第一章-➅
朝目が覚めると、太陽が空を照らしていた。
「ふわぁぁ、よく眠れた… 今日の朝食当番は‥僕か」
部屋から出て、階段を下りて台所に向かう。
台所について、冷蔵庫を開けると
「中には、ウインナーと卵か… うん、目玉焼き作ってウインナー焼こう。それに野菜もあるし、軽くサラダでも作っておこう。」
僕は、料理を作りながら昨日の事件の顛末について思考を巡らせる。
♢♢♢♢♢
昨日の『依頼』が終わった後の連絡にて
「結局、あのクラスアップは何が原因で発生したんですか?」
〔私の予想だけれど、何らかの薬物を使用したんじゃないかな? もしくはそれを可能にする術式を使った。今のところ、その二つしか予想できないよ‥‥〕
黎芭さんでも、お手上げのようだ。メティスさんならまた違った意見も出てくるだろうが、こんな時間だし眠りについているだろう。
「薬物はあり得るかもしれないとして、クラスアップを可能にする術式なんて聞いたことがありませんよ。それに、あったとしても封術指定のものですよ」
黎芭さんの意見に、僕も賛同の意見しかない。特に前者はまことしやかに囁かれた噂にもなっている。だけど、後者に関してはそんなものがあるなら確実に歴史の教科書に載っているくらいのことなのだ。しかし、そんな術式は今まで聞いたことがない。
〔だよねぇ… はぁ~手詰まりだなぁ 一応『機関』の方が何か分かれば、情報はこちらに回してくれるそうだから気長に待とう〕
ため息交じりの話し方になってきている。本当にお手上げのようだ。
「一応学園の『無限の蔵書』で調べてみますが、結構先の話になりますけどいいですか? まだ、一度も学園で戦っていないんですから」
それに、本当にそんな術式を記した本が今の僕が閲覧できるのか、それすらもわからないのだから。
「あっ、ちなみにこの話をもう蓮にはしました?」
〔うん、一応メールでだけど簡単に伝えておいたよ。たぶん明日学園で確認などしてくるんじゃないかな?〕
良かった、しておいてくれたのなら安心だ。
「ありがとうございます。それじゃあ、明日も授業がありますのでおやすみなさい」
〔そうだったね、お休み翠波君〕
♢♢♢♢♢
翠波が、昨日の電話の内容を思い出していると階段を下りてくる音が聞こえた。
「おはようございます、義兄さん」
「おはようございます、翠波さん」
今日は、アリスが朝食当番の日じゃないのに当番の日と変わらない時間で起きてくる。
しっかり者の彼女らしい。
「おはようアリス、ホルスさん。ちょうど朝食が出来たから、テーブルに運んでくれる?」
二人が起きて来たので、朝食をテーブルに運ぶように頼む。
「あれ?まだ、あの二柱は起きてこないんですか?」
「まぁ、仕方ないですよお嬢。どうやら昨夜、翠波さんたちに急な依頼が入ったようで帰宅なされたのも深夜だったとか」
えっ、何でそんなこと知ってんの?依頼のことは、誰にも伝えてないのに・・・
「あら、そうだったんですか。なら仕方ありませんね。お疲れのようですし、今日はギリギリまで寝かしてあげましょう。ですが、夜ご飯は手伝ってもらいましょう」
「わかった、起きてきたら伝えておくね。朝食も冷めちゃうし、そろそろいただこうか」
「「「いただきます」」」
数十分後、人が二人下りてくる音が聞こえた。
「おはよ~」「おはようございます」
家の女神さまたちが起きたようだ。
「おはようございます。フレイヤさん、アルテミスさん」
「おはよう、お二人さん」
もうアリスとホルスさんは学校に行くために玄関にいる。アリスの表情が笑いをこらえているように見えた。
ホルスさんも、顔を背けているが少し体を震わせている。
(これ、絶対笑ってるじゃん・・・)
「あら、二人とももう行くのね。気を付けてね」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
寝間着のまま、二柱は玄関で見送る。パタン
ああ、なるほど
「フレイヤ、寝ぐせ凄いことになってるよ」
「えっ噓!?嘘よねアルテミス!?」
やはり美の女神としてのプライドがあるのだろうか、物凄くうろたえている。
鏡を見に行こうとせず、アルテミスに確認をしている。
「はぁ、今の自分の姿を鏡で見てきなさい。フレイヤ」
アルテミスは当たり障りのない言葉で、誤魔化した。いや、これ誤魔化してないよね・・・
「わかったわ!!」
そう言いながら、洗面所へダッシュで向かうフレイヤ。
いや、その前に服着替えてきてから降りてきてよ・・・服、寝間着なんだよ?
「いやぁぁぁ!!!」
フレイヤの絶叫が僕の家中に響いた。
「まぁ、そうなりますよね」
分かってたなら、誤魔化してよ。
朝から、この家に絶叫が響いた。
「もう、朝から変なところアリスちゃんに見せちゃったじゃない・・・」
「それに、ホルスにまで笑われるし・・・」
少しむくれながら、フレイヤは朝食を食べている。
「別にいいではありませんか、あなたは翠波様と一緒に学園に行くわけではありませんし。それに、あなた外出もあまりしないでしょう?」
自分の眷属に、ご飯をあげながら準備をするアルテミス。
「それはそうだけど。ほら私って美の女神だし、美しさを保たないと威厳が保たれないのよ」
ドヤ顔しながら、そう答えるけれど
「フレイヤ、そう思うなら自分の身支度くらい自分でしようよ。」
そう、フレイヤの髪のセットはいつもフレイヤの権能のひとつ『戦姫召喚』によって喚ばれるワルキューレたちがやってくれている。
「仕方ないじゃない、自分の髪のセットは神話の時から一切やってないのよ」
今明かされる衝撃の真実!
美の女神の美しさは、御付きのワルキューレさんたちが全てやっていた!!!
「ワルキューレさん、いつもお疲れ様です」
( ´∀`)bグッ!
(ものすごくイイ人だ・・・ それに多分苦労人だ)
そんなことを考えていると、時間が来たのかアルテミスが声をかけてくる。
「翠波様、そろそろ行かないといつもの電車に乗り遅れますよ」
「それじゃあ、いってくるねフレイヤ。家のこと頼んだよ、ワルキューレさんもお願いします」
「いってらっしゃーい。アルテミスもしっかりね~」
(@^^)/~~~
ワルキューレさんなごむなぁ~
そう思いながら、僕らは家を出た。




