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第11話 ノーマルスキル

 ──村に滞在して十日が過ぎた。


「……おはよう」


「うおっ!?」


 目覚めると、目の前にアスカがいた。俺が目を覚ますまで、ずっと傍にいたらしい。この村に来てから、毎朝この調子なのだが未だに慣れない。そもそも、一体アスカは何時からここにいたのだろうか。


「お、おはよう……」


 寝惚けている暇も無く、目が覚める。まあ、それはそれで助かるのだが。如何(いかん)せん、心臓に悪い。


「……朝食、出来てる」


 世話を焼いてくれるのは助かるが、これではまるで通い妻だ。そう思いつつも、流される様にテーブルに付く。完全にアスカのペースだ。


「頂きます……」


「……ん」


 朝食は、黒パンにクズ野菜のスープ。それに、ミルク。黒パンは固いので、スープに浸して食べる。これは、この世界の一般的なメニューらしい。まあ、()()()()()と言う話だが。


「……今日も、お勉強?」


 アスカが聞いて来る。彼女の言う『お勉強』とは、この世界の情報を集める事だ。ここ数日はアスカだけではなく、村長のアンクにも話を聞いている。どうやら、アスカはそれが、余り気に入らないらしい。自分だけで十分。そう言いたい様だ。


「いや、だいぶこの世界の事もわかって来たし、今日は少し試してみたい事があるんだ」


 この世界についての知識、常識は、随分アスカとアンクから教わった。世界情勢、能力(スキル)の事、そして魔法の事。基本的な事だけかも知れないが、俺にはもう十分だった。


 今、俺がいるこの村があるのは、オルキア大陸の東側。その、少し北側に位置するらしい。この世界は小さな島を除き、主に二つの大陸から成っている。北のオルキア大陸。そして、南の魔大陸。


 魔大陸は文字通り、魔族の国。そして、オルキア大陸は、ちょうど東西を分断する様に走るエレスト山脈を境に、西と東に分かれているそうだ。西が亜人の国。そして、東が人間の国と住み分けているらしい。


「……試したい事?」


 キョトンと、不思議そうな顔で尋ねるアスカ。


「ああ。昨日、アンクが言ってたろ? 能力(スキル)の事……」


 能力(スキル)


 この世界特有の概念。俺が知りたかった事の一つだ。アンクは、この能力(スキル)という物について詳しく教えてくれた。


 この世界には俺の【不意討ち(サプライズストライク)】の様な『固有能力(ユニークスキル)』と、一般的な『一般能力(ノーマルスキル)』という物があるらしい。


固有能力(ユニークスキル)』はその名の通り、個人に生まれ持って発現する、特殊な能力。その種類は千差万別で、そもそも、持っている事自体が相当珍しい物らしい。


 そして、『一般能力(ノーマルスキル)』はその逆。後天的な能力で、日々の生活や鍛錬によって発現するそうだ。どちらかと言えば、生活の中で自然に身に付く物らしい。例えば、『料理』とか『掃除』とか。戦闘寄りと言えば、『狩猟』とかがそうかも知れない。まあ、そんな感じなので、この世界では殆どの人が、何らかの一般能力(ノーマルスキル)を持っている事が多いそうだ。


 しかし、王国の騎士や兵士の様に、その能力(スキル)を身に付けるのが目的で、日々、鍛錬を行う場合もあるらしい。それが『剣術』や『槍術』と言った、武芸の類。『突き』や『縦斬り』といった能力(スキル)の様に、よりピンポイントで鍛錬した方が、その習得は早いらしい。


 そして、一番驚いたのが、その熟練度(レベル)についてだった。アンクの話によると、後天的に発現する一般能力(ノーマルスキル)は、身に付けるだけでも相当、時間が掛かる物らしい。つまり、能力(スキル)を持っていれば、それだけで優秀。レベルなんて『一』が殆どで、それ以上になると達人の域になるらしい。


「多分、あと少しだと思うんだよな……」



 感覚でわかる。おそらく俺は、あと少しで熟練度(レベル)が上がる。どうやら俺は、あの『迷いの森』で、とんでもない経験値を積んでいたらしい──。




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