第03話 ユニークスキル
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あれから、何日くらいが過ぎただろうか……。
あの、大型で狼の姿をした魔物、三尾の狼。俺はあの後、何度も固有能力【不意討ち】を発動し、何とか三尾の狼を仕留める事に成功した。木の枝で刺し、石で殴り。大量の返り血を浴びながら死闘を制し、どうにかこうして生きている。
「腹減ったな……」
少し逞しくなったのか。俺は、随分この森での生活にも慣れて来た。時計が無いので、時間の感覚は分からない。何度も朝と夜を繰り返し、俺は、自分の能力を検証しながら過ごしていた。
ふと、視界に猪の様な姿の魔物が入る。俺は思わず笑みを零した。久しぶりの大物だ。
「──【不意討ち】!!」
手慣れた段取りで固有能力を発動させ、猪の魔物に忍び寄る。奴は、全く気付く気配が無い。俺は、枝から切り出した自作の槍を構え、側面から一気に心臓を突いた。
《グギャッッ!!》
一瞬だけ暴れ、直ぐに息途絶える猪の魔物。急所を一突きで仕留めたお陰で、派手な出血も無い。完全に動かなくなった事を確認し、俺は慣れた手付きで血抜きを始める。
「猪の魔物の肉は美味いんだ……」
いつの間にか、当たり前の様に始めた魔物狩り。今の俺にとって、糧を得る為の大切な行為だ。石を研いだナイフで手際良く解体し、必要な部位を切り出す。もう、何度こうして魔物を解体したかわからない。気が付けば俺は、この森で逞しく生きる術を体得していた。
「想像以上に使える能力だな……」
独り言を零し、何気なくこれまでの事を振り返る。この世界に来て、いきなり襲って来た魔物の事。その戦いを期に、徐々にわかって来た自分の能力。そして、この世界のルール。
神は言っていた。この世界に存在する、ゲームの様な能力という概念。そして、その熟練度について。
確か、通常能力も固有能力も、その熟練度は五段回。この世界に生きる人間や魔物等、その魂の質や狩った数でレベルは上がるらしい。正確な条件は聞いてないが、何となく感覚でわかるそうだ。おそらく、俺はまだ初期の段回……つまり、レベル『一』。だが、何となく後少しで上がりそうな気がする。これが、感覚という奴なのだろう。
そして、俺の固有能力【不意討ち】。
これについては、何度も検証を重ねた。あの神が詳しく説明しなかったし、何より、俺の命に関わる問題だ。そして、結論としてわかったのは、この能力がとんでもなく有能だと言う事。
発動すれば一定時間、相手の意識から強制的に俺が外れる。つまり、敵は俺を認識出来なくなると言う訳だ。しかもこの能力、何度でも発動出来る。まさに、強制的に相手の『不意』を創り出し『討つ』能力……『不意討ち』だ。
但し、余り使い過ぎると目が痛くなり、視界が紅くならなくなる。おそらく、MPの様な物が切れるのだろう。こうなるともう、固有能力は発動出来ない。だが、これも感覚でMPが切れそうになるとわかる。
問題点があるとすれば、相手によってその効果が異なる事か。所謂、勘が鋭い相手には長く持たない。それに、余り大きな音を立てたりすると、流石に感付かれる。完全に気配を断てると言う訳では無さそうだ。
それでも、この能力は今の所、殆ど無敵と言ってもいい。何しろ発動すれば確実に、急所をピンポイントで討つ事が出来る。そもそも、普通の攻撃でも不意を突かれるとダメージはデカい。お陰で大した武器は無くても、何とかここまでやって来れた。
「これ食ったら、そろそろ行くか……」
俺は、何日もかけて一通りの検証を終え、そろそろ森を出る事を考えていた。森の外、つまり未知の異世界。どんな危険があるのかわからない。慎重に検証を重ねて来たのはその為だ。
「剣と魔法の世界か……楽しみだな」
──猪の肉塊を持ち抱え、俺は期待に胸を踊らせた。
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