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各国の若き代表の皆さんが帰国したあともカイザーは毎晩私を訪ねにやってくる。

もっと言うと、皆さんが帰ったあとの方が大胆な行動をしている気がする。

「リーリエ、先日留学していた友人が帰国したのだが帰国祝いのパーティを開くらしい。もし良ければ一緒に行かないか?彼女とはいい友達になれると思うんだ。あ、でも絶対お酒は飲んじゃいけないよ?」

お酒は飲んだことがほとんどないのに最近よくお酒の話題をしてくる。

まず王妃、王太子妃、そして側室の女性はお子に恵まれる体質を目指さなくてはならないためお酒を口にすることはタブー視されているのに…

「リーリエ、リー?聞いてる?ねぇ、」

耳元で少しうるさげに私を呼びかける声がした。

「えぇ、楽しみにしているわ。」

私リーリエ19歳そして彼と出会って9年、他の女性を紹介されても動揺しない程度には強くなったつもりでいましたが、まさかお友達になる提案までされてしまうとは…。

もう流石に潮時でしょうか。


と、考えていたのがつい2週間前。


「カイザー来てくれたのねっ!ありがとう!」

「もちろんだよ。彼女が私の妻であるリーリエだ。よろしく頼む。」自称友達同士のおしゃべりを目の前で見せられている私…何?まぁ、いいのよ。えぇ、もう慣れているから。


「リーリエと申します。この度は勝手に押しかけてしまい大変申し訳ございません。」


「あらぁ。よろしくお願いししますわ。

私、頭を下げる王族なんて初めて見ましたわ。

リーリエ妃は大変お優しい心の持ち主なのですね。」


!?、いえ。これでいいのよリーリエ。

私は決して間違ってなんかいませんわ。大丈夫。


「楽しんでいってくださいませ。」


なんとかやり過ごせた。

公爵家とのいざこざはごめんですもの。これでよかったのよ。

「リーリエ、大丈夫か?」

能天気だ事、手まで握ってきちゃって。

本当は彼女の方がいいんでしょ?

ほら、私と違ってかわいいピンクブロンドの髪の毛に人好きする愛嬌溢れた顔つき、私が異性だったらきっと彼女のことを好きになっていたはずよ。


「リーリエ、私のそばを離れてはいけませんよ。」

……私は彼のこの神の最高傑作のような笑顔にいつもやられてしまう。分かってる。分かってるわ、私の事が好きじゃないことくらい。

でも、今はまだ私があなたの妻だから隣を歩いてもいいかしら。

「えぇ、あなたの隣からはな……「キャッ!」


振り返るとレイラ嬢がどこかの貴族の小さなご令嬢とぶつかったようだった。

プレゼントに必死で前をよく見ていなかったようね。

あらぁあんなに小さいのに立てるかしら…

「大丈夫?小さなレディ起き上がることはできるしら?」

私の笑顔が氷の彫刻と呼ばれていることは知ってはいるけど、そこまで怖い顔してないわよね?

「うわぁぁぉあああぁぁあん。」

あらあら、泣き出してしまったわ、

「大丈夫よ、ほら私の手をお取りになって、」

「あらぁ、リーリエ様下のものに向かって屈むのはどうかと思いますわよ。やはり、王家の品位を疑ってしまいますわね。」

あらヤダまた来たわよ。

こんなに小さな子を突き飛ばして謝罪もないなんて、さすがの私も……

「レイラ嬢、彼女へ謝罪をした方がいいかと思います。」

「っ!、どうして私が謝罪?まず王家並びに高品位の者たちは頭を下げない方がいいでございますでしょう?」

「えぇ、確かに王家は易々と頭を下げてはなりません。

しかし、下げてはならない理由は品位や権威などというものではなく、頭に着けた冠が下がらないようにです。

冠も何も頭に乗ってない今非を認められずふんぞり返っている行為こそが品位を下げる行動だと思います。」

よしっ!言ってやった!よしっ!!

「リーリエっ!勝手にどっかに行っては行けないと何度も言っただろう?また変なやつに絡まれたら俺が大変なんだ。

次はそいつの命が無いかもしれない。だからしんぱいを……どうしたんだ?」

はぁ、本当にこの人は自由というか気ままと言うか、

「ごめんなさい。レディ同士で会話を嗜んでいたのよ。ほら、行きましょう?」

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