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第31話 パーティ 

「おおおおおお……!!」



 ──ギルド内に感嘆の声が響いた。


 黒焦げになった深き森(ディーペス)の大蛇(トスネイク)の鱗を、コトリとカウンターに置いてヴィヴィアンが呟く。


「驚いていないで、サッサと換金して頂けるかしら?」


 特に得意気になる訳でも無く、淡々とそう告げる。しかし、周りにいた冒険者達の反応は違った。


「凄え……! 一人でA級の魔物を討伐するなんて……さすがビビちゃん!」


「こりゃあ、A級にランクアップするのも時間の問題だな……」


「ビビちゃん! 俺達とパーティ組まねえか?」


 ひたすら驚いて称賛する者や、自分達の仲間(パーティ)に勧誘する者。反応は様々だ。我先にと、ヴィヴィアンに自らを売り込もうと彼女を取り囲む。


「ごめんなさい。私は誰ともパーティを組む気はありませんわ」


 そんな彼等の思惑を、ヴィヴィアンはバッサリと切り捨てた。それはそうだろう。固有能力(ユニークスキル)の存在を隠している以上、そう簡単に仲間を作る訳にはいかない筈だ。俺とアスカは、そんな彼女を横目にアリスのいるカウンターの窓口へ向かった。


「換金を頼む」


 カウンターに岩壁の巨熊(ロック・グリズリー)の牙を二本置き、俺は告げた。それを見たアリスが、目を見開いて答える。


「え? に、二本? クロス君達、たった二人で岩壁の巨熊(これ)を討伐して来たの? しかも、たった一日で……」


 驚きながら話すアリスの言葉を聞いて、にわかにギルド内がざわ付き始めた。


「お、おい……あの坊主、たった二人で岩壁の巨熊(ロック・グリズリー)を討伐したんだってよ……」


「あんな可愛い()岩壁の巨熊(ロック・グリズリー)を……」


 どうやら、少し注目を集めてしまったらしい。ヴィヴィアンの快挙に湧いていた冒険者達は、俺達を値踏みする様に其々が話し始めた。その様子を見て、ヴィヴィアンがゆっくりと近付いて来る。


「ふーん……貴方達、やるじゃない」


 カウンターに置かれた岩壁の巨熊(ロック・グリズリー)の牙を手に取り、ヴィヴィアンはそう告げて来た。


「そりゃ、どうも」


 サッサとこの場を立ち去りたい俺は、適当にそれを受け流した。俺達も固有能力(ユニークスキル)の存在を隠している以上、余り注目は集めたく無い。しかし、そんな俺の思惑等は関係無しに、ヴィヴィアンは冒険者達の注目を集める様な発言をする。


「面白いわね。貴方達、私と仲間(パーティ)申請してみる?」


 岩壁の巨熊(ロック・グリズリー)の牙を指先で弄びながら、軽い調子(ノリ)でヴィヴィアンは俺達を勧誘して来た。そんな彼女に、俺は即答する。


「──悪いけど、遠慮する」


 見た所、彼女はこのギルドでも注目される存在(アイドル)。その上、本当の身分はこの国の第三王女だ。



 ──申し訳ないが、俺は彼女(ヴィヴィアン)嫌な(トラブルの)予感しか感じていなかった。


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