3(アンナ視点)
「戻ったわ…」
リーリエ妃殿下は普段よりかなり早い段階でお帰りになられました。
目元が少し赤くなっていらっしゃるわ。
喧嘩でもしたのかしら。
「お帰りなさいませ。リーリエ妃殿下。
お風呂の準備を致しますね。」
早い帰宅に戸惑いながらも部屋を離れようとすると、
「ちょっと待って。これをお風呂に入れてくれてくれないかしら?」
そう言われ渡されたのは貝殻の形をたびんに入った香油でした。
うわぁ、香油かぁ。
リーリエ妃殿下は気が付きになさっておりませんが実はリーリエ妃殿下が纏う匂いの類は全部カイザー殿下がこだわりをもって選んでおりまして…。
いいのでしょうか。…いやいいのです!
別に香りくらい妃殿下の好きにしても構わないですわ!
ご自身はもっと自由奔放になさっているんですものねッ!
「妃殿下お風呂の準備が完了致しました。」
少ししてから妃殿下をお呼びに戻ると、
疲れたのでしょうか、少しお眠りになれていました。
(…カイザー、、、あなたって本当に、)
夢でもカイザー殿下に振り回されているご様子だったので早く妃殿下の目を覚まさせお風呂へと連行させて頂きました。
一通り夜の仕事が終わり私たち侍女にも妃殿下から解散を申し付けられたのでその日は私達も仕事は終わりです。