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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第一章 新たなる神話の始まり
16/202

第一章ー⑩

「いやー、満足満足」

模擬戦を終えた蓮は、ホクホク顔で隣に座っている。


「蓮が満足そうで良かったよ。それに、課題も見えたみたいだしね?」


「まぁ、それは追々話すとして・・ねぇ今やってる模擬戦どっちが勝つと思う?」

「あたしは、今攻めてる方かな。攻めが激しいし、それに契約神どうしの連携もいいし、勝利間違いなしかな」


「いや、僕は今守りに入ってる方が勝つと思うね」


「なんで?「攻撃は最大の防御」ってよく言うじゃん!?」

蓮はいつも攻め一辺倒だから、そう思っているのだろうけど・・・


「実は「防御は最大の攻撃」っていう言葉もあってね。守りの方が強い時もあるのさ。現に今の状況がそうだね」

そう、今の状況は一見すると攻めの方が有利に見えるが、実際は守りの方が有利に動いているのだ。

守りに回っている方のペアが、動きは良い。多分、そういう権能なのだろう。


「ほら実際に・・・」

そう言って、僕はグラウンドに目を向ける。

「あー!ほとんどの攻撃が当たらなくなってきた!」

そう、攻撃が当たらなくなってきたのだ。そして・・・

「反撃に転じた!しかも、防ぐ暇もない連続攻撃だ!」


「これで、僕の予想が当たったね。今日の帰り何か奢ってね」

「はぁ!?そんな約束してないじゃん!」

「今決めた。というわけでよろしく」

「いや、何がよろしく!?まぁ、いいや。実際今日勝てたの翠波のおかげの部分あるし、奢るよ」

そんな他愛のない話をしていると、模擬戦が終了した。


♢♢♢♢♢

「ねぇ…見た?最初のペア。天華翠波と草川蓮の二人、あの二人は完全に戦いなれてるやつの動きだよ」


「ああ・・見たぜ。あいつらは、今年の神約科の中で別格だ」

冷や汗を流しながら、翠波と蓮を見つめる。


「ああ、明らかに連携しなれている。面白いやつらが入ってきたものだ」


「それに、戦闘開始と同時に草川蓮が敵に突っ込んだ。これは、奇襲でしょう。それに、敵の情報をペアである天華翠波に教える為でもあるでしょう」


「でも、あの二人そんなそぶりなかったぜ?」


「天華翠波の契約神が呼び出した猟犬の額に情報共有して、そこから情報を渡したのでしょう。よほどペアを信頼していないと出来ないことです。現に額に紋様が浮かび上がっていたでしょう?」

どうやら、この女性はヘイムダルが行ったことを見抜いていたようだ。


「まじかーそんなん気付かなかったわ・・・」


「あの二人いいねぇ、生徒会(ウチ)に欲しいなぁ、勧誘しようか」

会長がぼそっと呟くーどうやら他の人に聞こえていたらしく。


「あたしは賛成するぜ。強いやつは大歓迎だ、それに書類整理もやってくれそうだしな」

先ほど、冷や汗を流していた女子はその意見に肯定的だ。


「俺は、どちらでも構わん。入るのであれば歓迎はしよう。それに、お前のことだ、反対しても強行するのだろう?」

腕を組んでいる男性は果敢せずだ。


「あららぁ、ばれてる?」

「当たり前だ。何年ともにいると思っている」

会長と呼ばれた男性はバツが悪そうな顔をする。


「では、その方で書類を作成しますがよろしいですか?」

「ああ、任せたよ副会長」

そう言って、四人はこの会場を後にした。

♢♢♢♢♢


「そこまで!」

最後の模擬戦が詩菜先生の一声で終了した。


「これですべての模擬戦が終了した。みな、現在の自分たちの実力がよく分かったと思う。しかし、そう悲観するものではない。実力がわかったということは、みなまだまだ成長できるということだ。幸いペアの相方がいる、私たち教師がいる。使えるものは使いこれからの皆の成長を期待する!」

「今日の授業はこれまで」

(ようやく終わった・・・・)

僕は、ほとんどの模擬戦を蓮とどちらが勝利するかを予想しながら、時には解説をしていた。だからこそ、疲労困憊なのだ。


「今日の授業は終了か・・帰るか・・」

そう言いながら、蓮を探す。


「翠波ー帰るよー」

蓮が手を振りながら、僕を呼んでいる。


「わかったー今行くよ」

蓮の声に応えて、駅に向かう。


―電車の中

「蓮は今日バイトだっけ・・・」


「うん?それがどうしたの」


「いや・・今朝言っていた予想を黎芭さんにも伝えるのかと思ってね・・」


「当たり前だけど、なんで?」

蓮は「何言ってんだこいつ」みたいな目で僕を見る。


「不確定すぎるんだよ、今回の事件。今までこんな事件は起きたことがなかった。だからこそ、予想という曖昧なものは伝えるべきじゃないと思ってね」

今朝、蓮には僕たちの予想を伝えたのに、これじゃあ矛盾している。


「だからこそ、伝えるんだよ」

「えっ?」

「不確定だからこそ、ある程度自分たちの落としどころを持っておかないと、ずっと暗闇の中にいることになるよ」

まさか、蓮にそんなことを言われるなんて・・・


「そう・・だね・・わかった黎芭さんに蓮の予想を伝えておいて。それでその後、また話し合おう。まだ、アリスには伝えないよ。さすがに彼女には厳しすぎる」

アリスは『執行者』ではないが、僕たちの仕事を知っている。


「オッケー黎芭さんに伝えておくよ」


「おっもうちょいしたら駅だ。いつものコンビニでいいんだよね」


「ああ、もちろん」

蓮のたまに核心を突く洞察力は馬鹿にできない。むしろ今のもやもやを取り払ってくれたから正直ありがたい。

そう思いながら、僕らは電車を降りた。

来週には、今登場しているキャラのプロフィールをまとめますので少々お待ちを・・・(m´・ω・`)m ゴメン…

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