『執行者』って奴の実力はぁ!?」

(ッ!?『執行者』の事を知っている!?ということは確実に裏に追っている『組織』がいる!!捕えて、情報を吐かせる!!!)ズザザッ

地面に足を滑らせ、疾走をやめる。同時にその場で『トリシューラ・ニルヴァーナ』を体の前で、回転させて炎の渦を作り出す。

その炎の渦は放たれた爆炎を全てのみ込む。

「なに!?」

炎の渦の中から、翠波が飛び出し暴走契約者の前に躍り出る。

「少しうるさいよ・・・」

思い切り『トリシューラ・ニルヴァーナ』を振るって、吹き飛ばした。

その衝撃でビルの壁にヒビが入る。


「まさかこの町で『執行者』の事を知っている人がいるとは・・・・ まぁ『知啓』が行く前に教えてくれたけど、ただ情報源が「噂」ではなくおそらく『組織』もしくはその下っ端からだろうけど・・・・」

《『月穣』君、そっちはどう?こっちは一般人の避難は完了したわよ》

フレイヤから避難完了の念話が届く。

《了解、一応他の「暴走」した契約者や契約天使、悪魔などがいないか警戒だけお願い。そこからは臨機応変によろしく》

《わかったわ、そっちも気を付けてね》

フレイヤとの念話が切れる。と同時に暴走契約者が両手に爆炎を纏わせて、仕掛けてくる。

「そんなに悠長にしていていいのかよ、『執行者』様よぉ~!!!」

それを体を横に動かすことで躱し、右足で相手の足を引っかけて転ばせる。


翠波の目の前で転んだ暴走契約者が、起き上がる。

「足を引っかけるとは、随分姑息なことをするんだな『執行者』は」

「姑息も何もこっちは『依頼』で来ているんだよ。『依頼』は必ず成功させる、そのためなら姑息な手でも何でも使うさ」

「それに足をかけた程度で「姑息」なんて言わないでよ。というか「暴走」なんて代物に手を出している君がそれを言えるの権利があると思ってるの?」

両手に爆炎を再び纏わせ、暴走契約者は構える。

「うるせぇよ、この力は俺が与えられた「天恵」だ!!!お前に言われる筋合いはねぇんだよ!!!」

「「天恵」か・・・ それじゃそれを与えた奴らの事を話してもらおうかな」

翠波も『トリシューラ・ニルヴァーナ』を構えて、対峙する。


♢♢♢♢♢

『トリシューラ・ニルヴァーナ』と両手の爆炎がぶつかり合い、町中を炎の輝きが照らし出す。

敵の両手は素手にもかかわらず、『トリシューラ・ニルヴァーナ』とぶつかり合って傷がつくことはない。

爆炎が両手を守っているのだ。

(中々に強い、爆炎の勢いで『トリシューラ・ニルヴァーナ』の刃が防がれる・・・・ けれど範囲は両手のみ、ならそこ以外を攻める!!!)

翠波の目の前を爆炎が迫ってくるが、前傾姿勢で躱しながら『トリシューラ・ニルヴァーナ』を短く持ち横薙ぎに振るい一撃を与える。その一撃で暴走契約者後退し、距離が開く

「そこ!!『炎天烈火・赫陽』!!!!」

翠波の『トリシューラ・ニルヴァーナ』を虚空に振るうと同時に 背後に炎で(かたど)られた無数の『トリシューラ・ニルヴァーナ』が作り出される。

「いけぇ!!!」

『トリシューラ・ニルヴァーナ』の穂先を暴走契約者に向けると同時に、その無数の『トリシューラ・ニルヴァーナ』が空を奔る。


「マジかよ!?」

暴走契約者は自身に飛んでくる大量の『トリシューラ・ニルヴァーナ』を両手の爆炎を投げつけ破壊していくが、物量には勝てずいくつか体に火傷と切り傷が出来る。

「やるじゃんねぇ~ だが「天恵」を受けたこの俺がこの程度で・・・・」

暴走契約者が全てを凌いで、一息ついた瞬間目の前に業火を纏った『トリシューラ・ニルヴァーナ』を構えた翠波が現れる。

「「暴走」している契約者が、この程度防いだ程度で喜ぶんじゃないよ。燃やし尽くせ『炎天烈火・焔尖(ほむらとつ)』」

纏った業火を推進力にして、『トリシューラ・ニルヴァーナ』を暴走契約者の左肩めがけて高速で突きを放つ。

「いつの間に!?ぐああああああ!!!!」

防ぐこともできずに、暴走契約者は先ほど吹き飛ばした時よりもさらに吹き飛ばされビルの一フロアを丸々突き抜ける。


「流石にこれはやりすぎたかな・・・・?」

翠波は暴走契約者を吹き飛ばしてボロボロになったビルの一フロアを見て、流石にやりすぎと思ったのか呟く。

《『月穣』君、遠くから見てたけれど大丈夫だと思うけれど・・・ とりあえず『機関』に言っておきましょ》

翠波に先ほどの戦闘を観ていたフレイヤからの念話が届く。

《警戒中に何で僕の戦闘を見ているのさ?》

《暇だからじゃない、ほとんどワルキューレたちとアルテミスの眷属がやっているのよ。あなたの戦闘見ている方が楽しいに決まっているじゃない》

《ええ・・・・》


フレイヤとの念話をしていると、吹き飛ばした方向から爆炎の轟音と共に火柱が立ち昇る。

《ごめん、フレイヤ念話切るね》

「アレを受けて、まだピンピンしてるんだ・・・・ 十中八九「暴走」の影響だろうけど」

しかも爆炎の色が先ほどまで赤色だったのに、黒色に変わっている。

(絶対「暴走」の深度って言っていいのかわからないけど、増したよね・・・・)

「流石にこの町に迷惑はかけられないし、次で終わらせようか」

「隠し玉」を切る覚悟を決めて、翠波は再び『トリシューラ・ニルヴァーナ』を構える。

目の前で光る黒い爆炎を見据えて

ワルキューレ・ドライ「ところで翠波様の『トリシューラ・ニルヴァーナ』の技って基本的に炎が多いですね」

急にどうしたんですか?

ワルキューレ・ドライ「『赫陽』しかり今回出た『焔尖』などですが、直接炎を叩き込むのもあれば炎を別のものに使用したりと幅広い使い方ですよね」

まぁ、光と同じで姿形は不定形ですからこちらとしても扱いやすいです。

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