1(アンナ視点)
「リーリエ妃殿下今日も本当にお美しい。」
「この黒髪に映えるプラチナの冠がよりとても白い肌と合わさって素敵に見えます。」
「今日はリーリエ妃殿下主催ですからめいいっぱい頑張りますわ。」
周りの侍女たちは口々にリーリエ妃殿下を褒めた。
私だって大好きな妃殿下が美しすぎて口から次々に褒め言葉がでてきた。
「沢山のお褒めの言葉ありがとう。
皆が素敵に着飾ってくださるから社交界で沢山の人が褒めてくださるの。きっとあれはあなた達を褒めているのね。」
そう言うと国の王太子妃
リーリエ・スカルザード様はとても優雅に微笑んだ。あーーー、美しい。可愛い。大好き
「あら、こんな時間。カイザー殿下の所へ参りましょう。」時間を確認すると王太子、王太子妃入場時刻まであと半刻をすぎていた。
「えぇ、殿下はまだ準備が出来てないのかしら。本当に、もう。」
殿下の話をリーリエ様がした途端あたりは静まり返り、そしてまた慌てて会話が始まった。
そう、この国の王太子カイザー・ルエル・スカルザード殿下は王太子妃付きの侍女にとてつもなく嫌われているのだ。
「仕方ありませんね。どこの国の殿方も姫君を迎えに来ると言うのに、私はいつも迎えに行ってばかりだわ。」
文句を言っているものの妃殿下の顔はいつもと同じ完璧な微笑みだった。
カコン…カコン…と広くて長い廊下が妃殿下の靴の音で緊張感を演習していた。
コンコンと私がカイザー殿下の更衣室のドアを叩いた。
(はい。どなたでしょうか。ただいま殿下はお取り込み中でございます。)
中からいつも憎たらしく王太子の味方をするダリアンの声がした。
「王太子妃リーリエ様がお越しです
どんな理由であろうとも直ちにドアの解放を願います。」私が応えると、
「王太子妃リーリエ様がお越しです
どんな理由であろうとも直ちにドアの解放を願います。」(申し訳ございませ…「開けなさいと申し上げているでしょう。」
そう言ってリーリエ様は思いっきりドアを開けた。
まさか無理やり入ってくると予想もしなかった中の者達は目が点だ。
そして私たち王太子妃付き侍女達は目がとび出ている。
「あ、いや。違うんだリーリエ。信じて」
王太子を見てみると、何やら可愛らしい栗毛色のふわふわ系女子を膝の上に乗せもう口なてくっついちゃうんじゃないかってほど凄まじいスキンシップを泥棒猫と行っていた。
私たち王太子妃付きの侍女が王太子を嫌っている最もな理由がこれだ。
綺麗な顔を武器にいつも女と話し込んだり、行き過ぎたスキンシップを図っている。
「なんでもいい。はやくして。
各国のお客様を待たせているの。あなたは王太子でしょ?さぁ早く。急ぎなさい」
王太子にしか向けない冷淡な声でリーリエ妃殿下はカイザー殿下を睨みつけた。
「それと、そこの女性に私が使わなかったドレスを1着。あと彼女の宮殿入りの支度を。」
と私たちに申し付け、更衣室を出ていかれた。
「リーリエ妃殿下あの女のことで追求しなくてよろしいんですか?」
思わず私は口走っていた。
「…いいのよ。王家が反映するためには沢山の子宝に恵まれることが第1だから。」
いつもの完璧な笑顔でわたしにそういった。
「…もし、リーリエ妃殿下のお子様が王権を取る事ができなくてもですか?」
そんな不謹慎なこと、聞いてはいけない事などわかっていたが、それでもいつも我慢しているように見える王太子妃様を見るのが辛くて聞いてしまった。
「王権を誰が握るかは他者からどう評価され、どう本人が振る舞うか、で決まります。もし、私の愛しのわが子が王権を握れなかったらそれまで、ということなのです。」
そう私に応えるとまた廊下中に靴の音を響かせて歩き始めた。
私はリーリエ様がこの国の王太子妃でよかったと思う。
だからこそ、リーリエ様には幸せになって頂きたい。
ご愛読ありがとうございました!