ラダム
「なんだってぇええっ!!!!」
「落ち着いてください。王太子殿下。」
「リーリエが、リーリエがリプトスへ帰るだって?」
「はい。先程からそのように申し上げております。」
「分かった。俺も行く」
「なりません。まず殿下は先日の交流会でために溜めた仕事を終わらせてください。」
はぁ。なぜこの王太子はリーリエ妃がいない所ではこんなに正直になれるのでしょうか。
「いいや。必ず俺も着いていくからな。仕事を終わらせればいいのだろ?」
「仕事を終わらせたとしても殿下は行くことができません。」
「なぜだっ!?お前はリーリエが居なくなってもいいと言うのか?!」
「いなくなると言ってもたった数日でございます。」
「そんなわけないだろっ」
コンコン「カイザー入ってもいいかしら?」
あぁ我が国の女神はこんな時にでも舞い降りてくださるのか。
リーリエの登場でカイザー殿下も少しは落ち着くだろう。
ビューーンン
「リーリエどういうことだ?リプトスへ帰るだって?」
なんという速さ。さすが、王太子ではなかったら英雄だったであろうと呼ばれている鬼才だ。
「え、え?えぇ。そうよ?」
「なぜだ?俺が何かしたのか?」
こんなに殿下が取り乱すのも珍しい。
それもリーリエ妃の前でなんて何があったのでしょうか。
「なぜってそりゃあ、お父様から連絡が「リアプール公爵からの命令だって!?!?」
リアプール公爵の名前を出すと1週間は食事を取らなくなるので出さなかったのに、女神様やってくれましたね。
「え、えぇお父様がカイザー殿下は忙しいだろうから一人で来なさいって……」
リーリエ妃その発言はトドメのパンチでございます。
この状況でリーリエ妃のお姉様でいらっしゃるカトレア様がご結婚なさるからリプトスへ戻るなんて言ってしまったらお二人の関係は進まないでしょうし、ここは一旦泳がせますかね。
私も伊達に歳をとっているわけではございませんので恋愛なんて朝飯前でございます。
「リーリエ!行かないでくれっ!」
「行かないでくれですって!?なぜ?なんでそのようなことを言うのかしらっ!?貴方には心ってものがないの?」
「じゃあ約束してくれ幼なじみのあの男とは絶対会うなっ!」
「会う会わないは私の自由でしょ?!なぜあなたにそこまで管理されなくてはならないの?しかもあの男では無いわ。名前がちゃんとあるもの。」
……おやおや。ちゃんと結婚式だと伝えるべきでしたね。
喧嘩になってしまいました。
恋愛は朝飯前だと思っておりましたが私王室の文官になって数十年この身を全て国に捧げて参りましたから独身であったのを忘れておりました。
「もう、カイザーなんて知りません。1人でずっとそうやって怒っていればいいのよっ。」
ガタンっ
「……どうすればいいんだよ。リーリエぇ。」
何事も練習すればいい上手くいってしまうためほとんど挫折をしたことがない殿下でございますが、恋愛に関しましてはかなり苦労をされています。
「カイザー殿下。申し遅れましたがリーリエ妃はお姉様でいらっしゃるカトレア様の結婚式にご出席するために帰国なさるだけでございます。決して殿下が心配しているような事では無いはずでございますよ。」
「もういい、今日はもう休む。」
はぁ。これだから坊ちゃんは困りますね。
大人びて見えてもまだまだ多感な19歳ですから本日くらいは大目に見て差し上げましょう。
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