第四話
朝のアラームで起きた、気分がいい。
二人で朝食を食べ、暫くのんびり過ごす事にした、警察も関わらないそうだし自由だ。
ネットのニュースを見たが沼田の件はどこにもなかった、揉み消されたんだろう、俺にはもう関係のない話だ。
昼までゴロゴロして昼食を食うと、コロッケやデザートがなくなったので二人で買いに行った。
コロッケ屋は数人並んでいたが俺達も並んだ、後二人になった時いきなり大柄な男二人に割り込まれた。
「おい、後ろに並べ」
「あ? 何か文句でもあんのか?」
「当たり前だ、ちゃんと並べ」
「俺達はヤクザだ、まだ文句あるのか?」
「ヤクザは死ね、クズ人間」
「てめぇちょっと面貸せ」
路地裏に連れて行かれた。
「ここでお前らが死ぬのか?」
「逆だアホ、ヤクザの怖さを教えてやる」
殴りかかって来た軽く躱し腹に蹴りを入れてやった、男がうずくまって吐いた。
もう一人がナイフを出してきたが襲って来ない、うずくまった男が立ち上がり匕首を出してきた。
「殺してやる」
「そんな脅しでビビるとでも思ってるのか、ゴミ野郎」
二人が襲ってきた、ドラゴンソードを出し二人の両腕を肩から斬り落とした。
「ひっ、何者だお前?」
「八神だ」
「八神ってあの八神一族か?」
「よく知ってるな」
「俺達の世界では八神一族に手を出してはいけない決まりになっている、悪かった見逃してくれ」
「お前らの事務所に連れて行け、何組だ?」
「それは勘弁してくれ、殺される」
「じゃあ俺がここでお前らを殺す」
「それも勘弁してくれ」
「八神流奥義達磨斬撃」
剣を振った両足が根元から斬れた、男達が崩れ落ちる。
「わかった、新井組だ」
俺はゲートを開き新井組に二人を放り込んだ、俺も紅葉と入った。
全員が驚いている、達磨になった男が。
「親分、兄貴、八神一族に手を出してしまいました、すいません」
「八神一族だと?」
「俺が八神だ、コロッケ屋の列に割り込みやがった」
「それだけの理由で斬ったのですか?」
「当たり前だ、俺を苛つかせた」
「すいません、許して下さい」
「駄目だお前らも皆殺しだ」
「そんな、たかがコロッケで」
「たかがコロッケだと? 口答えするな」
「すいません」
「罰を与える、八神流奥義稲妻斬り」
雷が十人をまる焦げにし死んだ。
「あはははっ、楽しいぞ次は誰がいい?」
「くっ狂ってる、ヤクザより残酷だ」
「八神一族は普通の人間ではないからな、これは俺の趣味だ」
奥のデスクに座っていた組長らしき男が初めて話し出した。
「龍の血が流れていて、超能力を持ってる噂は本当なんですか?」
「その通りだ、よく知ってるな組長か?」
「組長の新井です、どうかお許し下さい、警察もヤクザも八神一族には逆らえません」
初老の組長が土下座をした、他の組員も全員土下座をした、情けない奴らだ。
「誰か俺の代わりに神戸コロッケを十個と、コンビニでデザートをたくさん買って来い」
「はい」
二人が飛び出して行った、第三の目を開き全員を見た皆心底恐れている。
「誰か斬らせてくれよ、殺し足りん」
「いや、どうかお許し下さい」
「お前ら、この近辺のヤクザやチンピラ共に俺が神戸に引っ越して来た事を伝えろ」
「わかりました」
男が二人息を切らして帰ってきた。
「どうぞ」
「ご苦労、今度街で見かけたら殺すぞ、俺達は帰るから死体は適当に処分しろ」
「わかりました」
「達磨の二人も殺せ」
「わかりました」
「兄貴待ってくれ」
兄貴と呼ばれた男が二人を撃ち殺した。
「それでいい、じゃあな」
「そちらのお嬢さんも八神一族ですか?」
「そうだ、俺より怖いぞ」
ゲートを抜けマンションに戻った。
「あなた男らしくなったわね」
「そうか?」
「えぇ、あれでいいわ全員殺してもよかったのよ」
「殺しても良かったが、どうせまた新しいヤクザが入って来るだろうからな」
「ちゃんと考えてたのね」
「一応な、出来たてのコロッケ美味いぞ」
「一個もらうわ、さっきの組長の話が本当なら警察にバレても大丈夫ね」
「そうだな、捕まるかどうか試したいな」
「あまり暴れちゃ駄目よ」
「わかったよ、本屋に行こう」
「わかったわ」
ドラゴンソードを担いで歩いて本屋に向かった、警察に止められた。
「君、それはおもちゃかな?」
「いや、本物の剣だ」
「刀の所持許可証は持ってるのか?」
「そんな物はない、邪魔だどけ」
「銃刀法違反で逮捕するぞ」
「署長の西山に八神が剣を持ってるって聞いてみろ」
「八神さんって、八神一族の方ですか?」
「そうだ」
「失礼しました、呼び止めてすいません」
警察が逃げるように去って行った、ドラゴンソードをしまった。
「警察にも手が出せない事が証明出来たな」
「途中で笑いそうになったわ」
「八神一族って思ってた以上に影響力が大きいんだな」
「そうみたいね」
五階建てのかなり大きな本屋に入って一時間程本を漁った、袋いっぱいに本を買い、抱えてマンションに戻った。
「あなた、そんなに拷問の本を買ってどうするの?」
「今後の参考にな」
拷問の本は三冊買った、後は小説やこの街のガイドブックや地図だ、拷問の本を読んでみたが面倒なものばかりだ、二冊目も同じような感じだった、三冊目はあまり道具のいらない使えそうなのが載っている。
プリンやミニケーキを食べながら本を読んだ、紅葉はファッション雑誌を見ている。
本を読んでると気分が悪くなってきた、第三の目も痛い、活字の読みすぎかと思い本を閉じ紅葉に膝枕をしてもらった。
「顔が青いわよ」
「あぁ気分が悪いし第三の目が痛い」
「龍人は病気にならないはずなのに」
「本の読みすぎかもしれない」
「凄い熱だわ、冷たいタオルを用意するわ」
「大丈夫だ、寝れば治るだろう」
紅葉が治癒の術を掛けてくれている。
「どう?」
「気分はマシになってきたが、目が痛い」
「少し開いてみて」
ゆっくりと第三の目を開いたがほとんど見えない。
「大変、目が潰れかけてるわ」
「そうか、視力もほとんどない」
龍王が出てきた。
「大丈夫よ」
「どこが大丈夫なのよ、これを見てよ」
「紅葉、落ち着いてこれを飲ませてあげて」
「何これ? お酒?」
「霊酒よ、万能薬よ飲んでも酔わないし減らないから二人共毎日飲みなさい」
俺は声だけ聞いていた、紅葉が霊酒とやらを口移しで飲ませてくれた、力が漲ると共に第三の目が見えなくなって激痛が走った、俺は体を起こし手鏡を見た、第三の目がぶよぶよになって今にも飛び出しそうだ。
下を向いたら目が落ちた、一瞬楽になったがまた痛みが走った、空になった第三の目を見たら奥からまた目が盛り上がって来た、五分程で第三の目が復活したが、普通の目じゃなかった、龍の目だ。
「龍王何だこれは?」
「あなたの能力が上がったのよ、あなたは前の剣の持ち主より凄い素質があるわね」
「確かによく見えるがこんな事がまたあるのか?」
「いえ、最後よ安心しなさい」
「わかった」
「霊酒は毎日欠かさず飲みなさい」
そう言って龍王が消えた。
「熱も引いたみたいね、気分は?」
「霊酒のおかげで気分はかなりいい」
「私も口に含んだだけなのに力が溢れて来てるわ」
「とりあえず目が戻って良かった」
「猫の目みたいに黒目が縦に開いたりするのね」
「竜王の目と同じだな」
「能力が上がったって言ってたけど?」
「超能力も身体能力も何倍も上がったような感じだ」
「そう、悪くならなくて良かったわ」
「腹が減った、肉がたくさん食いたい」
「この前の魚屋の近くにお肉屋があったわ」
「買いに行こう」
財布を持ち、紅葉の手を取ると肉屋に瞬間移動した。
「こんなとこまで移動出来るようになったのね」
「もっと遠くまで行ける」
「凄いわね」
肉屋に入った、結構揃っているがどれが美味いのかわからない。
「いい肉でステーキが食べたいんだ、何枚か分厚くて美味い肉を頼む」
「高いのがやっぱり美味いがいいのかい?」
「あぁ金ならある」
「わかった、何枚くらい買うんだ?」
「五枚くれ」
「待っててくれ」
店長がブロック肉を分厚く切り出した、三種類の肉を使ったようだ。
「これは表面だけサッと焼いて食ってみな」
「わかった」
金を払いマンションに戻った。
「すぐ食べるでしょ?」
「あぁすぐに食わせてくれ」
すぐにレアの肉が運ばれて来た、紅葉も一枚焼いたみたいだ、二人で食べた。
「何これ口の中でお肉が溶けるわ」
「そうだな、こんな美味い肉は初めてだ」
結局分厚い肉を二枚食べた、残りは晩飯に食べればいい。
コロッケを食べて千里眼を試した、京都のじいさんの髪の毛一本一本も見れる、東京方面も見てみたが同じ様によく見える、結局北海道まで見れた。
透視や念動力もかなり力が上がっている、ベランダから飛行術も試して見た、龍人は百メートルくらいしか浮き上がれないが、飛んでみた、ここはすでに百メートルは超えているがまだ上がれそうだ。
上に向かって飛んだ、雲を突き抜け更に上がると辺りが暗くなり酸素がなくなった、大気圏を超えて宇宙なのかもしれない、ここまでで止めてマンションに戻った。
「どこまで飛べたの?」
「宇宙だ、酸素がなくなったから止めた」
「凄いわね」
「炎と氷を試したいがまた今度だ」
晩飯の時間だ一枚ずつステーキを食べた。
二人で霊酒を飲み、また寝るまでくつろいだ。