6 カイザー
「んん、リーリエ……。」
ん?なんか違う女の匂いがする。
また違う女と一緒にいるところを見られたらリーリエに誤解されるじゃないか、
「リーリエ信じてくれ……」
ンん。……え、リーリエ?あ、そうか俺昨日酔った勢いでリーリエのところで寝てしまったのか。
……!?良かったァ。どうやら理性は保ったみたいだ。ちゃんと服を着ている。
てか、え?まてまてまて。全然理性抑えられてないじゃないか。なんでリーリエが俺の腕の中からこっちを見上げてんだ?
「えっ、いや。リーリエごめんそのこれは……」
「おはようカイザー。夢の中でまた不貞を働いたみたいね。でも私も昨日意地悪しちゃったし許してあげる。」
なに?不貞だと?何言ってんだ……?
てか、おいおい。その上目遣いは反則だろ。
なんで今同じ匂いじゃねぇんだよっ!!
もっと幸せに浸れたのに……
コンコンコン。「おはようございます。リーリエさまぁ。」
あっやばい。一緒に夜まで過ごしたのに何も無かったとバレてしまう。
「い、いや。リーリエこれは間違えだ。すまない。」
早く部屋を出よう。
いそいそと長い廊下を歩いていると執務補佐官代表ダラムが
「殿下。もしや昨晩はリーリエ妃の部屋へ参っていたのですか!?」
ダラムは俺がリーリエにベタ惚れしてること知っており尚且つ情けない俺の恋愛教育として下町の娼館から教育係の女性を連れてくる奴だ。頭は切れるし恋愛も俺よりも豊富で重宝している。
「……あ、あぁ。」
「上手くいったのですね。やはり昨日参上いたした栗毛の女性のアドバイスがよろしかったよで。」
ここまで来たらもう何も無かったとは言えない。
「あ、あぁ。お姫様抱っことやらをやってみたらこうなってしまった。」
嘘では無い。神に誓って嘘はついていない。
「それはそれは。ではガーデニングパーティの準備を致しましょう。」そう言って
――――ガーデニングパーティ開始
「皆さん優雅なひと時を楽しんでください。では乾杯」
堅苦しくないパーティにはふさわしい挨拶で会は始まった。
さすがリーリエ。何をやっても完璧だ。
でもなぜ?なぜそのドレスを着てきた?
……もしかして、昨日のキスマを周りのヤツに見せるためか?今日はうちの旦那がガッツリと周りを牽制してますって意味か?!?
「あ。アルファム王子。昨日は妻が貴国から素敵な贈り物を頂いたようで感謝申し上げる。
それはそうとムスカリがいくら有名だからといって
――通じ合う心――の意味を持つ花を他人の妻に送るなど少々配慮が足りないのではないか?」
少し強く出過ぎてしまったかもしれないが、どうしても止まれなかった。
「とんでもありません。こちらこそご招待頂き誠に感謝しております。
こちらの国ではムスカリにそのような素敵な言葉が着いているのですね。存じ上げておらず大変失礼致しました。
我が国ではムスカリには――明るい未来――という意味が込められております。ぜひ貴国との有効な関係を築きたく思っております。」
……知らなかった。各国で意味が違うなど考えたらわかる事だ。リーリエの事になるとやはり俺はダメになってしまうな。
「それは申し訳ないことをした。」
こいつは危ない。下心がなく純粋な所はおそらくリーリエが好むタイプだ。少し距離を置こう。
それはそうと泣きそうな顔をさせてしまった。そんなに怖い顔をしていたのだろうか。
……あ、リーリエだ!
「はぁ。リーリエ。なんでこんな肩も胸も全部出てる格好で来たのですか?日に焼けてしまいますよ?いくら昨日のその首もとが、その……」
「ご心配結構です。」
ん?なんか機嫌悪い?朝あんなに上機嫌だったのに?
え、俺なんかした?ちょっとアルファム王子に強く当たったのがダメだった。
乙女心って難し。
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