10カイザー
「君たち下がってくれ。」
リーリエも俺の事を意識してくれてるってことでいいんだよな?
リーリエの話し相手にと送った若い侍女が捨てられる子犬のような目つきで名残惜しそうに他の者たちと共に部屋を出ていったのを確認した。
「リーリエ。今日もまた夜に尋ねてきてもいいかな。」
――(いいですか?殿下。女性に思いを伝える時は必ず目を見てですよ。言わなくても伝わるでしょ理論は女性には伝わりません。愛というのは伝えられてこそ感じるものです。)――
金髪の娼婦が熱弁していた事をちゃんと実践した。
大丈夫。これで朝の誤解もちゃんと解ける。と思った矢先
「御遠慮いただきます。貴方には今まで迎え入れたたくさんの女性がいらっしゃるでしょ?私で無理なら他の方で後継を産む方が効果的です。」
えっ、もしかしてリーリエ離宮に入った女性が皆3ヶ月で出ていっていることを知らないのか?
まぁそうだよな。リーリエに恋愛の授業を受けているなんて伝えたら情けなくて死んでしまいそうだ。
「いや、リーリエ君との未来を考えたい。今日も来るよ。」
――「殿下来賓の方がいらしております。」
そう言われれば部屋を出るしかない。
「わかった。今行く、ではリーリエまた今夜。」
部屋を後にしたはいいもののずっとモヤモヤしていた。
今回わかったことはリーリエへ俺の愛は伝わっていない。
何となくわかっていたがここまで冷めきっていたとは…
コンコン「遅れてしまい申し訳ない。」
案内された部屋へ挨拶をし入ろうと顔を上げるとそこには
「っレイラ……?!」
幼なじみのレイラがいた。
この国を支える5つの公爵家のうちの一つアイザン公爵家の次女レイラ・アイザンだ。
「お久しぶりねカイザー。先日ユーリア国から帰国致しましたの。」
品のあるピンクブロンドの髪がツヤツヤと光り、春の空が住んでいるかのように淡い水色の瞳が俺を捉えた。
10年前レイラが隣国へ留学に行く9歳の頃まで俺たち2人は兄弟のように育っていたのだ。
「レイラ、会いたかったよ。久しぶりだな!」
「本当にお久しぶりね。あなたったら気がついたら結婚までしているんだもの、驚いてしまいましたわ。」
少し困った顔で微笑む顔は昔と全く変わらなかった。
「あぁ本当に久しぶりだ。」
そう返すとレイラは俺に向かって手を広げてきた。
レイラは友人。
俺はその手に迎え入れられ再開のハグをした。
もちろん友人としてだ。
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