番外⑵‥[最終話]〜帰還と疑念と思いと
その後麻里亜は希愛を探し続けていた。
そして、ある日希愛のオフィスの前を通り中を覗こうとすると。
あれから麻里亜はSNSで希愛宛にメッセージを何度も送ったり、ゲームにログインしたりしていたがみつからなかった。
希愛の家族は失踪した次の日に警察に行った。警察も探してくれているのだろうが、一向にみつかる気配はなかった。
そして、希愛が失踪してから7日が経ち、麻里亜は仕事が定時で終わり、希愛が働いていたオフィスの前を通り扉の前に立ち止まった。
(希愛……どこに行ったの?ここで何が起きたっていうの?)
麻里亜は扉越しで中を覗いていた。すると、急に建物がグラグラと激しく揺れだし、麻里亜は慌てて頭を抱え床に座り込んだ。
そして、希愛がいつも作業をしていたパソコンが光を放ち、オフィス全体を覆い尽くした。麻里亜は揺れが治まってくると恐る恐る中を覗いてみた。
(確か希愛がいなくなったあの時も、地震が起きてオフィスの中が光で覆われた。まさか、あり得ないとは思うけど。希愛が戻ってきたなんて事は流石にないよね)
麻里亜は中を覗き驚いた。そうそこには希愛が床に倒れていたからだ。
(えっ!どういう事なの?何で希愛が……)
すると麻里亜は立ち上がり、希愛の側に駆け寄った。そして、麻里亜は希愛の側までくると、顔を覗き込んだ。
「希愛!ねぇ希愛……」
麻里亜は希愛にひたすら呼びかけた。すると希愛はその呼びかけに反応し身体を動かし首を横に振り目を徐々に覚ましていった。
「……ん〜〜、あれ?ここは……あっ!そっか戻ってこれたんだぁ」
「希愛?戻ってこれたってどういう事なの?てか、今までどこに行ってたのよ!皆心配してたんだよ」
「ごめん、そうなんだねぇ。麻里亜聞いて。あのね、私ね。今までこことは違う世界にいたんだよ。それでねぇ……」
「希愛……違う世界って?そんなのある訳ないじゃない!どうしちゃったの?」
「そうだよね。信じられないよね。でもね、本当に異世界ってあるんだよ。実際この目で見てきたんだからぁ。凄いんだよ〜。ゲームに出てくるような……」
麻里亜は希愛が余りにもあり得ないような事を言っているため、その話を聞いていても信じる事が出来なかった。
「あのね希愛。今までどこに行っていて何があったかは知らないけど。今から病院に行った方がいいと思うよ」
「麻里亜……そっか、やっぱり信じられないよね。でもね。これは本当に……」
希愛が何かを言おうとしたその時、部屋に希愛の上司が入ってきた。
そして、希愛は上司に事情を聞かれた。麻里亜に話した事と同じ事を話したが、信じてもらえなかった。
すると上司は、おかしくなったと思い、麻里亜と共に希愛を車に乗せ病院に連れて行った。そして、病院に着くと麻里亜は希愛の家に電話をした。
その後希愛は病院に入院する事になった。
数日後、麻里亜は希愛の見舞いにきていた。あれから希愛は余り話さなくなっていた。
「希愛。あれから余り話さなくなったよね」
「麻里亜……あのね。多分私はもうゲームから遠ざかろうと思ってるんだよねぇ」
「そっか。それがいいのかもね」
「うん。それでね。お願いがあるんだけど。信じてもらえないのは分かってるんだけどね。手紙に私が見てきた事を書いたから後で読んで欲しいの。そして、もしあのゲームを、またやるような時があったら私の名前使って欲しいんだけど。ダメかな?」
「そっか。異世界の話は信じられないけど。手紙は読むよ。それにあのゲーム最近やり始めたんだよ。だから、希愛がその名前を私にくれるなら、希愛はゲームが出来なくなったけど。これから希愛の分までゲームやって教えてあげるね」
「麻里亜……うん、ありがとう。楽しみにしてるねぇ」
そして、麻里亜は家に帰り手紙を読んだ。そこには異世界で起きた事の全てが書かれていた。召喚された理由からその後自分達に何が起きたのか、召喚されて異世界に行った者達の名前も書いてあった。
(希愛……これが本当だとしたら。召喚され異世界に今までいて、リュウキさんやシュウさんやクレイ・ディオンさん達も召喚されていた。それに、ここに書かれている異世界ではクロノアとして……そして、クロノアは、その異世界で……でも、これが真実ならクロノアは悪くないはず。それにリュウキさんは、仲間を助けようとしただけ。なのに……はぁ、やっぱり信じられない。こんな事が実際あるわけがないしなぁ。でも……まぁ考えてても頭が混乱するだけだし、考えないようにしようっと。ゲームでもやるかな)
麻里亜はゲームにログインした。そして、メニュー画面を見ながら考えていた。
(ん〜、クロノア・ノギアをそのまま使うのもなぁ。あっ!そうだ。私のマリースを間に入れて、クロノア・マリース・ノギア。これなら2人でゲームをやっているようでいい感じだよね)
そして、その日から麻里亜は毎日ゲームにログインするようになり、希愛にゲームでの事を話しているうちに楽しくなり、次第にクロノアとしてゲームにログインする回数も増えていた。
麻里亜は、そろそろギルドを探そうと思っていた時、フレになっていたユウがギルマスだったのを思い出しギルドに入れてもらった。
そして、そこでハクリュウやノエルと出会った。
その後希愛は、病院を出て家に帰りゲームの事を一切話さなくなり、仕事もゲームとは関係の無い所に就職した。
そして麻里亜はたまに希愛とSNSで会話をするが、ゲームの事を話さなくなっていた。
でも麻里亜は、その時はそれでよかったと思っていた。だが、後に自分が異世界に召喚されると希愛の言っていた事が、何であの時信じてあげる事が出来なかったのかと、たまに頭をよぎる事になる。
そして、ユウのギルドに加入してから約1年後、ユウはリアの都合でゲームが出来なくなるため、ギルドをハクリュウに譲り引退し、ノエルとクロノアはハクリュウがギルマスなのを不服に思いギルドを抜け自分達でギルドを作った。
その後、このゲーム内でクロノア達は3強ギルドとして君臨するのだった…。【完】
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
これでクロノアとマリースのお話は終わりです。
シュウとユウの話はとりあえず後にしようと思います。
次話からは、いい加減本編に戻ろうと思いますのでよろしくお願いします。
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)