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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第一章 新たなる神話の始まり
14/202

第一章-➇

キーンコーンカーンコーン

蓮が机から顔を上げて、上半身を伸ばす。

「ようやく座学終わったー」


「いや、蓮は爆睡してたじゃん。あれ、先生にばれてるよ」

蓮は、今日も座学を寝ていた。

先生も、もうあきらめているようだ・・・


「うえっ、マジで?」

まさかばれていると思っていなかったのか、物凄く驚いている。


「ばれてたよね、彰?」

確認のため、彰にも同意を求める。


「おう、思いっきりばれてたぞ。まぁ起こさなかったのは、起こしても意味がないと思ったんじゃねーの」

あちゃ~、それ言っちゃうんだ。


「意味ないって、何よ!私、テストの点数は、あんたより上なんだけど!!」

そう、何故か点数は彰より上なのだ。一教科だけ・・・


「一教科だけじゃねぇか!それ以外なら俺のが点数は上だ!」


「まぁまぁ二人とも落ち着いて。そろそろ、科に分かれての授業だよ。指定された、場所に行かなくていいの?遅れちゃうよ」

それに、こんな大声で口論しているとうるさいし・・・


「たくっ…わかったよ。うんじゃあな、神約科がんばれよ」

溜息を吐いて、呆れたような表情を見せる。


「そっちも魔使マオナ科がんばりなよ」

手をヒラヒラさせて、彰は僕たちと別れて魔使科の授業へ向かう。


「それじゃあ僕らも向かおうか、蓮」


「りょ~か~い。早速戦闘かな~」

何でそんなに、蓮はうっきうきなんだ?

いきなり戦闘は、恐ろしいからやめてくれ・・


♢♢♢♢♢


―神約科の講堂には、百余名の生徒が集まっており、講堂の上の方で、数名の男女がまるで値踏みをするように、この場所に集まった生徒たちを観ている。


「へぇー、これが今年度の神約者たちかー 結構粒ぞろいだな」

この四人の中で一番小柄な人物が面白そうに嗤う


「どうです会長、あなたのお眼鏡にかなう者はおりますか?」

眼鏡をかけた、真面目そうな女性が問う。


「なかなかいないだろそんな奴。だって、この会長だぜ?むしろ、お眼鏡にかなったら奴には同情するわ」

少し制服を着崩した茶髪の女性が「会長」の言葉に反応する。


「あん?ひどくねぇか?それ?」


「むしろ妥当だわ!」


「静かにしろ、二人とも。それに、まだ全員集まってはいないようだ」

後ろで沈黙を保っていた男性が、何かに気付いたように、口を開く。

その視線の先には、開かれた扉の方に向いていた。

ギィィ


「すいません、遅れましたか?」


♢♢♢♢♢


ー時は戻って、十分前

「くだらない口論してるから、少し遅くなったじゃん」


「くだらなくない!それに、集合時間まではまだ時間がある。そんなに急がなくてもいいと思うけど・・・」

それは、そうだけど・・・


「うちの学園、昨日見たように神約者の数もそこそこいるからね。それに、遅れて行って目立ちたくないしね」


「いや、どのみち闘って目立つことになるから。それなら、最初から目立った方がよくない?その方が戦書で申し込まれて、蔵書へのアクセス権が上がりやすくなるけど?」


「そこまで目立ちたくはないんだけど!?」

それに、『執行者』のことがあるからある程度手札は隠しておきたいんだけどなぁ・・


「ま、着いてからのお楽しみってことで」

蓮はものすごく、ニッコニッコだ。


「ある意味うらやましいよ」

少しだけ、胸の中の気持ちをボソッと呟く。


「ん?なんか言った?」

さっきのつぶやきが聞こえていたのか、顔を振り向かせて聞いてくる。


「いや何もないよ。それよりも、もうすぐ着くよ」


―そして、時は現在に戻る

「すいません、遅れましたか?」


「どうやら、ギリギリみたいだね翠波」

何で、そんなにいい笑顔なんだろう?

少しは申し訳なさそうにしてほしい・・・


「全くだよ。二日目で遅刻はマジで勘弁したいところだよ」

他の人から来る目線が辛くて、ため息を吐いてしまった。

なんだろう、誰かに見られている感覚がする。それも、複数に。


「蓮、気づいてる?」

耳に近づき、小声で問う。


「気づいてるよ、でも敵意はない感じかな。たぶん、力量を図っているじゃないかな」

やっぱり、連も気づいていたようだ。敵意がない分、うっとおしいですむけれどなんか気持ち悪い。


「まぁ、敵意はないんだしほっとこほっとこ。それより、授業始まるよ」

それもそうだ。というか・・


「珍しいね、自分から、授業に取り組もうとするなんて。風邪でもひいた?」


「それは、ひどくない!?」

そんな談笑をしながら、近くの席に着いた。


♢♢♢♢♢

「おい、気づいたかよ?あの二人」


「ああ、こちらの視線に気づいたようだった。しかも視線の種類まで・・」


「へぇー ねぇあの二人の名前教えてくれない?」


「今年度の神約者で、天華翠波と草川蓮です。どちらも、神約者としての契約魂は平均以上あり、特に天華翠波の方は平均の三倍以上の契約魂を保持しています」


「マジか・・・」「なんだと・・・」


「へぇー面白いね。特に男の方、『生徒会』に勧誘しようかな?いや、むしろどっちも勧誘してしまおうか」ブツブツ・・


「あちゃ~ あの新入り君たちご愁傷様。会長に目を付けられちまったな」

そう言いながら、手を合わせている。

♢♢♢♢♢


席について、すぐに若い女性と軽装の男性が目の前のステージに登壇した。

「みんな席についているな、神約科へようこそ。ここは、神と契約したものたちが集まるクラスだ。だからと言ってそこまでかしこまらなくていい」

「はじめに、私はあなたたちの担当となる秋葉詩菜あきはしいなだ。そして、わたしの契約神『建御雷たけみかづち』だ。よろしく頼む」

どこかクールなまさに「デキる女」って感じの女教師だ。見た感じ、黎芭さんと同い年くらいに見えるけれど・・・


「いった!何するのアルテミス」

急に、背中をつねらないでよ


《なんか、モヤっとしたのでつい・・・》


「詩菜の契約神の建御雷だ。我が主共々よろしく頼むぞ」

思ったより、フレンドリーな神だな。建御雷といえば武神だし、てっきり鬼教師みたいなものだと勘違いしていた。


「さて、私たちの自己紹介も済んだところで、隣の人を確認してほしい」

隣にいるのは、蓮だけど・・・


「その人が君のペアになる。ペアでの依頼、模擬戦は常にその人と共に行ってもらう」

それは、初耳だ。でも知らない人組むよりは、正直ほっとしている。


「ラッキー翠波とだ。連携もしやすいし、よろしく」


「こっちこそよろしく、蓮」


「よし、ペアも決まったことだし最初の授業を行う。いきなりだが、二対二の模擬戦を行う!訳が分からないと思うものがいるかもしれないが、言葉で自分の契約神の権能を伝えるより、模擬戦の中で知った方が忘れないだろう。だからこそ、模擬戦をしてもらう。これは、今の自分たちがどこまで戦えるのかの確認でもある」


いきなり模擬戦!?と驚いている。もしやと思って翠波は隣を見ると・・・案の定、蓮の目がものすごくキラキラしていた。

「やったよ翠波!いきなり戦えるよ!」


「最初に戦ってもらうペアは・・・一番最後に来た二人! 確か名前は、天華翠波、草川蓮ペア!」

最初に呼ばれちゃったよ・・・僕は額に手を当て、天を仰いだ。


《これは、その・・ドンマイです。翠波様》

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