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第二十八話 面談終了③

「そういうやつがこのデスゲームに参加するとどうなるかわかるか?」


「死ぬんじゃないんすか?」


 それはそうだが、もう少し考察を伸ばしてほしいとところだ。



「普通のデスゲームであれば死んでも次ぐに活かせる。あくまでも安全地帯から行うゲームだから当たり前だが」


「死んだら終わりだから思ったよりも戦えないってことっすか?」


「そうだな。そして人狼における勝率を上げる方法を知っているか?」


 質問に質問で返す。

 芝原はうーん、と悩んでいるようだがそこまで真剣に答えるつもりではなさそうだ。


 どうせ俺との会話ではわからなくても話が進むのだから当たり前だろうが。



「それはな、確率論に頼ることだ」


「メジャーな立ち回りをするってことっすか?」


「そうだ。起こり得る確率の内、最も起こるものを追い続けることが大事だ」


 ただし、前提としてそれは数をこなすことで成り立っている。



「一発勝負で確率論を頼るというのは愚策になることが多い」


 それを踏まえて確率論を外す可能性は人狼側からしたら十分にあるし、そもそもその確率論でどこまで命を賭けられるかという点。


「だから、このゲームで生き残ったらデスゲームに手伝わせることにしたんすか? どうせ死ぬと思って」


「……いや、そうでもないぞ」


 腕組みを組みなおし、芝原の方を向き直る。

 俺は真剣にその案を考えていたのだから。



「デスゲームを生き残ったのなら、価値観は変わるだろう。それによって今後よりよいゲームができることだろう。リサイクルだな。いや、リユースか?」


 ……そう。俺も飛谷と同じく狂人だ。

 利用価値のある者には価値を与える。


 俺を初めて怖がるような仕草をした芝原。

 その反応には慣れているからそこまで俺の心に傷が入ることはないが、それよりも芝原に対して評価を下げる。


 直接自分がデスゲームを運営していないからと言って、随分とまとも過ぎる。

 俺たちは倫理、人の道からは外れつつある仕事をしているのだから。



「お前には一生わからないかもしれないが、そんな覚悟もなく企画運営に来るつもりだったのか?」


「…………」


 その顔を見ればわかる。

 あくまでも元々いたサークルの感覚だったのだろう。


 勿論芝原と言えども、物資運搬で気絶させられた人間たちを運んだことはある。だが、実際に死ぬところを見るわけではない。

 死体を運び出して処理するのは機材物資運搬部門の中でもベテランがやる仕事であり芝原が担当することは一生ないだろう。


「企画運営部門でどうして俺がチーフか知ってるか?」


「……優秀だからっすか?」


「それもあるが、簡単な理由だ。俺が一番狂っているからだ」


 年齢だけで言えば俺より上の社員もいるし、勤続年数も同様だ。それでも俺がチーフとして成り立っているだけの理由がある。



「それはどうでもいいが、だからこそ俺はあの植村にかけた言葉は本心だな。とはいえ十中八九、九分九厘初日に殺されるんだろうが。あいつが一番嫌いな多数決によって」


 恐らく生き残ればかなり最強の駒になるはずの植村。

 だが、そもそも初日を生きられるとは思えない。それだけの性格であり、それだけの欠陥を抱えている。


 恐らくスポンサーもやつに賭けるということは基本しないだろう。

 ハイリスクローリターンになることが多い。


 それでもデスゲームにおいては必要な存在だ。

 一番白けるのはゲームが単調になること。そして進行が遅れること。一方的になることも該当するが。


 その中で、初日に誰も処刑されないというのがある。

 誰も殺したくない、参加者たちが逃げまどうのが一番つまらない。



「……始めから、殺される予定で参加させるんすか?」


「奴は希望者だからな、これが強制的な場合にはもう少し温情をかけるが希望者には容赦はしない」


 デスゲームというのはショーだ。

 ショーが盛り上がるように適材適所役割を配置するのが当たり前だろう。


 俺は芝原が何を言っているのかよくわからないが、一応反応はしておく。


「もしかしたら生き残るかもしれないな。占い師や霊能者であれば初日に殺されることもないだろう」


「それもそっすね。ランダムで役職が振られるわけですし」


 俺は黙って尤もらしい表情で頷いた。

 芝原は勘違いをしている。そもそも役職は既に確定している。一番盛り上がりそうな配置をシミュレーションしている。


 最低でも植村には有益な役職は当てられておらず、これから予定が変わらなければただの村人として殺されるだけだ。



「さて、俺は支部を回って段取りなどを確認するが、お前はどうする? 今回くらいは観光してもいいぞ?」


「え、マジっすか!」


 ……少しは遠慮ということを覚えてほしい。いや、適当に言ったということを理解してほしい。


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