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第21話 王道(テンプレ)

「──アスカ、読めるか?」



 ギルド内に設置された掲示板を眺め、俺は尋ねた。無事に冒険者としての登録を終えた以上、俺達は目の前に貼られた依頼書の仕事を受けられる。但し、俺達の様な新人冒険者(ルーキー)が受けられるのは、C級の依頼に限られているのだが。


「……問題ない。ここにある依頼は、主にペットの世話や捜索……それに、薬草の採取ね。後は、店番とか大工の手伝い。報酬の平均は……大体、銅貨八枚くらい」


 依頼書を一つ一つ確認しながら、アスカが簡潔に答える。やはり、アスカは読み書きが出来る様だ。俺は、この世界の文字がサッパリだから、正直助かる。


「禄なのが無いな……」


 俺は、ぼやいた。銅貨八枚では、宿代で殆ど消えてしまう。それに、もっとこう、冒険者らしい魔物の討伐とかの方が、経験値も稼げてちょうどいい。幾らこの世界はゲームでは無いと言われても、現実の仕組み(システム)ゲーム(それ)に近いのだから、どうしてもそう考えてしまう。


「C級の冒険者でも、ギルドの承認があれば、B級迄の依頼なら受けられるみたい……」


 アリスに貰ったギルドの規約(マニュアル)に目を通しながら、アスカは答えた。ギルドの承認……つまり、アリスが認めれば良い訳か。


「因みに、B級の依頼ってのはどんなのがあるんだ?」


 掲示板のそれらしき場所に目をやり、俺は尋ねた。


「えぇと……ここに貼ってあるのは、B級だと小鬼(ゴブリン)の討伐依頼や、最近、出没している盗賊団の討伐依頼ね。殆どは、魔物の討伐依頼みたいだけど。報酬の差も、大きい。最高は……岩壁の大熊(ロック・グリズリー)の銀貨二十枚」


「銀貨二十枚!? 岩壁の大熊(あいつ)、そんなに金になるのか……!」


 思わず、声に出てしまった。岩壁の大熊(ロック・グリズリー)と言えば、この町に来る以前、何体か倒した魔物だ。魔物は、その体の一部が討伐の証明になるらしいが、惜しい事をした。しかし、岩壁の大熊(あれ)がB級でも上位の魔物だとは……。正直、『迷いの森』にいた魔物の方が強かった様な気もする。


 すると、俺達の会話を聞きつけて、見慣れない三人組が声をかけて来た。


「坊主、岩壁の大熊(そのクラスの依頼)を受けるには、最低でも四人以上の仲間(パーティ)じゃねぇとギルドの許可は降りねえぜ? 何なら、俺達が仲間になってやろうか?」


 声をかけて来たのは、大柄な髭の男。傍らには、痩せ型でつり目の男と、丸々太った小柄な男を従えている。三人共、ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべていた。


「アスカ、そんな規約があるのか?」


「いえ。それは、あくまでそのパーティの戦力を見る為の目安。平均、四人くらいは必要だと言う、一般的な見解。クロスなら、()()()()がいなくても何の問題も無い」


 淡々と、冷たく男達の言葉を否定するアスカ。


「だ、そうです。せっかくですが、お断りさせて貰います」


 俺は、あくまで下手に断りを入れた。内心、期待に胸を踊らせながら。


「言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん。俺達三人が、この坊主一人の戦力にも劣るって言いてえのかい?」


「ヒヒヒ……世の中の厳しさを教えて差し上げなきゃいけませんねぇ」


「グフフフ。か、可愛いなぁ……グフフ……」


 あくまで、上から目線で憤る三人組。俺は、笑いを堪えるのが精一杯だった。


 期待通り。


 なんて、わかりやすい展開! 


 まさに、王道(テンプレ)



「──こ、困った人達ですね……ププ……」


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