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二人の朝は塩おにぎり  作者: 白妙スイ
7/7

朝は塩おにぎり

 朝は塩おにぎり。

 炊き立てのご飯に塩を振っただけ、海苔は巻いたり巻かなかったり気分次第。

 僕が彼女と朝ご飯を食べたことは、あの一度しかない(夕方だったが)。

 でも毎朝、同じ塩おにぎりを食べて一日をはじめる。

 彼女がどういうひとなのか、僕は未だによく知らない。

 明るくて親しみやすくて、仕事は夜のものらしくて、母子家庭の出……。

 そのくらいしか知らないのだ。

 どこの地域出身なのかとか、何歳なのかとか、そういうことすら知らない。

 なのに何故だろう。

 朝、彼女のぶんも塩おにぎりを作って、自宅で一人、食べているとなんだか彼女があのときのように向かいで美味しそうにぱくぱく食べてくれた、あのときと同じような気持ちになる。

 彼女はどうなんだろうな、とある日の朝も塩おにぎりを握りながら、僕は思った。

 ちょっとお人好しの隣人に、毎朝ご飯を貰えてラッキー。

 そのくらいに思っているのかもしれない。

 そうだとしても別に良いけれど、そして彼女のカジュアルな性格ならそう思っても不思議はないけれど。


 『ありがと。おいしかった』


 そんなメモを毎回入れてくれる彼女は、本当に喜んでくれているのだ。

 それを伝えてくれるだけで、僕は満足してしまうのである。

 


 一日ずつ、先へ進んでいく日常。

 僕と彼女が同じおにぎりで、その日々を元気にはじめられますように。


 (完)

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