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アンナ

今日はリプトスへ旅立つ日。

なんだかんだあったけど、何とか出発することが出来そうでよかった。ホッと胸を撫でおろし重厚な扉をノックした。

コンコンコン…「リーリエ様、アンナでございます。」すると中から、

「待っていたのよ中に入って、」凛としたリーリエ様のこえが聞こえた。

扉の前にいた近衛兵が重くて壮大な扉を開けてくれた。中に入ると紅茶をすすっているリーリエ様の姿があった。

「リーリエ様、準備の方が完了しました。」身支度を終えた私の手に握られている頑丈なカバンを見てリーリエはが口を開いた。

「待っていたわ。日が暮れる前に出発をしましょう。」そう言ってリーリエ様は部屋を後にした。


コツンコツンと長い廊下にリーリエ様の足音が響きわたっていた。かつて一度すべてから逃げ出したときに逃げ込んだリプトス。あの時のにタイムスリップした気分。

コツン…前を歩いていた足音が止まった。

「そういえば、そんなこともあったわね、、」そう言ってリーリエ様は少し微笑んでいた。

きっとリーリエ様も私と同じでかつての旅立ちを思い出しているに違いない。


リーリエ様がリプトスへ旅立つあの日、朝からいきなりカイザー殿下が公爵邸を訪ねてきた。

「リーリエ、他国は危険だ。なにがあるかわからない。」だとか、

「君は俺の婚約者なんだ、わっかているのか?」だとか朝から暴君を発揮してリーリエ様を困惑させて出発を5時間も遅らせたのは有名な話だった。

それに比べると今回はすごく静かに出発することが出来そうで安心している。カイザー殿下はリーリエ様にはまるで興味ない振りをして自分のものに手を出されると許せない独占欲を兼ね備えているため学生時代はリーリエ様もかなり頭を悩ませていた。

「ねえ、カイザーは見送りに来るのかしら?」リーリエ様は隣にいる近衛兵に質問をいした。

近衛兵はしこし時間を空け「殿下は見送りに来る予定でしたが急な来客のため来ることがその…」

「そうなのね、仕方ないわ。彼は忙しい人だもの…」

少し残念そうに肩を落とすリーリエ様がいたたまれなくなった。

私はその来客がだらかを知っている。どうか、何も知らずに出発できますように。

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