第五章ー⑯
今回は黎芭さんメインのお話です。
それと敵の黒い天使ですが、今のところ黒い天使に統一しています。
まぁ、正体がわかりませんし・・・
夜の空に天使と戦乙女背にある翼をはためかせ、翔ける。
地上からは、黎芭がフィアーに追従するように駆け、『カドゥケウス・エトワール』を振るい魔力の奔流を放ち続ける。
放たれた魔力の奔流を身を翻して躱し、黒い天使は周囲にある銃から弾丸を地上にいる黎芭に向けて放つ。
「それは受けたくないね・・ エトワール!!」
『カドゥケウス・エトワール』を持つ左手を振るうと、黎芭の前方の地面が隆起し、銃弾を全て阻む。
だが、徐々に壁にした地面がボロボロになっていく。
「まぁ、こんなものでは防げないよね・・ ということで、フィアーさん!!」
黎芭が声をかけると同時に、フィアーが黎芭に釘付けになっている天使に急速に接近し、鎌を振るう。
それに天使が反応するも、躱しきることが出来ず腹部に軽い切り傷を負う。
切り傷を受けた天使は、さらに黎芭たちから距離をとる。
「さてと、こっからが本番だね・・・」
そう言って、『カドゥケウス・エトワール』をきつく握りしめた。
黒い天使はフィアーを脅威と認定したのか、フィアーに黎芭よりも多い銃弾を放ち、牽制している。
その多さに近づくことが出来ず、鎌ではじいたり、空を縦横無尽に飛び回りながらどうにか接近しようとしている。
それでも途切れることの無い弾幕に、徐々にフィアーの動きが止められていく。その弾幕は、まるで降り注ぐ流星群のような弾幕だ。
「フィアーさんの動きを止めても、私がいることを忘れてないでしょうね!!」
『降り注げ星の輝き 眼前の敵を撃ち貫け!! 星冠嶺穿!!!』
黎芭が『カドゥケウス・エトワール』を振るい、詠唱を唱えると同時に、黒い天使の頭上に魔法陣が出現し、そこから星のごとき輝きが降り注ぐ。
しかし、黒い天使はそれをかすりながらも躱し、フィアーに向けていた銃身の半分を黎芭に向け、銃弾を放ってくる。
「ちょっ!?それ躱す!?」
それをまずいと感じたのか、黎芭は先ほどのように壁を作るのではなく、自らの左右に迎撃用の魔法陣を生み出し、そこから魔力弾を放って銃弾を消していく。
フィアーは弾幕が薄くなったことを察し、弾丸を撃ち落とし時には身を翻しながら、黒い天使に接近していく。
それに気づいていた黒い天使は、残っている半分を連射して、弾幕を形成する。それと同時に自らも後退するように動く。
けれどフィアーの方が速度が速く、黒い天使に追い付き、左上から袈裟切りに鎌を振るった。
♢♢♢♢♢
「よし、一撃入った!!」
私は、地上からフィアーさんの一撃が敵の黒い天使に入ったのを確認した。
いくら天使といえど、この一撃は致命傷ではないにしろ重傷ものだと考えている。
そう思っていると、フィアーさんが私のもとに戻ってくる。
「今の一撃の手ごたえは?」
私の質問に、フィアーさんは念話で答えてくれた。
《いい一撃を入れることが出来ました。しかし、切り裂く寸前少しだけ後退されたので、思ったより迂回ものではありません》
「了解っ・・ とは言ってもこの程度で終わらないよね・・・」
《ええ、確実に。それに今の攻防で私たちへの脅威度を上げたでしょう、どうします?ヘイムダル様やアルテミス様に援護の要請を送りますか?》
「そうだね・・・ アルテミスさんには、援護の要請を送るよ。ただヘイムダルさんは抜きで」
《何故です?ヘイムダル様の権能があれば・・・ッ!?》
何かに気付いたのか、フィアーさんが黒い天使がいたところへ振り向く。
黒い天使が光力を放ち、威圧感を増す。
「う~わっ、あれ絶対怒ってるよね?それに、なんか両手に持ってない?」
すると、黒い天使は私たちの方に両手を向ける。同時に、フラッシュが発生する。
「まずい!?避けて!!」
私がその場を飛び退くと同時に、地面に光弾が着弾し爆発を起こす。
それと同時に、フィアーさんが黒い天使に向けて、翼をはためかせて標的を自分にするように、おびき寄せる。
《『知啓』は早くアルテミス様へ、援護要請を!!》
「わかってる!!」
私は、今のうちに通信を繋ぐ。
「こちら『知啓』、聞こえる?アルテミスさん。現在謎の黒い天使と交戦中!!こちらにワルキューレ・フィアーが合流し、一時は重傷を負わせたもののさらに力を増して、復活し第二ラウンドへ!!至急援護を要請するわ!!」
【了解しました。こちらからも、ワルキューレ・フィアーと黒い天使の確認をしました。ですが、今援護しても確実に撃ち抜けるとは限りません、こちらのタイミングで援護します。それでもよろしいですか?】
「ええ、それで構わないわ!!」
【了解。これよりあなたたちの援護に入ります】
そう言って、通信は切られた。
(よし、これで・・・)
ドゴォオオン!!!
隣に、体に銃痕をいくつか作ったフィアーさんが降ってきた。
「フィアーさん!?」
黒い天使に目線を向けると、両手にリボルバーを持って佇んでいた。
(まさか、フィアーさんがここまで傷つけられるなんて・・・ フレイヤから一度聞いたけど、ワルキューレ・フィアーはワルキューレの中で一、二を争うほどの速さを持つって聞いたけど、まさかそれを撃ち抜くなんて・・・)
「流石に解放した方がいいよね・・・」
少し迷っていると、上空から弾丸がさらに放たれる。
フィアーさんを肩に担いで、躱す。
「フィアーさん、無事?」
《ええ、何とか・・・ しかし、あの弾幕が厄介すぎて一度離れてしまうと、再び近づくのに時間がかかり・・・》
そんな会話をしている間にも、上空から弾丸は降り注ぐ。
「ここで話していても、埒が明かない!!私は解放するから、少しだけ時間稼ぎをお願い!!」
《ッ!!分かりました!!》
私の意図をくみ取ったフィアーさんが、地を蹴り翼を広げ、再び黒い天使に向き合い、宙を翔ける。
「さてと、それじゃあ・・・ いくよ!!」
私は気合を入れ、『カドゥケウス・エトワール』に契約魂をそそぎ、詠唱を唱える。
「天地を穿つ星々の輝き 相反せし力は一つとなりて 世界は今蛇に飲まれる!!真の力を示せ!!『カドゥケウス・エトワール』!!!」
『カドゥケウス・エトワール』が輝きを放ち、私の服装を変え、杖も形を変える。
『執行者』のマントが消え、紺色のコートを羽織り、背中には星を喰らう蛇が描かれる。
ズボンが同じ紺色のスカートへと変わり、目元にゴーグルが装着される。
球体は菱形へと形を変え、その中の星は蛇使い座になる。
そして、二重螺旋の蛇はその菱形を囲うようにお互いの尾を食い合う。
ここに、真の力を解放した『カドゥケウス・エトワール』は誕生した。
「さぁ、一気にぶっ放すよ!!」
ゴーグルが黒い天使をロックオンする。
私は、『カドゥケウス・エトワール』を振るい、魔法陣を生み出す。
「ブチ抜けーーーーー!!!」
魔法陣から、さっきよりも強力な魔力の奔流が放たれた。
はいどうも、作者です。
真の力を解放しました『カドゥケウス・エトワール』
「じゃあ、前の話の詠唱はなんやねん!?」と思う方、あれは『カドゥケウス・エトワール』を使用するための詠唱です。
アリスちゃんが唱えた『フェイルノート・オートクレール』と同じです。
真の力を解放するときは別に詠唱が必要になります。
「でも、『トリシューラ・ニルヴァーナ』や『ティルフィング・クーゲル』とかはしてなかったやん!!」
まぁ、この章が終わり次第詳しく設定に付け足しますが、簡単に言いますとこの章の前半で言ったように翠波と蓮はまともな契約方法で古具と契約してないんですよ。これが答えになりますね。




