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カイザー

お久しぶりです。

結局そうだよな、王妃なんて立場よりも普通の貴族の妻になった方が何百倍も幸せな生活を送れるよな、金髪が好みだったとは知らなかったけど。

はぁ、そうだよな「ねぇ、ちゃんと話聞いてるの?」

前を見ると月の光のような綺麗な目がこっちを不満げに見つめていた。

「あ、あぁ。ラプトスに行く日付の話だったよな、荷造りは進んでるのか?」

「…本気で言ってるの?全く違うけど、」

彼女の顔が一気に曇った。

「んん。北の大地の話をしているのよ。あなたの従兄弟が住んでいる北の大地の話よ。」

「あぁそうだった。あいつもあっちで上手くやっているようだな。」

従兄弟か、前あったのは母上の葬儀のときだったな。

北の大地、全てが凍りしその土地は闇が好む場所。これはオレティに古くから伝記に登場する一説なのだがその通り一年中雪が降り王都では滅多に見かけない魔獣たちがウヨウヨといる場所だ。

「えぇあの環境下でここまで街が栄えているのは本当に素晴らしいわ。私も久しぶりだから早く会いたいわ。」

「…会いたい?」

滅多にここには顔を出さないあいつに会う?

「さっきから何回も言ってるじゃない。彼が会いに来るって。」

「彼って、北の大地に住むフィル大公だよな、?」

「はぁ、あなたの従兄弟は彼一人でしょ?」

呆れた様子でリーリエは返事をしてきた。そうか、家族であり悪友が会いに来るのか。これは嫌な予感がする。

「カイザー、体調が悪いなら休んだ方がいいわ。私失礼するから。」

そう言ってリーリエは晩食の席を立とうとした。

「ちょ、ちょっと待って。これ。」

もっとしっかり渡したかった、こんななんでもない日にプレゼントするのは初めてだったからもっともっとかっこよく…

「なぁに?これ、開けてもいいの?」

キョトンとした顔が子猫のようで可愛い。

「あ、あぁ。」

返事を聞いたリーリエは不思議そうに箱を開けた。

「まぁ、ネックレス?可愛い、ありがとう。」

中には最高級のルビーのネックレス、

「それ、俺だと思ってつけてて。」

いや、何だこのセリフ恥ずかしすぎるだろ、え?

「ありがとう、」

恥ずかしくて顔が見れなかった、でもただお礼に言われたありがとうがすごく嬉しそうだったから。すごく嬉しかった。

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