2(リーリエ視点)
「本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。次世代間の交流ということもありまして、ここに集う全ての国の発展を願っております。」
なんとか盛大な拍手とともに私の挨拶は終わった。
沢山の人がお酒を持ち乾杯の合図でパーティーが始まると途端に囲まれてしまった。
「あらァ、リーリエさま会いたかったデス。」
きゃ〜可愛い。
本当にいつ見てもアリス姫君は可愛らしい。
本当に羨ましい…私もこれくらいの金髪だったら、
「アリス第2王女様私もお会いできて嬉しいです。とても可愛らしい髪飾りですね。」
これ、国産のダイヤモンドかしら、すごく素敵ですっ。うちの国も宝石取れたらなぁ、、
「リーリエ様今日もお美しい。
あなたという月に出会えて光栄です。」
あー、この人スキンシップが多いのよね…
結構年上だから少し怖くて苦手です。
「あら、リエル王子。今日も私を褒めるために遥々起こしくださったんですか?」
よしっ、ナイス返し!
さすがに今のは上手に返せたと思います!
うわぁ、これは大変。腰に手を回してきましたね。
これはマズイですね…
「あ、その。ダンスでも踊りますか?」
仕方ないですわ、ダンス開始の時間までまだ少しあるけどこの状況を回避するためには…
「ファーストダンスの名誉を私へ譲ってくださるんですか?」
あ、そうか、リエル王子の国ではファーストダンスは婚約者とっていう縛りがあるんでしたっけ、まぁうちの国にはありませんのでシラを切りましょう。
お生憎私は豪に入れば郷に従えと考えておりますので。
「えぇ、構いませんよ。私の国には特別な意味を含みませんから。」私、笑顔笑顔笑顔。
そう、笑顔よ。顔には出すな。
てか、この靴でダンスとか無理です。
「エスコートさせていただきます。」
もう最悪よ。
腰も手も掴まれたらそろそろ逃げられない。
「あの。リエル王子申し訳ない鉱山の件で話があるのだが、妻ではなく私の相手をして頂きたく思っている。私でよければ貴殿とダンスだって踊ろう。」
…カイザー?どこからやってきたの?
しかもリエル王子の国に鉱山ってあったかしら。
「さすがカイザーだな。最近新たな鉱山が見つかったんだがどこの国と提携すればいいか分からなかったんだ。相談に乗ってくれ、」
そう言ってカイザーとリエル王子は方を組み少年のように鉱山の話をし始めた。
カイザーが私を手で払って気がしたので私は他の来賓の方々の元へと渋々歩き出した。
「あの、リーリエ様この度はお呼び頂き誠にありがとうございます。元々小さな国なので他国との交流もあまりなく、このような機会を頂いたこととても感謝しています。」
…確かアルファン王子だった気がする。
確かに今まで王女様は呼んでいなかった国の方だけどこの国島国ってこともあってかなり発展した固有文化がすごいのよねぇ、いつか行ってみたいですわ。
「いえいえ、こちらこそ遠方から来て頂き感謝しています。
いつか私も行ってみたいんですよ。ムサム王国」
「ぜひいらしてください。ご歓迎します。
あとこれ、拙いものですがもし良ければ受け取ってください。」
香油かしら?なんの匂いだろう。
「ありがとうございます。プレゼントまで用意頂いてるなんて、ぜひ明日のガーデニングパーティーで感想を言わせてください。」
可愛らしい瓶だし、今日お風呂で使ってみよっと
「あ、あの。すみません。今お話よろしいでしょうか。」
振り返るとそこにはさっきカイザーの膝に座り今にも口付けをしようとしていた女の子がいた。
「えぇ大丈夫よ。何かありました?」
平常心。大丈夫。
「あの、こんな素敵なドレスまで用意していただきありがとうございます。
あと本当にすみませんでした。」
そう言って、彼女が頭を下げそうになった。
「ちょっと待って、いいですか?
いかなることがあっても王宮に入った女性は頭を下げてはなりません。分かりましたか?」
今にも泣き出しそうな彼女を見つめると
圧倒的敗北感が湧いてきた。
そりゃ負けるわよね。
こんなに可愛くて守ってあげたくなっちゃうんだもの。誰だって私じゃなくて彼女を選ぶわよ。
「それに、私の方も謝らないと行けないわ。あなたのことをよく知らなかったからドレスの長さが少し長かったみたい。」
こんなところでただ一方的に私が謝られたら確実に王室の権威が下がると思ったから、
そうしただけよ。
ただでさえ夫の不貞で周りは楽しんでるんだから。
今の1部始終をずっと見られていたのだろう
アルファン王子が口を開いた。
「リーリエ様私はあなたのことをとても気に入りました。何かあったらお助けします。」
と言って去っていった。
もぉ、ほら!哀れみの目で見られたじゃないっ!もぉ!本当に恥ずかしいっ!!
ダンスの音楽が始まった。
「リーリエもう部屋に戻れ。あとは俺がやるから。」
はぁ、そうよね。あの女の子と踊りたいものね。私がいない方がいいのは当たり前よね。
「…わかったわ。もう部屋に戻る。」
私だって踊りたかった。
どんなに踊りにくい靴だってカイザーなら背中に羽が生えたようにサポートしてくれるし
久しぶりに2人で踊りたかった。
「リーリエ?怒ってる?そんなにリエル王子と踊りたかった?」
はぁ、このバカはいつまでたっても私の気持ちに気づかない。
「いいえ、違うの。少し踊りたかっただけ。」本音を言ったって気づきやしないだろうな。
「その靴で?履きにくそうだよ?足を悪くしたらダメだから今日は帰りな?ね?」
そう言って私を横抱きにしようとしてきた。
私はまだこの人を許してはいない。
「えぇ。そうね。帰るわ。1人で!」
はぁほんと嫌。こんな可愛げがないから彼は私を選ばないのよ。
もう早くお風呂に入って寝ちゃおっと。
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