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第19話 神の加護

「──わかりました。では、銅貨二枚ですね。必要な項目は私が読み上げますので、口頭で答えて下さい」



 そう言って、俺が置いた銅貨を確認すると、アリスは必要な項目の聞き取りを始めた。


 名前。


 出身地。


 今までの経歴、等々。


 当たり障りの無い質問が続く。出身地は少し言い辛そうにしていると、アリスは、気を効かせてそれ以上は追求しなかった。意外と、自分の出自を隠したがる冒険者は多いらしい。犯罪者でも罪を償えば、冒険者としてならやり直せる。そう揶揄(やゆ)される程、荒くれ者が多い冒険者には珍しくない事なのかも知れない。


「はい、これで必要な情報の登録は大体オッケーね」


 思いの外、アッサリと情報の登録は終わった。これで一安心と胸を撫で下ろしていると、アリスが傍らに置いてあった水晶を持ち出す。そして、それを俺達の目の前に置くと、説明を始めた。


「後は、ステータスの確認ね。これで、冒険者登録に必要な手続きは最後よ」


 そう言って、ニッコリと微笑むアリス。更に、その説明を続ける。


「この水晶に手を(かざ)せば、神の加護や熟練度(レベル)がわかります。教会の水晶程、詳しくは出ないですけどね。お二人共、教会の洗礼は受けていますよね?」


 神の加護?


 能力(スキル)の事だろうか。


 それに、教会の洗礼って何の事だ?


「洗礼を受けていないと、どうなるんですか?」


 何気ない俺の質問に、アリスは眉を潜めた。しかし、すぐに冗談だと思ったらしい。


「どうなるって……。洗礼を受けていない人間なんて、いる筈が無いからわからないわ。さ、さっさと終わらせちゃいましょう。ここに手を翳して」


 真剣に取り合わず、そう促して来るアリス。俺は、迷った。おそらく、俺はその洗礼とやらを受けていない。しかし、ここで拒否するのも怪しまれる。何とか、冒険者としての資格だけは手に入れたい。


 そんな事を考えて俺が躊躇(ちゅうちょ)していると、横からアスカが割り込んで来た。そして、何の躊躇(ためら)いもなく、その手を水晶に翳す。


 すると、置かれていた水晶が輝き始め、その横に置いてあるプレートに文字が浮かび上がった。アリスがそのプレートを取り上げ、まじまじと見つめる。そして……。


「あら、凄い。アスカさんはその歳で『料理』の加護を受けているのね。レベルは『一』。加護持ちなんて、羨ましいわ……」


 アリスは、そのプレートをアスカに手渡しながら、そう告げた。このプレートが、この世界では自分の身分を証明する物になる。


「お疲れ様。次は、貴方の番よ。クロス君」


「……大丈夫。固有能力(ユニークスキル)は表示されない。私達が混血である事も。詳しくは後で説明する」


 促すアリスを他所に、すれ違いざまにアスカは、彼女には聞こえない様な声で呟いた。何の事か理解出来ないまま、俺は、アスカの言葉に流される様に水晶に手を翳す。彼女が大丈夫と言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。


 再び、水晶が輝き始める。そして、アスカの時と同じ様に、文字の浮かび上がったプレートを手に取り、アリスは目を見開いた。



「──あら、凄い。貴方も加護持ちなのね、クロス君。えっと……加護の名は『短剣使い(ショート・ソード)』ね。レベルは……え? レ、レベル……『ニ』!?」


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