いままで
10月です。よろしくお願いします。
うさみが、まるで最前までやっていたゲームのような世界に転生し、さらに千年を繰り返すようになって何度目だろうか。
賽の河原で石を積み続けるかのような繰り返しはもしやここが地獄かと疑ったこともあった。
仮に無間地獄であるとするならば千年を多少繰り返したところでいくらもならないだろう。説によるが億とか京とかそういう単位だったはずである。
それに、地獄というにはいくらかぬるい世界であるようにも思える。
魔物との無限とも思われる戦いを強いられている世界。
一生のほとんどを幼女に見える姿で過ごす。
上を見れば蓋をされており、底を行けば死の恐怖にさらされ続ける、
最終的には滅びに瀕し。
工夫や努力を積み上げても千年ではじめに戻さる。
知った顔と会っても相手はこちらを知らない。
心をすり減らし何も感じなくなるかあるいは気が狂ってもはじめに戻ると共に正気に戻される。
短く言葉にすれば恐ろしく感じるが、その時その時においては平穏な暮らしすら可能であり、灼熱だの叫喚だのといわれる地獄か、といわれるとどうにも印象が違う。時間はともかくその間においての苦しみが足りていないように思う。もちろんもっと苦しみたいということではないし、足りてないのはありがたいことだけれども。
ではなんだと問われても答えはない。だいたい、かつて生きていた世界で言う地獄が正しく死後の世界を伝えていたかどうかもわからない。
ともあれ記憶を継承してほぼほぼ同じ環境で千年を繰り返す。それ以外は自由。というものが、うさみに与えられたものだった。その記憶も忘れる。なんせ一回千年分だ。一年前何食べたかもよほど印象的なことでなければ思い出せないものである。
結局ただただ時を過ごしているだけとも言える。
なぜこのようなことになったのか。あるいは死んだ人は皆こういう目に合うのか。
考えたところで答えは出ない。
最終的には事故に近いものだったと判明するのだが、それはうさみの主観でずっと先のこととなる。