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二人の朝は塩おにぎり  作者: 白妙スイ
2/7

ピンクチェックのランチバッグ

「これで良し」

 朝食を終え、身支度を整え、大学に出発する準備はできた。

 最後に僕は、食卓に残った二つのおにぎりに手を伸ばした。

 アルミホイルを、ぴっと引き出して、ひとつずつくるむ。潰してしまわないように、優しく。

 そうしてから小さなランチバッグにそれを入れた。

 ピンクチェックで、中は保冷のための銀色のシートが貼ってある。

 これから暑くなる季節だからと選んだものだ。もっとも、真夏になってしまえばこれだけでは足りなくなるだろうけど。

 ふたつのおにぎりを入れたランチバッグの蓋をしっかり閉めて……僕が向かったのはベランダの窓であった。

 玄関ではない。学校に持っていくものではないのだから。

 がらら、と大きな窓を開けて、ベランダに出る。

 左側にある間仕切りの隙間にかけてあるS字フックにランチバッグを引っかけた。

 今の時間はちょうど日陰になる位置なのだ、奇妙な場所にピンクのランチバッグはぶら下がった。

 これで本当に良し。

 僕はこの光景に満足して、今度は心の中で言った。

 室内へ戻り、がらら、と窓を閉める。今度こそ大学へ出発だ。

 通学バッグを掴んで、玄関へ。靴を履いて、ドアを開けて、外へ出たら鍵をかけて……。

 内階段を降りて、オートロックを抜けて、自転車置き場へ。

 自分の自転車を引き出して、またがる頃には思考はもうすっかり今日、一限の授業のことに移ろっていた。

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