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神と人の契約戦書 ~神話と共に人は生きる~  作者: 氷室莱那
第一章 新たなる神話の始まり
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第一章-⑦

「どうやら今日の朝の電車は、何事もなく運行しているようだね」

実を言うと、少し安堵している。昨日みたいに風にならなくていいのだから・・・


「あら、せっかく翠波様を他の眷属にも乗せることが出来ると思ったのに‥‥」

サラッと恐ろしいことを言ってるんですけど!?

そう思いながら、電車に乗る。

電車に乗ると、僕に気付いたのか蓮が話しかけてきた。


「おはよう翠波、昨日はお疲れ様」


「おはよう蓮、ほんと昨日は突然入るものだから少し驚いたよ。しかも依頼先が『機関』だから余計に・・・」


「それは確かに驚くよね~ まぁ、私は関係なくぐっすりと寝てたけどね!」

いや、ドヤ顔されても困るんだけど・・・ ってそうじゃなくて!!


「昨日の夜、黎芭さんからメールがあったと思うけど確認はしてくれた?」

昨日の『依頼』の内容についてのメールを黎芭さんが送ると電話を切る前に言っていたので、届いていると思っていいのだろうか?


「あのメールのことだね、確認したよ。にわかには信じがたいことだけど正規の手順をすっ飛ばして、急にクラスアップするなんてねぇ・・・ ふつうそんなのあり得ないよ」

ちゃんと確認したのか、昨日の『依頼』の内容についての疑問を言ってきた。

やっぱり、僕と同じことを思っていたのか・・・


「方法については、僕と黎芭さんの予想では何らかの薬物もしくは、あるわけがないと言いたいけれどクラスアップさせる術式の二つじゃないかなと予想しているよ」


「私も、ほとんど同じ意見だね。特に、薬物に関しては、半年前から噂になっていたよ。ほとんど信じられていない、都市伝説のようなものとしてね。」

「けど、術式に関してはあるわけがないよ。そうでしょ?翠波 まぁ、魂をつかさどる神がいれば話は変わってくるけど、そういう神って大体が温厚で、人に害をなそうとしない神ってヘイムダルから聞いたよ」

そう、確かに神話上に魂をつかさどる神は存在するが、数はそこまで多くはなく、そこまでマッドな神たちではないと同じ神であるフレイヤ、アルテミスから話は聞いている。


「あっ、でも一つだけ見落としてるものあった」


「えっ?それっていったい・・・」

《まもなく、学園前― 学園前ー お降りになるお客様は速やかにお降りください。》

どうやら、電車が駅に着いたらしい。僕が聞こうとする前に蓮は電車を降りる。


「おっ、駅に着いたね。降りてから話すよ。ヘイムダルは顕現させるまで、姿隠しておいてね」


「わかった、詳しく話してね。アルテミスもお願い」

僕とアルテミスも電車を降りて、駅を出た。

それと同時に、ヘイムダルと同様にアルテミスも姿を消す。


「それで、詳しく教えてくれるよね?蓮」

学園に向かいながら、電車の中での話の続きをうながす。


「ものすごく簡単なことだよ、翠波。私と君はどこでバイトしている?」

何でそんなことを聞くのだろう?


「『HEAVEN』だろ?自分のバイト先の名前も忘れたのか?」


「聞き方が悪かったわね。『HEAVEN』は何を売っている店?」


「古具を売っているお店だけ…ど… まさか、今回の事件には古具が関わっていると言いたいの?」


「うん。しかも、古具だけでなくたぶん薬物もプラスされてるんじゃないかな?まぁ、私の勘だけどね」

確かに、理にはかなっているけれど…今まで、そんな古具は聞いたことがない!


「この考えは、黎芭さんに伝えた?」

多分、黎芭さんもこの考えは予想外だろう。古具が関わっているなんて、灯台下暗しだ。


「ううんまだ、今日私がシフトでバイトに入るから、その時に伝えようと思ってる」


「わかった、今日は僕入らないし何か進展があったら連絡よろしくね」


「りょーかい、まぁでもあんまり期待しないでね」


そんな話をしているうちに、学園について教室に向かう。


「とりあえず、この話は一旦終わり。今日も一日学業に励みますか~」

自分の席について、蓮は授業の準備を始める。


「そんなこと言っても、共通座学寝る気満々でしょ?ノート見せないからね?」

そう、蓮はほとんどの共通座学を寝ているのだ。

しかも、十分寝て三十分授業に取り組んでまた十分寝るといった睡眠好きなのだ。

夜更かしをしまくっているのか、ただ単に寝たいだけなのかそれは知らないけど・・・


「うっ・・・ ばれちゃった・・・」

僕が「ノート見せない」発言をすると、蓮がバツの悪い顔をする。


そんな会話をしながら、教室に入ると

「昨日、隣街で火事があったんだってー」「ええーでもそんなニュース今日の朝聞いてないよ」

「嘘じゃねぇって、俺昨日見たんだから。隣町のビルが崩れて行って、光の槍に当たって燃える様子を」

「それお前の夢じゃねぇの」「いーや、あれは現実だったね」


僕は、額に手を付けながら天を仰ぐ。すると、姿を消していたアルテミスが小声で

「どうやら、目撃者がいたようですね。幸い私たちの顔は、見られていないようですが」


「それに関しては、良かったと思ってるよ」

顔でも見られたら、終わりだ。

まぁ、隠密性にの高いマントを黎芭さんからもらっているから大丈夫なんだけど・・・


「翠波、なーに教室の前に突っ立ってんだよ」


バシッ!


「痛った!誰!?背中をたたいたのは!?」

背を叩かれたので、後ろを振り向くと背の高い茶髪の男子ー紀央彰(きおうあきら)が立っていた。


「はぁ、また?彰。背を叩くのはやめてくれと言ったはずなんだけど?」


「わりぃわりぃ、なんかボーっとしてたからつい」

片目をつぶって、手を合わせて謝ってくる。


「まぁ、いいけど。それにしても彰がこの時間に投稿するなんて珍しいね?何かあったの?」

そう、彰は見た目からしてチャラそうに見えるが実は結構真面目なのだ。そんな彼が、いつもより遅れるなんて・・・


「いや~ 実は少し電車が遅れてよ。なんか昨日隣町で火事があって、そのせいだな」

あれは、結局火事で誤魔化したのか。ニュースにはなっていないし、幸いではあるが、これから『執行者』としての仕事が増えそうだ。


「というか、翠波昨日朝からなんか疲れてなかったか?」


「実は、昨日の朝は朝からアリスにフレイヤ絡みで怒られて、電車が止まってたからアルテミスの眷属の銀狼に乗せてきてもらった。初めて、風になったよ」

僕は、遠い目で、空を見る


「おぉう…それは、災難だったな。つぅーか今の会話聞かれてないよな。お前が『双神約者(デュアルコネクター)』ってのは、俺や蓮、お前のバイト先の店長しか知られちゃいけねぇからな」

彰も、僕の秘密を知る者のひとりだ。契約神も誰であるかは教えているけれど、まだ会ったことがない。


「そうですね。それよりも、席につかないとそろそろ授業が始まりますよ」


「だな、うんじゃまた後でな翠波」

そう言って彰は自分の席に向かう。


ガラガラガラ

「みんなおはよう!一限目始めるぞ。日直」

先生が来て、日直に声をかける。

「起立、礼、着席」

日直が挨拶をして、授業が始まった。

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