4カイザー視点
ハァァァ疲れたぁ。
会場にもほとんど人が居なくなってきたし俺も退場ってことにしよう。
コツコツコツコツ「ハァハァ。あの、カイザー殿下。先程は大変無礼な行為を失礼いたしました。リーリエ王太子妃様にも誤解を与えてしまいましたし。」
んぁぁー、名前なんだっけ。
俺は定期的に下町の娼館で働いている女性を呼んで女心のレクチャーを受けているため不貞のレッテルをはられている。
もちろん。リーリエ以外の者には興味が無いので変な気は起こらない。
「君は仕事を全うしていただけなので気にしないで。
まさか私もリーリエが無理やりドアを開けて入ってくるなんて思わなかったし。……あとさ、お姫様抱っこって女の子の夢って言ってたけどアレ避けられてしまったんだ。やはり乙女心と言うやつは難しいな。3ヶ月くらい離宮でゆっくり過ごしていくといい。報酬だ。」口早に答えた。
あぁもう。急ごう。リーリエが寝てしまうじゃないかっ。
(コンコン)
「はい?あら、カイザー殿下。リーリエ様はもうすぐ就寝なさいます。御用がございましたら後日よろしくお願いします。」
リーリエの侍女達はガードが固く絶対に簡単にリーリエには近寄らせてくれない。
ぐぬぅ。
「あら?カイザー?どうしたの?」
侍女の後ろからひょっこりと顔を出した女神が俺の名前を呼んだ。
「リーリエ。その。きぃ、君が眠る前に会いたかったんだ…。」
あぁやばい。死にそう。俺今絶対顔赤いよな。
絶対リーリエの顔見えない。
「中にお入りになさって、」
リーリエ自らドアを開けてくれた。倒れそうだ。
「ありがとう。」
「皆、もう今日は下がってちょうだい。ありがとう。」
えぇ待て待てまだ心の準備が。人払いまでしてもしかして今日俺、お、お、お、お、大人の階段登るのか!?!?!?
「何か話したい事でもあった?」
あぁ俺はこの黒い艶やかな髪が大好きだ。
「もしもし?カイザーさん?聞いてます?」
可愛い。どうしようもなく可愛い。
「あ、あぁ聞いてるよ。その。一緒にダンス。したくて。」
スリッパのような屋内シューズなら足元を気にせず踊ることが出来るだろう。
「…え、私と?踊ってくれるの?」
ん?何をそんなに驚いてる?一生君と踊っていたいよ?
「妻と踊らない夫なんているわけないだろう?」
妻と踊りたくないやつなんて結婚などするなという話だ。
結婚ってそういうものだろ?
「えぇ。妻として踊らせていただくわ。」
柔らかく白い手を取って彼女と向かい合った。
見つめ合い彼女を抱き寄せた時いつもと違う香りがした。
ん?何の匂いだ。ムスカリ……?なぜ?いつも俺はリーリエの好きなバニラの香りを発注しているはず……
「ねぇリーリエ。これ、なんの匂い?」




